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月探査機「かぐや」打ち上げから10年…日本と世界の月探査、これからの道

9/13(水) 21:00配信

sorae.jp

「かぐや」は何を残したのか

2007年9月14日…いまからちょうど10年前、種子島の青空に吸い込まれるように、H-IIAロケットが宇宙へと旅立って行きました。その先頭部分には、月探査衛星「かぐや」が格納されていました。

「アポロ以来最大級の月探査」と銘打ち、10年以上にわたる検討・開発期間をかけ、555億円もの予算を費やし、そして14もの測定機器を搭載するという、月・惑星探査としては異例の大きさを持つ探査機「かぐや」。同年10月に月に到着し、12月から本格観測を開始しました。当初予定では10ヶ月の観測期間を予定していましたが、燃料の残りが多かったことからミッションを延長、最終的には1年10ヶ月にわたって、月上空からの観測を実施しました。そして燃料が残り少なくなったことから、月の特定地点への衝突「制御衝突」という形でミッションを終わらせることが検討され、2009年6月11日、月の南半球、ギル・クレーター付近に落下しました。当時の新聞は、「かぐや、月に還る」と報道したものです。

大量の観測機器を搭載しているだけあって、「かぐや」は大量のデータを地球に送ってきました。とりわけ、当時としては最高性能を誇るカメラは月面の詳細な画像を取得、さらにスペクトロメーター(光を分ける…分光することによって、地表の元素や鉱物などの種類や割合を調べる装置)は、月面の岩石を極めて細かく調べました。
搭載されていたレーザー高度計は、月表面の数千万点の高度データを取得、それにより付きの地形がこれまでになくはっきりとわかってきました。
打ち上げから10年。現在も「かぐや」によって地球に送られてきたデータは、科学者の手によって解析が続けられています。
「かぐや」によって新たにわかったことは数多くあります。そのいくつかをごく簡単にみていきましょう。

まずは縦穴の発見です。「かぐや」のカメラが、月面に縦穴が存在していることを発見しました。それまでにも理論的には予言されていましたが、実際に見つけたのは「かぐや」がはじめてで、カメラの高解像度が成し得た快挙でした。
カメラはまた、南極のシャックルトン・クレーターの永久影を撮影し、そこに水(氷)がないことを明らかにしました。月の水の存在に一石を投じる成果となっています。
レーザー高度計とカメラ、スペクトロメーターを組み合わせることで、月面の3次元地図が作られました。そして、月の最高地点・最低地点も判明しました。もっとも高いところが月の平均高度から約10.75キロ、最低地点が同じく約9.06キロとなっており、しかも両者は月の裏側でかなり近い位置にあることがわかりました。月の裏側がこのように起伏の激しい地形になっている理由は、これから解明されていくことでしょう。
ほかにも、科学的成果ではありませんが、「かぐや」に搭載されたハイビジョンカメラは、月の美しい風景を多数撮影しました。また世界初の快挙として、月の満地球の出、満地球の入りを動画で撮影することにも成功しました。
「かぐや」は科学的成果もさることながら、月探査の流れを加速させたという点でも大きな意味を持っています。
「かぐや」をきっかけにして、その1ヶ月後に打ち上げられた中国の嫦娥1号、翌年打ち上げられたインドの「チャンドラヤーン1」、2009年に打ち上げられたアメリカの「ルナー・リコネサンス・オービター」など、21世紀の月探査の先駆け(実際には2003年にヨーロッパが月探査機「スマート1」を打ち上げています)としての役割を果たしたともいえるでしょう。

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最終更新:9/13(水) 21:13
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