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シングルマザー「運動会どうすれば」 尽きない苦悩、支援広がる

9/11(月) 17:55配信

福井新聞ONLINE

 シングルマザーを支援する福井県内の市民団体「フルード」が設立3年になり、グループ相談会やセミナーなど、取り組みが広がりつつある。ただ、県内にはひとり親世帯は8千以上あり、子育てや就業など一人で悩みを抱えている母親は多い。支援制度の周知など課題もある。団体の関係者は「同じ悩みを抱えた者同士で話をすることで、少しでも前向きになれるはず」と相談会などへの参加を呼び掛けている。

 ■感情高ぶらせ

 「私は卑屈な人間なので(前向きになれない)…。父の日や運動会をどうしたらいいか…」。6月に福井市で開かれたフルード主催の子育てセミナー。講師の話を聞き終えた母親は、感情を高ぶらせて、こう訴えた。「父親がいないという子どもの劣等感と、どう向きあえばいいですか?」。講師は「劣等感を抱えていない子の方が多いですよ」と優しく語りかけた。

 フルードは2015年から「ひとり親家庭の孤立防止」「別居親との面会交流」などテーマごとにセミナーを開催。2カ月に1回のグループ相談会では「子どもに(離婚を)どう伝えたらいいのか」「元夫が養育費を払ってくれない」といった悩みに対し、アドバイスを送ったりする。

 ■息抜きの場所

 離婚して5年。福井市の40代の林恵さん=仮名=は、フルードに通い始めて2年がたつ。「私にとって息抜きできる場所。地域や職場と同等のコミュニティー」と話す。

 子どもが通う小学校は個人情報の扱いが厳しく、クラスには5、6人のひとり親がいると聞いていたが、実際には誰か分からなかった。「悩みもあり、同じ境遇の人と話がしたかった」と振り返る。

 離婚直後は特に悩みが多いという。林さんは離婚を機に姓を変更。すると小学低学年の子どもは、同級生や上級生から「親は何で離婚したんや?」と言われた。「あのときは本当に心が痛んだ」

 ■生きる保障は

 県によると、ひとり親世帯数の目安となる「ひとり親医療費助成受給者数」は近年、8千世帯前後で推移。厚生労働省によると、15年の子どもの貧困率は13・9%だが、ひとり親に限定すると50・8%。12年の県の実態調査では、年間就労収入が100万円未満のシングルマザーは24・9%を占めた。

 フルードの木村真佐枝代表(45)は「ひとり親として生きることは社会的に認められているはず。だけど安心して生きる保障はされていない」。元夫からの養育費が数カ月で途絶えたという林さんも「日常の暮らしはできるが、子どもが大学進学したいと言ったらどうしよう」と将来への不安を口にする。

 経済的に困窮した家庭に支援が届いているのか、という指摘もある。ある母親は「給食費などを補助する就学援助制度は、学校に申し出なければ受けられないように、支援制度の多くは申し出制。対象者の漏れをなくすため、全世帯に制度の申込用紙を配布して知らせるべき」と、制度周知を課題に挙げる。

 県は来年度からの第4次ひとり親自立支援計画策定に向け、約4300世帯にアンケートを実施。8月中に県内6カ所で意見交換会を開いており、計画に反映させていく。

 木村代表は「いろんな情報を持つ行政や学校は、孤立世帯をある程度把握できると思う。行政、学校、民間が連携すれば必要な家庭に支援が届くのでは」と訴える。