ここから本文です

【ライブレポート】ローズ・オブ・ブラック、ライブ2回分を堪能

9/11(月) 12:03配信

BARKS

ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの新世代を担うバンド、ローズ・オブ・ブラックが2017年8月、初の単独日本公演を行った。

◆ローズ・オブ・ブラック画像

リッチー・ブラックモアがレインボーを再始動させるにあたって白羽の矢を立てたシンガー、ロニー・ロメロの“本業”であるローズ・オブ・ブラックは2016年10月、<ラウド・パーク16>で日本初見参を果たしたが、午前11時という早い時間、また約40分のショータイムという“顔見せ”的ライブだったこともあり、今回がいよいよ本領発揮の場となる。

現時点での最新アルバム『ローズ・オブ・ブラックII』(2015)と同様、「マルヴォレントリィ・ビューティフル」のイントロに乗ってバンドがステージ上に登場、「マーシレス」からショーは始まる。まず最初に観衆の目を捉えるのが、ロニーの姿だ。決して大柄ではない彼だが、2016年・2017年と連続してレインボーの大舞台を踏んだこともあってか、その存在感は彼をとてつもなく大きく見せている。

ロニーのボーカルもまた、その“化け”ぶりで我々を圧倒する。「ナッシング・レフト・トゥ・フィアー」「エヴリシング・ユーア・ノット」など、2作のアルバムから選りすぐったナンバーが次々と披露されるが、その歌声のハリと表現力は<ラウド・パーク>やスタジオ・バージョンをはるかに凌ぐものだ。必ずしも派手なステージ・パフォーマンスをするわけではないものの、そのシャウトからじっくり歌い上げる姿まで、見る者を釘付けにしてしまう。

それに呼応するように、バンド全員が迫力をアップさせた演奏を繰り広げる。トニー・ヘルナンドのギターはワイルドな硬質メタル・リフからテクニカルなシュレッド・ソロ、メロディアスな泣きのリードまで弾き分けるオーガニックなものだ。アンディCのドラムスが単にリズムを刻むのに留まることなく、“歌ごころ”を感じさせるのは、彼がスタジオでシンセやピアノ・パートも担当していることも関係しているだろう。新加入のベーシスト、ダニ・クリアードはバンドの音楽を最大限に盛り上げるプレイで、低音パートをがっちり支えていた。

2017年に入ってヨーロッパで4回のライブを行ったのみと、踏んできた場数の少なさに対する懸念はあったものの、それは杞憂に終わった。序盤から突っ走るショーはさらにヒートアップしていき後半、バンドのテーマ曲というべき「ローズ・オブ・ブラック」、彼らの敬愛するシン・リジィの歌詞を散りばめた「クライ・ノー・モア」、そしてドラマチックに畳みかける「シャドウズ・オブ・ウォー」は、ヘヴィ・メタルのカタルシスに満ち溢れていた。

アンコールでステージに戻り、ファーストからの「ホェン・エヴリシング・イズ・ゴーン」で熱い声援を浴びた彼らだったが、さらに大きなサプライズが観衆を待ち構えていた。ロニーとトニーが「さあ、やるか」と顔を見合わせると、レインボーの「キル・ザ・キング」のイントロが飛び出す。“本家”レインボーのライブでは演奏されなかった初期の名曲に、会場全体が火に包まれる。さらに「レディ・オブ・ザ・レイク」「ロスト・イン・ハリウッド」とレインボー・クラシックスの連打。おそらくレインボーの曲をプレイするのだろうな…とある程度予期していた観客も、まさかここまで次から次へと繰り出してくるとは想像できなかっただろう。

しかし、バンドはまだ観衆を帰らせるつもりなどないし、観衆もさらなるアンコールを求め続ける。3度目のアンコールには、NOZOMU WAKAI'S DESTINIAでロニーとの共演が決定しているギタリスト若井望が登場。ディープ・パープル「紫の炎」、ブラック・サバス「ネオンの騎士」、そしてレインボー「ロング・リヴ・ロックンロール」と豪華すぎるジャムを展開した。もはや“アンコール”と呼ぶよりも、ライブ2回分を堪能した感のあるステージに、観衆は全身に快い消耗感をおぼえながら会場を後にしたのだった。

この日、会場を訪れたファン1人1人に訊ねたわけではない。だが帰途に着く彼らの顔に浮かんだスマイルの数々、そして当日、物販コーナーで販売されたツアーTシャツが瞬殺ソールドアウトになったことが、彼らの満足度を何よりも雄弁に物語っていた。

文:山崎智之
Photo by Mikio Ariga

最終更新:9/11(月) 12:03
BARKS