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2025年度に再エネ設備市場は半減予想も、太陽光関連サービスは倍増

9/13(水) 7:10配信

スマートジャパン

 富士経済はこのほど、再生可能エネルギー発電関連の国内市場について調査し、その結果をまとめた。2017年度の「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」に関連した発電システムの新規導入市場は、2兆894億円が見込まれている。そのうち8割を太陽光が占めているが、風力、バイオマス、水力、地熱など他の設備の割合は前年度より増加。長期的にはこれまで中心を占めてきた太陽光の市場縮小により、2025年度の市場は2017年度の6割弱へ縮小するとみられる。

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 太陽光市場は、2014年度をピークに縮小が続いている。2016年度は特に500~2000kW未満の出力帯の減少が大きかった。2017年度は認定失効を回避した「みなし認定案件」の導入が進んでいる。運転開始までの猶予期間が住宅用で1年間、産業用で3年間であるため、2019年度まではみなし認定案件の導入が進むとみられる。当面はみなし認定案件の導入が下支えするものの、2019年度にFITの買取価格が24円/kWhに引き下げることが決まっているなどの要因により、2025年度の市場は2016年度比で7割以上の縮小が予想される。

 こうした買取価格の引き下げと機器コストの低下によって、これまでの売電収益モデルから自家消費による光熱費削減に活用する動きが活発化し、10kW未満を中心に自家消費モデルが増加。その市場は2025年度には2600億円規模になると予想している。

 風力市場は、20kW以上の大型でFIT施行直後に設備認定を受けた案件が稼働したことにより、2016年度は大幅に拡大した。20kW以上の大型システムは風況が良好な北海道、東北、九州エリアで、電力会社による無制限出力制御以前の契約案件が今後随時導入されるとみられる。

 2017年4月から風力発電更新時の買取価格が18円/kWhに引き下げられたために、更新計画の中止・延期が相次ぎ、2017年度は一時的に縮小が見込まれるが、2018年度以降は新規開発済み案件の導入が続くため、再び拡大に転ずるとみられる。

 20kW未満の小型システムは、機器の製品ラインアップの拡充や参入プレイヤーの増加により、今後も好調が続くとみられる。2017年度は買取価格がFIT開始当初と同じ55円/kWhに据え置かれていることもあり、前年度比30%以上の伸びが予想される。しかし、2019年度以降は買取価格が低下するため市場は縮小すると予測。洋上風力は2020年度に初の商用ウィンドファームが運転開始するとみられ、以降は大幅な伸びが期待される。

未利用材の活用が課題、水力は中型市場が拡大か

 バイオマス市場は、FIT開始当初の一般木質・農作物残さや未利用木質を燃料とするシステムの大型案件が稼働したため、2016年度の市場は堅調だった。一般木質・農作物残さは、FIT開始直後に計画された大型案件が稼働したことから2016年度に大きく伸びた。一般的に未利用木質との混焼を行っているが、未利用木質の調達が難しくなったことから輸入材(一般木質に分類)を代替燃料として活用することが増えている。

 また、2017年10月申請分より一般木質・農作物残さの買取価格が21円/kWhに引き下げられることから、2017年度は認定の駆け込み需要が発生している。そのため、2020年度に導入ピークを迎えるとみられ、その後は縮小が予想される。メタン発酵ガスを利用した発電は、2016年度に下水処理場向けの導入がピークを迎えたため大きく伸びたが、2017年度以降は、当面市場は縮小するとみられる。未利用木質は2017年度までは堅調であるが、確保可能な集材圏が小規模化してきているため、以降の市場拡大は困難としている。

 水力市場は、FIT制度開始以降に計画された事業のうち、1000kWクラス以上のリードタイムの長い案件が運転開始を迎えるとともに、200~1000kW未満のシステムや農業用水向けの高圧案件の導入が進む200kW未満のマイクロ水力も堅調だったことから、2016年度の市場は1000億円を突破した。2017年度に1000~5000kWで買取価格27円/kWhの新区分が設定されたことにより、2020年度頃からリパワリングを中心としたMWクラスの建設計画の顕在化が期待される。また、小水力(200~1000kW未満)発電機メーカーが大型化を志向することも予想され、2020年度以降は1000~3000kW未満の伸びが市場拡大をけん引するとみられる。

 地熱市場は、2017年3月に出力5MW級で、国内最大級となる「滝上バイナリー発電所」の運転が開始されるなど、バイナリー発電を中心に堅調な伸びが予想される。2019年度は水蒸気発電プラントの運転開始が予定されているため、市場は当面のピークとなる576億円が予測される。2020年度以降は補助金を利用した案件の増加が期待される。

再エネの累計導入量は約6500万kWに

 再生可能エネルギー発電システムの累計導入量をみるとFIT開始前の2012年6月末では、FIT対象となる各種発電システムの累計導入量は約2000万kWで、水力が全体の5割弱を占めた。FIT開始後は計画から運転開始までの期間が短く、設備投資の費用対効果が高い太陽光を中心に導入量が急増した。2017年度末の累計導入量は約6500万kWが見込まれ、7割超を太陽光が占めるとみられる。

 経済産業省は2015年に2030年度における再生可能エネルギーの導入目標を公表している。太陽光は2020年度にはおおむね達成するとみられ、2025年度末には導入目標を上回る8000万kWが予想される。風力とバイオマスは2025年度末で導入目標の80%超が導入され、2030年度の導入目標は達成が予想される。水力は2025年度末で80%超を達成するが、更新によるFIT認定が多いため2030年度の導入目標の達成は困難とみられる。地熱は2025年度末で導入見込量の約45%と低く、新たな政策的支援が求められる。

 なお、太陽光発電では、システムの新設案件は減少が予想されるが、今後は太陽光発電設備リース、屋根貸し、太陽光発電遠隔監視、太陽光発電メンテナンス、太陽光発電保険など既設ステムを対象とした関連サービスの伸びが予想される。市場規模は2016年度1958億円から2025年度には3729億円へと倍増するとみられる。特に遠隔監視サービス、メンテナンスサービスの需要増加が期待される。

 将来的には、パネルの発電機能低下箇所や故障箇所を赤外線サーモグラフィとドローンを用いて短時間で一次検出するパネル診断サービス、サイト環境やパネルの傾斜角度によって太陽電池パネル表面に堆積する汚れによる発電効率の低下を回復させるパネル洗浄サービス、作業員が搭乗するカート型草刈機、あるいはAI機能を搭載し、無人で作業を行う自動草刈機による草刈サービスなどが需要を獲得するとしている。