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“理想の部活”秘密探る 長崎国際大空手部 短く楽しい練習で実績

9/16(土) 9:25配信

長崎新聞

 練習は1日1時間半で週に3日-。長崎国際大空手部はこんな方針で実績を重ねていると聞いた。「本当なの?」。空手で国体出場経験を持つ記者は疑った。目指すは全九州大学大会男女団体組手・形制覇という。「練習は短く楽しく、結果は残す」。そんな“理想の部活“の秘密を探った。

 大学にある道場。準備運動で体を温めた学生は「打ち込み」を始めた。

 「ヤー」。気迫あふれる表情で突きや蹴りを打ち込んでいる。一般的な練習の風景だ。

 次の瞬間、驚いた。

 「全力で打ち込むのは3本だけ? 私は何十本も打ち込んでいたけど...」

 空手部は結成して9年になる。「最初は『遊びのクラブ』と言われた」と健康管理学部長の今村裕行総監督(64)。田井健太郎監督(38)と指導する。主な成績は▽全九州大学大会女子組手団体5連覇(2011~15年)、男子組手団体優勝(16年)▽西日本大学大会女子組手団体2位(11、12年)、男子組手団体3位(17年)など。次第に周囲の目は変わったという。

 強さの理由その(1)「人間力を高める指導」

 「攻撃性や闘争心を駆り立てる男性ホルモンはストレスやプレッシャーに弱い。いやいや練習しても結果は出ない」と今村総監督。「アルバイトなど空手以外の経験を積むことで人と共感できるようになり、団結力は増す」と話す。

 強さの理由その(2)「体のしくみを理解した練習」

 技術面の鍵は「脱力」にある。運動生理学が専門の今村総監督によると、技の破壊力(パワー)は力学的に「質量(体重)×スピード(加速)」という。

 関節には綱引きの関係にある、伸ばす「伸筋」と曲げる「屈筋」がある。突きのときは上腕三頭筋(伸筋・二の腕後部)が収縮し肘の関節が伸びる。このとき肘を曲げる筋肉である上腕二頭筋(屈筋・二の腕前部)の力を抜くことが破壊力につながるという。けがをしない体づくりのため筋力のつり合いを保つトレーニングも重視する。

 「とにかく速く、力いっぱい突け」と言う指導者もいるが、今村総監督は効率的な体の使い方を指導。練習時間の短縮にもつながっている。

 強さの理由その(3)「個人に合わせた栄養指導」

 体力測定や血液検査、食事調査で栄養素摂取量を推定。コーチ陣の調理実習などで増量、減量、貧血改善、自己管理能力の向上などそれぞれの体や目的に合わせた食事指導をしている。

 選手に聞くと「短くても達成感がある」と口をそろえる。上下関係が厳しい武道の世界で、雰囲気も和やかだ。「楽しく、体と脳に無駄なく技を覚えさせる練習」は理想論ではないと思えてきた。「指導者次第で質の高い練習はできる。うちの部員はいい顔をしているでしょう」。今村総監督は笑顔を見せた。

長崎新聞社

最終更新:9/16(土) 9:25
長崎新聞