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中国経済注視する鉄鋼業界、内需減退も見据えた対応急務に

9/16(土) 19:01配信

日刊工業新聞電子版

■持続的な成長へコスト改革・基盤づくり

 鉄鋼業界をめぐる課題は、中国の需給動向だけではない。国内需要の先細りを見据えた事業基盤の強化が急務だ。

 10月18日から開かれる中国共産党大会が終わると、中国政府の景気テコ入れ策が終息に向かうとの観測が強まっている。自動車減税などで需要を先食いした反動が出て、中国経済が減速する可能性があり、日本の産業界も行方に注目している。

 中国の動きに特に敏感なのが鉄鋼業界だ。この間、中国の安価な鋼材が海外へ大量に出回り、日本の鉄鋼各社は苦しんだ。中国政府の景気刺激策による需要の下支えがなくなれば、輸出攻勢が再び強まりかねない。

 ただ日本も長い目で見れば、人口減少などが原因で鉄鋼需要は減る方向にある。足元の景気にばかりとらわれず、構造的な課題に対処し、国内市場が縮小する中で成長を続けるための基盤づくりを急ぐ必要がある。

 経済産業省は2015年に打ち出した「金属素材競争力強化プラン」で、中国勢や韓国勢との競争激化をにらみ、材料設計技術や製造技術の高度化など業界共通の課題に、官民共同で取り組む考えを表明。これに呼応し、高炉3社と物質・材料研究機構が7月に、鉄鋼材料に関する基盤技術の強化に向けた共同研究の枠組みをつくった。

 こうした技術革新の取り組みを加速するとともに、物流や調達でも各社が力を合わせ、コスト構造の抜本的な改善につなげることを期待する。

 一方、普通鋼電炉業界はすでに過剰な生産能力を抱え、稼働率の低下が顕著だ。経産省は同プランで電炉業界の事業再編は「不可避だ」とし、内需減退をはじめとした構造的課題への対応を促している。8月には売上高9位の東京鉄鋼と12位の伊藤製鉄所が、経営統合に向けた協議入りを決めた。だが、総じてみれば再編への動きは鈍い。

 電炉各社は原料となる鉄スクラップの買い取りや雇用を通じ、地域経済に大きく貢献してきた。廃業や撤退に追い込まれた場合の影響も踏まえ、事業継続に向けた再編に本気で取り組む必要がある。

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