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<弘道会用心棒代>キンサンの利権独占 山口組にも上納か

9/14(木) 22:44配信

毎日新聞

 飲食店などから用心棒代(みかじめ料)を受け取ったとして指定暴力団山口組弘道会会長らが逮捕された事件で、愛知県警は、東海地方最大の繁華街で「キンサン」と呼ばれる名古屋市中区錦3丁目の店からの用心棒代が上納され、山口組の重要な資金源の一つになっているとみて捜査を進めている。国内最大の暴力団・山口組の最有力組織のトップ摘発を機に、資金源の根絶を目指す方針だ。

 弘道会は山口組の篠田建市(通称・司忍)組長の出身母体。事件では、会長の竹内照明容疑者(57)や弘道会傘下の組長2人、別の山口組傘下組織幹部の中島茂容疑者(69)ら6人が、錦3丁目などの飲食店と風俗店から用心棒代計58万円を受け取ったとして、愛知県暴力団排除条例違反容疑で逮捕された。

 竹内容疑者ら5人は否認・黙秘しているという。捜査関係者によると、1店舗あたりの用心棒代は飲食店が月3万円、風俗店が10万円で徴収は中島容疑者らが行い、一部が弘道会に上納されていた。県警は中島容疑者の組の組長(59)についても同容疑で逮捕状を取り行方を追っている。

 錦3丁目には飲食店や風俗店が約2500店ある。捜査関係者によると、東京や大阪の繁華街のような暴力団同士の縄張り争いがかつてはあったが、20年ほど前から勢力を伸ばした弘道会が利権を独占するようになった。

 弘道会と中島容疑者の組は山口組内で形式的に同格の2次団体。捜査関係者は「組織と資金の力で上回る弘道会が『シマ』の一部を貸し、見返りに用心棒代を吸い上げていた」と解説する。また、「事件は氷山の一角。多くの店が慣習で支払いを続けていて、弘道会の大きな資金源になっている」とも指摘する。

 暴排運動に詳しい田中清隆弁護士(愛知県弁護士会)は「用心棒代を地域で拒否する動きが全国で広がっているが、愛知での動きは鈍い」と指摘する。「錦3丁目地区の都市景観をよくする会」によると、2010年に支払い拒否のステッカーを店舗に貼る運動を展開したが、その後は目立った活動はない。

 愛知県暴排条例は錦3丁目を特別区域に指定し、用心棒代を受け取る暴力団側と支払う店側の双方を罰すると定めている。よくする会の吉見且三顧問は「経営者らが声を上げづらくなっている面もあり、申告しやすい環境を考えていくことも大切」と訴える。

 県警は13日に名古屋市中村区の弘道会本部を捜索し、14日は事件への組織的な関与を調べるため、神戸市灘区の山口組総本部を捜索した。一方で15日、警察官約220人態勢で錦3丁目の飲食店などで「暴排ローラー」を行い、用心棒代支払い拒否を呼びかける。

 田中弁護士は「竹内容疑者の逮捕はインパクトが大きい。経営者側が勇気を持って声を上げる動きが出てきてほしい」と期待する。

最終更新:9/14(木) 22:44
毎日新聞