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うつ病は抗炎症薬で治療できる 新説

9/16(土) 10:00配信

The Telegraph

【記者:Sarah Knapton】
 うつ病は免疫システムの不良が原因の身体的疾患だということが判明したことを受けて、科学者らは現在、うつ病は抗炎症薬を用いた治療が可能との見解を示している。

 英国では約13人に1人が不安症やうつ病を患っており、昨年、英国民保健サービス(NHS)が発行した抗うつ剤の処方箋は、10年前の2倍に相当する6470万件に上った。

 現在の治療法は主に、気分を高める脳内の化学物質セロトニンなどを増やすことに重きが置かれている。しかし専門家らは現在、免疫システムの過剰な働きがきっかけで全身に炎症が起こり、その結果、絶望感や抑うつ状態、倦怠(けんたい)感などが引き起こされるとの見方をしている。

 これは、心的外傷を受けた後や病後に、免疫システムのスイッチを切ることができなくなる症状とも言え、うつ状態にある人がインフルエンザなどのウイルス性疾患にかかった際によく経験する症状に似ている。

 最近発表された多数の論文や臨床試験から得られた予想外の結果から示されているのは、炎症を治療することでうつ病を緩和できる可能性だ。

 英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)精神医学部長、エド・ブルモア(Ed Bullmore)教授は、「免疫神経学」という新たな分野が生まれつつあると考えている。

「問題は、炎症がうつ病を助長するのか、あるいは逆にうつ病が炎症を助長するのか、もしくは単なる偶然なのか、だ」とブルモア教授は問いを投げ掛けた上で、こう続けている。

「実験医学による研究では、インターフェロンといった炎症薬を健康な人に投与した場合、かなりの割合で抑うつ状態に陥る。そうしたことから、因果関係を示すのに十分な証拠が得られたと私たちは考えている」

 ケンブリッジ大学の研究チームと英国にある世界的な医学研究支援団体「ウエルカム・トラスト(Wellcome Trust)」は、抗炎症薬にうつ病を治療する効果があるかどうかを調べるため、来年にも実験を開始したいとしている。

 最近の研究では、脳内の神経細胞は免疫機能と関係しており、相関関係を持っている可能性があることが示されている。

 心臓専門医に胸痛を訴えた患者の約60%は、心臓に問題はないものの不安症状がみられた。心臓発作を起こした後にうつ状態になった人は、心臓発作を再発する可能性が非常に高く、がん患者が精神疾患を抱えた場合、余命は大幅に短縮することが分かった。

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最終更新:9/16(土) 10:00
The Telegraph