ここから本文です

中国の尖閣挑発、常態化 公船の領海侵入 日本国有化から5年 中学教科書に「領土」と記載

9/12(火) 10:20配信

西日本新聞

 日本政府が沖縄県・尖閣諸島を国有化して11日で5年となった。中国はこの間、公船による領海侵入を繰り返し、日本の実効支配を切り崩す戦略を展開。今月から尖閣諸島を「中国の不可分の領土」と位置付ける新たな教科書を中学校で採用するなど、さまざまな手法で領有権の主張を強めている。

 海上保安庁によると、中国公船の領海侵入は国有化後の2012年に20件。13年は54件に急増した。14年以降は毎年30件台で推移し、今年は8月末までに22件に上った。領海外側の接続水域に入ったケースを含め、挑発は常態化している。

新しい歴史教科書に「不可分の領土」

 中国公船の中には3千トン級の大型船や、機関砲のようなものを搭載した船が出現。昨年8月、尖閣諸島周辺に200隻超の中国漁船が押し寄せた際は多数の中国公船も領海侵入した。漁船の管理名目で公船を侵入させ、自らの「管轄権」をアピールする狙いがあったとみられる。

 中国当局は領有権意識の幅広い浸透も図っている。中国教育省は9月から、尖閣諸島などを「不可分の領土」として歴史的な起源を教える新しい歴史教科書を中学校で採用した。

 8月末には中国国営中央テレビが特集番組で、中国公船が尖閣諸島周辺で活動する日本の海上保安庁の船に対し「貴船はわが国の管轄領域に侵入した。法規を守ってください」と呼び掛ける様子を放映した。公船の活動を正当化し、習近平指導部の対外強硬路線に賛同する世論を形成したい思惑がうかがえる。

長期戦で日本の実効支配を揺さぶる構え

 強気の中国だが、現時点では軍艦の展開は控え、軍事衝突を望まない姿勢を示している。背景にあるのは外交環境の悪化だ。

 北朝鮮の核・ミサイル問題を巡って米国との駆け引きが続き、在韓米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備問題では米韓と溝が深まっている。8月末まで国境付近でにらみ合ったインドとも火種がくすぶっており「日本との決定的な対立は避けたい」(外交筋)というのが本音だ。

 中国は最高指導部が入れ替わる10月の共産党大会を前に、国内外の情勢安定を重視しながらも、外交面での弱腰批判は避けたい難しい状況にある。軍事衝突につながる過激な行動は抑えつつ、公船の活動などを既成事実として積み上げ、長期戦で日本の実効支配を揺さぶる構えだ。

=2017/09/12付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:9/12(火) 12:16
西日本新聞