ここから本文です

【ZOOM東北】宮城発 汚染廃棄物は各自治体の圏域処理に 試験焼却、住民理解が課題

9/17(日) 7:55配信

産経新聞

 東京電力福島第1原発事故で発生した放射能濃度が国の基準(1キロ当たり8千ベクレル)以下の汚染廃棄物の処理について、宮城県内では焼却する自治体は圏域内の施設で処分し、焼却以外の土壌へのすき込みなども認めるとした県の方針を市町村が了承した。試験焼却の年内一斉開始を目標に、県は自治体との調整に当たるが、施設の地元で反対が根強いところもあり、住民理解が課題となっている。(石崎慶一)

 県内で保管されている放射能濃度が国の基準以下の汚染廃棄物(牧草や稲わらなど)は約3万6千トンに上る。基準以下は一般ごみの扱いとなり、市町村が処理責任を負うが、焼却施設の地元の反発などがあり、処理は進んでいない。

 県は当初、県内の全自治体が協力して広域で焼却処理する方針を示していたが、難色を示す自治体があり、保管する自治体の圏域ごとの個別処理に方針転換し、7月15日の市町村長会議で合意をみた。

 汚染廃棄物は一般ごみと混ぜて焼却する。会議で、県は焼却しない自治体は、焼却する自治体の一般ごみを受け入れて処理能力の確保で協力すると説明。安全性を確認する試験焼却を年内に一斉に始める考えを示した。試験焼却をめぐり、一部自治体から「住民に理解してもらう十分な時間がほしい」との声があったが、村井嘉浩知事は「住民への丁寧な説明は大事だが、批判を受けながらも、みんなで一歩前に進むことが重要だ」と協力を求めた。

 ◆「早期処分」求める声も

 県内では26市町村で汚染廃棄物を保管しているが、保管農家などから早期処分を求める声がある。基準以下の6079トンを抱える大崎市は焼却を基本に処理する意向だが、住民理解が課題だ。市は8月20日の住民説明会で、施設を運営する大崎地域広域行政事務組合とともに12月に試験焼却を始めたい考えを示した。

 大崎圏域では、施設3カ所で焼却し、焼却灰を最終処分場1カ所に埋め立てる。焼却施設では排ガスの放射性セシウムを除去するバグフィルターの監視を強化。最終処分場では放流水などに含まれる放射性セシウム濃度の測定を国の基準より頻度を高くすることなどを説明した。住民からは「子供の健康被害が心配だ」「集約して長期保管する方法を考えてほしい」などの意見があった。

 市は今後、焼却施設や最終処分場の地元住民を対象にした説明会を開く予定だが、根強い反対がある。

 ◆「将来的な不安が…」

 岩出山地区にある焼却施設の地元町内会は8月、試験焼却中止を求める要望書を同組合に提出した。町内会と同組合の間には「焼却場の機能・設備を変更する場合は地元住民に説明し合意を得る」との申し合わせがある。阿部忠悦会長(78)は「汚染廃棄物の焼却は『機能の変更』に当たる」とした上で、「子供への影響や農作物の風評被害の心配などがある」と反対の構えだ。

 最終処分場周辺の伊賀地区住民は6月、焼却灰の搬入反対の陳情書を市に提出した。相沢雅弘行政区長(64)は「将来的な不安があり、次の世代まで安心して生活できる環境にしてほしい」と訴える。

 一方、同じく汚染廃棄物を抱える岩手県では、県全体の発生量約5万9千トンのうち約半分を処理した。焼却している市町村のうち処理済みが9自治体、処理中が7自治体となっている。 宮城県は試験焼却する考えの自治体に対して、岩手県内の処理事例を紹介した。村井知事は「できるだけ早く処理するには焼却しかない。安全だと分かれば、焼却を考えていない自治体も方針転換するのではないか」との考えだ。

最終更新:9/17(日) 7:55
産経新聞