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【香港】関西のホテル投資で海外誘致、ジェトロ

9/8(金) 11:30配信

NNA

 日本貿易振興機構(ジェトロ)香港事務所は7日、香港の有力経済団体、香港総商会(香港商業会議所=HKGCC)と共催で香港対日投資セミナーを開催した。両者は昨年7月、日本・香港間のビジネス交流に向けた事業協力の覚書を締結しており、両者共催のセミナーは昨年に続き2回目となる。昨年の訪日旅行者が2,400万人を突破する中、今回はホテルの建設事業が進む関西にテーマを絞った。【森ちづる】
 会場には不動産や航空・観光関連企業、投資家らHKGCCの会員約100人が集まり、日本のホテルビジネスの現状や展望、関西の地方自治体による説明に耳を傾けた。
 特に関西にスポットを当ててホテルの誘致セミナーを行った背景には、海外から関西方面への旅行者が増加していることに加え、地方での投資に関心が集まっていることや、関西エリアで大阪駅前開発といった大型事業が向こう5~10年に控えていることがある。
 最初に登壇したホテルビジネスのコンサルタントで、日本ホテルアプレイザル(東京都千代田区)の取締役を務める北村剛史氏は、宿泊施設に占める外国人の宿泊比率が関西では約3割と、日本の全体平均(1割)より高く、さらに外国人訪日客が増えている中で、ホテル客室は足りていないと指摘。また、2015年度末時点で国内に約70万室ある旅館は、築30年以上が29万室を占め、東京五輪が開かれる20年には42万2,000室まで増える見通しという。
 北村氏は、11年の東日本大震災や東京五輪の決定により建設費が高騰しているほか、土地費用が高いなどといったリスクを挙げながらも、追い風要素が多く、ホテルの価値上昇は今後も続くとして投資を呼び掛けた。
 地方自治体からは奈良県、和歌山県、大阪市、堺市がそれぞれプレゼンテーションを行い、観光地や交通アクセス、投資のインセンティブなどを紹介した。
 このうち、初めて海外でホテル投資の誘致活動を行ったという奈良県は、豊富な観光資源や周辺都市からのアクセスの良さ、訪日外国人の多さなどをアピール。一方で、ホテル不足から旅行者が他県に移動し宿泊している現状を説明した。同県への外国人旅行者は昨年、165万4,000人で、このうち宿泊客は30万7,840人。ホテルの客室数が3,675室と少ないために、宿泊は他県に頼っている状況という。隣接する京都府の場合、外国人宿泊客は460万2,810人で、客室数は2万3,935室となっている。
 同県の産業・雇用振興部長の中川裕介氏によると、現在の需要にあったホテルがないことや、ホテルや旅館の跡継ぎがいないことが宿泊施設不足の背景にある。しかし、同県初の外資系ホテルとして、昨年、米マリオット・インターナショナルがホテル「JWマリオットホテル奈良」の建設を決定したことで、海外からも引き合いが来始めているという。
 中川氏は海外での誘致活動を今後も積極的に行っていく方針を明らかにした上で、投資に対する税優遇なども用意しているとPRした。
 日本のホテル業界で人材が不足する中、奈良県ではホテル関連の人材を育成する「なら食と農の魅力創造国際大学校」を運営し、対応していると強調した。同校は主に調理やマナーについて学ぶ施設で、来年3月に1期生の20人が卒業する見通し。
 一方、大阪市は、宿泊需要の多さに加え、大規模開発を控えていると、ホテル投資でのメリットを挙げた。同市では滞在型のホテルが不足する中、大阪駅北側の再開発やベイエリアの埋立地「夢洲(ゆめしま)」の開発が予定されていると説明。大阪市は、日本で審議が続いているカジノを含む統合型リゾート(IR)の推進政策に関して、誘致に積極姿勢を示しており、夢洲はIR施設と、誘致に取り組む2025年の万博会場の候補地として開発が進んでいるという。
 質疑応答では、その他地域の地価やIR誘致でポテンシャルのある地域などに関して質問が出た。参加者の一人は、「有意義なセミナーだった。日本を含め海外投資を考えている」と述べた。
 ジェトロ香港事務所の伊藤亮一所長は、「ホテル投資では動く金額が大きいので、成約まで時間はかかるが、需要はある。参加者からは九州(のホテル不動産投資)をテーマにやってほしいとの声もあった」と述べた。セミナー後は自治体と参加企業の個別面談が組まれた。

最終更新:9/8(金) 11:30
NNA

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