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1人あたり最短10分、昔は最長15時間!? 将棋棋士たちが考え込む「持ち時間」

9/17(日) 10:00配信

AbemaTIMES

 まったく将棋を知らない人と将棋について話してみると、かろうじて知っていることが、考えている間に「10秒…20秒…」と時間を読まれていることだという。戦型はもちろん、駒の進め方を知らない人でも、考えるのに時間制限があることはそれとなく知っているようだ。しかし、将棋ファンでも改めて「持ち時間」について聞かれると、詳しく説明できないこともある。将棋における持ち時間というルール、持ち時間に関するエピソードを紹介する。

◆最短は10分、最長は9時間

 持ち時間とは、棋士に与えられた「考えてもいい時間」のこと。その長短によって、体力や事前の研究量、直感の鋭さなど、さまざまな将棋の強さが問われる。昭和初期までは持ち時間のルールはなかったようだが、現代では棋戦によっては持ち時間が短く改訂されるなどスピード化が図られる傾向にあるようだ。

 持ち時間を使い切ったあとは1手ごとに30秒、1分などの制限時間が決められており、その間に手を指さなければならない。棋戦によっては持ち時間を使い切ったあとに限られた回数・時間だけ1手30秒を超える「考慮時間」を使えるルールもある。

 NHK杯トーナメントや「将棋日本シリーズ」という棋戦における持ち時間「10分」がプロの公式棋戦では最短で、最長は名人戦のタイトル戦で用いられる9時間。1人あたり9時間・2人合計18時間考えるため、2日間にわたって行われる。初期のころの名人戦は持ち時間15時間、3日に渡って指したそうだ。

 アマチュアの大会では「切れ負け」といって、持ち時間を使い切ったら負けというルールもある。団体戦などで何十局・何百局もこなさなければならない大会ではこのルールが適用されることが多く、ある意味プロより過酷なルールと言えるだろう。

◆遅刻をすると持ち時間が削られる

 対局に遅刻をするケースももちろんある。交通の遅延だったり勘違いであったり理由はさまざまだが、遅刻の規定は、およそ以下のようになっている。

 基本は遅刻した分数の3倍を持ち時間から削られる。10分遅刻して対局が始まれば持ち時間が30分削られる。削られる持ち時間が本来の持ち時間を超える場合、もしくは1時間遅刻した時点で不戦敗だ。

 田丸昇九段は自身のブログで、罰金や次期同棋戦の出場停止が課せられることがあることを解説、また対局者でなく、記録係(将棋の棋譜をつける係)や解説・聞き手が遅刻した際にも同様の罰金があると解説している。

◆持ち時間を使わずに勝利

 厳密に1手ごとの考慮時間を持ち時間の消費として適用するルールと、1分未満の考慮時間は切り捨てるルールが棋戦によって定められている。1分未満は切り捨てるルールを活用し、大平武洋六段は「消費時間0」で勝利したことがある。現役棋士では大平六段一人の快記録だ。

◆昔は持ち時間30時間という対局も

 関西ではいまだ根強い人気を誇る明治から昭和の名棋士・阪田(坂田の説もある)三吉は、時の実力者・木村義雄との対局で持ち時間30時間というルールで対局を行っている。1937年2月に行われたこの対局は7日間にわたって指された。このとき阪田は66歳。7日間にわたる真剣勝負は身体に堪えたことだろう。

◆持ち時間に応じた解説が見もの

 ネットで将棋の中継を見ていると、持ち時間に応じて解説や聞き手のリズムやテーマが異なっていることが分かる。短い持ち時間で対局がサクサク進む場合、逆に長い場合で解説する内容、紹介する多彩なネタなども変わってくる。そのあたりを意識してみるのも、面白い観戦法と言えそうだ。【奥野大児】

最終更新:9/17(日) 10:00
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