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“日立自動車”、ホンダをきっかけに世界へ挑戦状

9/17(日) 10:33配信

ニュースイッチ

電動化ニーズ取り込みメガサプライヤーへ

 茨城県ひたちなか市。日立AMSとホンダが7月に設立した電動車両用モーターの新会社に、両社から選抜された技術者が集結していた。新型モーターの開発に向けて“自前主義”や“系列”といったこれまでの業界の常識を超えた新たな挑戦の幕が開けた。

 日立AMSはホンダと2月にEVなど電動車両用モーターの開発、生産、販売で提携した。両社の知見や技術を融合し、競争力のあるモーターを開発。2019年度内に新会社の本社がある茨城県ひたちなか市で、20年度には米国と中国で量産を始める計画だ。

 協業の最大の狙いはモーターに必要な設備投資コストの抑制だ。日立AMSの関秀明社長は「モーターは投資がかさむ部品。世界的にモーターの需要が拡大していく中で、安定供給に向けて避けて通れない巨額投資をどう抑えるかが課題だった」と協業に至った背景を振り返る。

 新会社で開発するモーターはホンダはもちろん、それ以外の完成車メーカーにも供給する予定。規模を生かしコストを抑えながら、モーターの需要を着実に取り込むシナリオだ。

 電動車両の開発を強化しているホンダの八郷隆弘社長も「規模のメリットを生み出せる」と日立AMSとの協業によるシナジーを期待する。

 日立AMSは日立製作所の子会社でモーターはもちろん、インバーター、バッテリーと電動車両の“三種の神器”を自社でそろえておりメガサプライヤーの一角を占める。

 自動運転を含む電動車両向けの製品を拡販し、2020年度に売上高を16年度比3割増の1兆3000億円に引き上げる考えだ。

 ただ独ロバート・ボッシュ、コンチネンタルなど欧州の巨大サプライヤーも、電動車両に必要な部品をシステム化して完成車メーカーに提案するなど攻勢を強めている。

 最近では日本電産のように巧みなM&A(合併・買収)戦略を矢継ぎ早に打ち出し、車載モーターサプライヤーとしての地位を確立しつつある新勢力の動きも目立ってきた。

 世界的な環境規制強化を背景に、完成車メーカーがEVなど電動車両の開発を重視する姿勢を鮮明にしているためだ。電動化は新技術の採用といった新たなビジネスチャンスを生む一方で、従来車で使われていた部品が不要になるリスクがある。

 従来から取引のある完成車メーカーに加え中国などのベンチャーや米グーグルといった異業種を含めて電動車両の開発競争が激化する中、日立AMSはチャンスをつかみ、電動化を支えるメガサプライヤーの1社として確固たる地位を築いていけるのか。ホンダとの協業戦略の行方は、今後の成長を占う試金石になる。

最終更新:9/20(水) 10:30
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