ここから本文です

<拉致・国民大集会>被害者家族高齢化「もう待てない」

9/17(日) 19:10配信

毎日新聞

 北朝鮮による拉致被害者の家族会などは17日、東京都千代田区内で拉致問題の早期解決を訴える「国民大集会」を開いた。この日は、北朝鮮が日本人の拉致を初めて認めた2002年の小泉純一郎首相の訪朝からちょうど15年の節目にあたる。しかし、北朝鮮のミサイル発射や核実験で緊張は高まり、解決の糸口すら見えない。被害者家族の高齢化ばかりが進む現状に「もう長い目では見られない」と怒りの声が上がった。

 07年まで家族会の代表を務め、集会に毎回のように出席していた横田めぐみさん(行方不明時13歳)の父滋さん(84)と母早紀江さん(81)夫妻は初めてそろって欠席した。高齢による体調不安が理由という。

 ビデオメッセージで早紀江さんは、めぐみさんがいなくなった当時のことを振り返りながら、「解決できないまま40年が過ぎた」と嘆いた。滋さんは、ややたどたどしい口調で「めぐみちゃんと早く会いたいです」とだけ話した。壇上では、めぐみさんが拉致された時に9歳だった双子の弟拓也さん(49)と哲也さん(同)がその様子を見守っていた。

 被害者の高齢化も進んでいる。政府認定の被害者のなかで、最初となる1977年9月に拉致された久米裕さん(同52歳)は今年で92歳。78年8月に拉致された曽我ミヨシさん(同46歳)は12月に86歳の誕生日を迎える。

 ミヨシさんと共に拉致され、02年に帰国した曽我ひとみさん(58)は「数日前に8年ぶりに母の夢を見た。母は自分の隣で眠っていたが、これは単なる夢。本当に布団を並べてみたい」と話した。

 拉致被害者の田口八重子さん(同22歳)の兄で、横田さんから家族会代表を引き継いだ飯塚繁雄さん(79)もマイクを握り、強い口調で訴えた。「年を重ねたことで、他界した人もいる。体力が落ち、活動がおぼつかなくなっている人も多い。もう長い目では見られない」。飯塚さん自身もこの夏、体調を崩して1カ月入院したという。

 被害者家族は核・ミサイル問題の深刻化で、拉致問題が埋没することを懸念している。家族の焦りを代弁してか、集会に出席した政治家に対するヤジも相次いだ。「決して埋没はさせない。内閣の最優先課題として解決にあたっている」。安倍晋三首相のこのあいさつの途中には、会場から女性の声で「何年たっているんですか」との声が飛んだ。

 集会では政府に対し、今年中に全ての拉致被害者の救出を目指すために、北朝鮮との実質的協議を求める決議文が採択された。【川崎桂吾】

 ◇関心低下、危惧の声

 「以前よりは署名の数が減ったりもしている」。今月13日、10年ぶりに記者会見を開いた拉致被害者の曽我ひとみさんは、国民の拉致問題への関心が低下していることを危惧した。

 支援団体が集めた署名は9月半ば時点で1216万6480筆。一時に比べれば、集まり具合は鈍化しているという。

 また「救う会」(西岡力会長)の決算報告によると、同会に寄せられる支援金は、03年の6106万円をピークに、06年以降は5年連続で減少。11年には1400万円にまで落ち込んだ。北朝鮮が拉致問題の再調査を約束した「ストックホルム合意」が締結された14年は解決への期待感からか1716万円に増えたが、15年は1641万円、昨年は1707万円にとどまった。

 ただ、救う会の平田隆太郎事務局長は「関心が薄れたとは思っていない」と話し、「拉致問題は国民の間で知らない人がいないくらい周知されており、関心が高いことに変わりはない。今は潜んでいるが、拉致問題に動きがあれば、一気に表に出てくるだろう」と期待する。【川崎桂吾】

最終更新:9/17(日) 22:53
毎日新聞