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米国で初認可 がん治療に新時代を開く遺伝子療法の中身

9/14(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

コラム【ニューヨークからお届けします】

 アメリカのFDA(食品医薬品局)が初の遺伝子治療を認可し、大きな話題になっています。

 キムリア(Kymriah)はスイスの大手製薬会社「ノバルティス」が開発したもので、化学療法やX線療法が効かない重度の小児白血病に対し、特効薬になる可能性があると注目されています。

 治療法は、まず患者の免疫細胞を取り出し、特定のがん細胞を認識する遺伝子を導入後、再び体内に戻す。患者の免疫力を高め、がん細胞への攻撃力を高めるというものです。

 今後1カ月以内に、アメリカの約20の病院でキムリアによる治療が始まるとされており、若い白血病患者やその家族に、大きな希望をもたらしています。

 一方、問題になっているのはその治療費の高さです。キムリアによる1回の治療費は実に47万5000ドル(約5200万円)。1カ月の化学療法の治療費3万ドル(約330万円)の10倍以上に当たる値段に驚きと批判の声が上がっています。

 ノバルティスは金額設定の理由として、同じように最も効果の高いがん治療とされる脊髄移植の価格88万ドルよりも低く設定したとコメント。しかし強くなった自己免疫が内臓を攻撃するなどの強い副作用が想定され、さらなる治療が必要となる可能性を考えると、患者の負担が重過ぎると指摘する関係者は少なくありません。

 また、この治療法の開発には200億ドル以上の連邦からの助成金が使われていることを挙げ、もっと多くの人が利用出来る価格設定をすべきだという声もあります。これに対しノバルティスでは、低所得者で公的医療保険に加入している患者に対しては、最初の1カ月以内に効果が挙がらない場合、治療費は請求しないとしています。

 今後も遺伝子療法のような革命的な治療法が臨床化される希望とともに、ますます高額になる治療費をどう考えていくかが大きな課題になっています。
(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター)