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科学の探求に国境ない チュニジア出身男性、京産大で学ぶ

9/17(日) 21:20配信

京都新聞

 チュニジア出身の男性が京都市北区の京都産業大へ1カ月の期限で留学し、細胞生物学を学んだ。母国の高校を卒業した後はフランスの大学で学んだが「科学の探究に国境は関係ない」と、持ち前の行動力で科学技術力が高いと聞く日本を訪れた。さまざまな国の科学技術を吸収しつつ探究の道を探る。
 アバウド・スカンダさん(27)。フランス留学経験があった父の影響を受けた。有機化学合成学を専攻し、モンペリエ大で修士号を取得した。「欧州でも日本の科学の評価は高い」とアバウドさん。昨年は2カ月間、北海道大へ留学。欧州で博士号を取るには外国の研究室で学んだ成果があると評価される。日本留学のかいもあり、今年10月からはフランスの別の大学で博士後期課程に進むことが決まった。
 抗がん剤などの新薬開発が目標だが、がん細胞に作用する状態を観察したいと再び日本への留学を決めた。安全で美しい町並みが気に入ったという。
 京産大はグーグルで検索して見つけた。「京都にいい大学があるという友人の勧めで探してみると、京産大の名前が出たのでメールしたんだ」。8月31日までの期限だが「思い描いたような実験ができた」と満足している。受け入れた総合生命科学部の瀬尾美鈴教授も「とても優秀で学生も刺激を受ける」と喜ぶ。
 母国では、民主化運動によって2011年に23年続いた独裁政権が崩壊した。アバウドさんは既にフランスに住んでいたが、実家に帰っては民主化前後の違いを見つめた。新聞やテレビで自由に政府批判ができるようになった一方で、一時はテロによって治安が悪化した。観光客は戻りつつあるが経済的にはまだ厳しい。「いい面も悪い面もあった」と話す。
 母国の行方に心を配りつつ、世界を舞台に研究を続けるつもりだ。「将来は日本を含めどの国でも働く可能性がある」と、広い視野で研究を極めようとしている。

最終更新:9/17(日) 21:20
京都新聞