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核シェルターの整備へ補助金も 政府、避難場所に地下施設活用を検討

9/16(土) 7:15配信

SankeiBiz

 相次ぐ北朝鮮のミサイル発射や核実験を受け、日本政府が核シェルターの普及促進に本腰を入れる可能性が出てきた。与党内でも必要性を求める声が高まっており、倉庫などを地下に持つ民間企業や団体が周辺住民の避難受け入れに協力すれば補助金を支給する案などが浮上しているという。

 ◆提供企業に優遇税制

 「核シェルターの学校や市町村役場での整備を検討してほしい」「住宅の新築に合わせて核シェルターを設置した場合、税制面で優遇措置を検討すべきだ」

 9月4日、自民党本部で開かれた「北朝鮮核実験・ミサイル問題対策本部」。参加した多くの議員から、核シェルターの整備を求める意見が上がった。8月29日に北朝鮮の弾道ミサイルが北海道上空を通過した際、政府は12道県に全国瞬時警報システム(Jアラート)で危険を知らせた。住民からは「どこに逃げればいいのか」といった問い合わせが自治体などに相次いでおり、議員の要求はこうした経緯を踏まえたものだ。

 実際、国民のミサイル攻撃への危機感は想像以上に強く、この日以降、核シェルターの需要は急増している。自宅の部屋をシェルター化できる空気濾過(ろか)装置の販売会社や、地下核シェルターの施工会社には通常の10倍近い問い合わせが殺到しているという。

 ただ、その多くはコンテナ型など地上に設置する数百万円台のものが中心だ。当然、避難場所がないよりはましではあるが、「爆風や放射能への対応を考えると、安全性を確保するためには地下空間にそれなりの規模のシェルターを普及させる必要がある」(経済官庁幹部)というのが政府の本音だ。

 現在、検討案として現実味を帯びそうなのが、民間企業や団体が持つ地下施設の有効活用である。手順としては、政府が各自治体に核やミサイル攻撃に対応した避難計画の策定を指示。その際、地下施設を持つ企業や団体を把握し、その施設の規模や構造などの詳細をまとめるとみられる。

 そのデータを参考に、周辺住民の避難ルートなどを設計。住民の避難場所として地下施設を提供する企業や団体に対し、補助金を支給する案が想定される。

 避難所として利用できるような地下施設を持つ企業や団体は都市部には散見されるものの、地方ほど少ないのが現状とみられる。そのため、地方に核シェルターを新設する企業や団体へは、補助率を引き上げるなどの手厚い優遇策が検討される可能性もある。

 また、個人住宅の新築に合わせて核シェルターを設置した場合の優遇措置を付与する案も浮上しそうだ。実際、冷戦時代の旧西ドイツでは、シェルターを整備する建築主にベッドの数に応じて補助を出しており、限られたスペースにできるだけ多くの市民を収容できるようにしていた。

 ただ、海外に比べて狭小な住宅事情の日本では、普及に向けた課題もあるようだ。「個人宅の地下施設は必ずしもシェルターとして使われるか分からない。芸能人の薬物乱交パーティーの現場として利用された例もあり、シェルターとしての利用を認めるための基準策定などは容易ではない」(政府関係者)という。

 ◆防空壕跡の再利用も

 核シェルター普及率100%のスイスのように新築や改築の際にシェルターの設置を法的義務とすれば普及は進みそうだが、そこまで踏み込む法改正となれば長い時間がかかるのは間違いない。個人宅への普及はハードルが高いといえる。

 とはいえ、核の脅威が高まり続ける今、国民の避難先を確保する時間的猶予も限られている。切羽詰まった状況に、霞が関周辺では、戦時中に使用されていた防空壕(ごう)跡を整備し、再利用してはどうかという仰天案も出ている。(西村利也)

最終更新:9/16(土) 7:15
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