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カスリーン台風の惨状 克明に 写真8枚発見 被災直後の桐生で撮影

9/16(土) 6:01配信

上毛新聞

 カスリーン台風による被災直後の群馬県桐生市を写した写真8枚が15日までに、同市内で見つかった。崩落した両毛線の鉄橋やがれきに埋もれる民家など、惨状を克明に捉えている。郷土史家の神山勇さん(79)=菱町=は「被害の大きさ、自然災害の怖さを後世に伝える資料になる」と価値を指摘する。

◎鉄橋や球場崩れ 軒の高さまで木くず

 撮影したのは鈴木敏郎さん(88)=琴平町。写真撮影が趣味で、被災翌日から市内を巡って撮影した。

 桐生川と新川の合流点にあった両毛線の鉄橋が崩れ、レールが下流側へ曲がっているのがうかがえる。市中心部の野球場「新川球場」はスタンドの一部を除いて流され、境野町とみられる地域は軒の高さまで木くずで埋め尽くされている。はだしで歩く女性もいる。

 鈴木さんは「家がたくさんあったはずの場所が、何もなくなっていた。ひどいなと思いながら夢中で撮影した」と振り返る。

 神山さんも被災者で、カスリーン台風の資料を収集し、講演会で体験談を話している。被災から70年の節目に向けて広く資料を募ったところ、鈴木さんの写真に出合った。航空写真用フィルムで撮影しており、これまで集めたどの資料写真よりも鮮明という。

 神山さんは「存命の体験者は年々少なくなっている。体験談をまとめたり、写真を見つけて保管することが一層大切になる」と話している。

 ※アプリ「上毛新聞AR」を使ってスマホやタブレットを写真にかざすと、8枚の写真全てをスライドショーで見ることができます。

◎川氾濫や土砂崩れ 台風被害 後絶たず

 群馬県内で戦後最大の被害をもたらしたカスリーン台風は、水が引くまでに1カ月以上かかり、交通網をまひさせた。592人もの尊い命と、敗戦からの復興を目指す多くの県民の住居を奪い、深い爪痕を残した。

 カスリーン台風を踏まえ、国は利根川水系の治水計画を抜本的に見直し、洪水調整のために上流部でのダム建設を推進した。河川整備の効果もあり、犠牲者が100人を超える水害は発生していないが、台風による被害は後を絶たない。2007年の台風9号では、道路が寸断されて南牧村の集落が孤立状態となった。

 近年は局地的な「ゲリラ豪雨」も多発し、水害リスクが高まっている。国と県が6月以降、洪水の前提を「1000年に1度を超える」規模に引き上げた浸水想定区域を公表した。

最終更新:9/16(土) 6:01
上毛新聞