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F1シンガポールGP決勝レポート:ハミルトンが大波乱乗り切り完勝。跳ね馬は1周目に全滅の悪夢

9/17(日) 23:32配信

motorsport.com 日本版

 F1第14戦シンガポールGPの決勝が行われ、スタート直後からの波乱を乗り切ったルイス・ハミルトン(メルセデス)が隙を見せない完勝を飾った。

【リザルト】第14戦シンガポールGP:決勝

 スタート4時間前に現地がスコールに見舞われたこともあって、各車は路面状況を確かめようと入念にレコノサンスラップを行った。マシンはスリックタイヤでダミーグリッドについたが、上空からは雨が落ち始めた。

 この雨は30分以上降り続くとの予報で、上位6台がインターミディエイトタイヤでのスタートを選択。それ以降はタイヤ選択が分かれ、7番手ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)、8番手のフェルナンド・アロンソ、9番手ストフェル・バンドーンのマクラーレン勢はフルウエットタイヤをチョイスした。

 開催10年目で初のウエットレースとなったシンガポールGPは、セーフティカー先導ではなく、通常通りグリッドからのスタート。しかし、その結果1コーナーで大波乱が発生してしまった。

 キミ・ライコネン(フェラーリ)が好スタートを決めたことで、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が3台横並びとなり、フェルスタッペンは挟まれるような形となってしまった。ベッテルがけん制するような動きを見せた結果、内側のライコネンは弾かれるような形でスピンしてしまい、トップのベッテルや3番手に上がろうかという好スタートを見せていたアロンソとも接触。最終的にフェルスタッペンとライコネンのマシンが1コーナー外側のエスケープゾーンまで滑って行き、リタイアとなった。

 ベッテルはそのままトップをキープしたが、続くコーナーでスピンを喫しクラッシュ。ダメージを負い、レースの続行を諦めてしまった。一瞬で2台を失ってしまったフェラーリにとっては”悪夢の雨”となった。

 マシン処理にセーフティカーが出動し、これでトップに立ったのが好スタートを切ったハミルトン。2番手にはダニエル・リカルド(レッドブル)、3番手にはニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)が続いた。

 5周目からレースが再開。各車が慎重なスタートを切る中で、インターミディエイトタイヤを履く5番手バルテリ・ボッタス(メルセデス)はジョリオン・パーマー(ルノー)に交わされ、バンドーンにも迫られる形となった。一方のハミルトンは快調に飛ばし、リカルドとの差を一気に4秒まで開いた。

 もらい事故でマシンにダメージを負ってしまったアロンソはその後も走り続けていたものの、マシンの左側面に大ダメージを抱えたことから、9周終わりでレースを終えた。

 マシンが巻き上げる水煙も少なくなっていき、徐々にインターミディエイトタイヤを装着するマシンのペースが上がり始めた。インターミディエイトのカルロス・サインツJr.(トロロッソ)は、フルウエットタイヤを履くエステバン・オコン(フォースインディア)をオーバーテイク。ボッタスも再びペースを上げ始め、パーマーに追いついた。

 同じくインターミディエイトタイヤで追い上げていたダニール・クビアト(トロロッソ)だったが、11周目のターン7で止まりきれずウォールに突き刺さってしまった。

 これで2度目のセーフティカーが出動。リカルドがインターミディエイトタイヤをリフレッシュした。後方ではフルウエットタイヤを履くマシンが、続々とインターミディエイトタイヤに交換していった。

 トップはハミルトンのままだが築いたギャップは消滅し、後ろのリカルドはニュータイヤという状況。3番手にはボッタス、4番手には追い上げていたサインツがつけた。その後ろに、タイヤを交換したヒュルケンベルグ、セルジオ・ペレス(フォースインディア)、パーマーが続きレースは15周目から再開された。

 リスタートで大きな順位変動はなく、ハミルトンがファステストラップを叩き出し、リカルドを突き放しにかかった。リカルドはそれについていけず、21周を終えギャップは5秒弱まで広がった。

 湿度が高く、サーキット舗装でもないストリートコースだけに、コンディションの回復はかなり遅い。しかも日差しのないナイトレースという状況も、それに拍車をかけた。雨が降り止んでもなかなかスリックタイヤに切り替えるマシンが出てこなかった。

 25周目、最初に動いたのは12番手を走っていたマグヌッセン。ウルトラソフトタイヤでピットアウトするというギャンブルに出た。14番手のマッサもそれに続いたが、ハミルトンのラップタイムはようやく2分を切った段階だ。

 マッサは無線でウルトラソフトタイヤが”正しいタイヤ”だと断言。それを聞いてストロールがピットに飛び込んだ。同時に、マグヌッセンがセクター1で全体ベストを記録している。

 これを見て続々と他のマシンがピットに飛び込み、ドライタイヤに交換していった。リカルドのピットインは28周終わり。ボッタスも続けてピットインし、ウルトラソフトタイヤを装着した。

 ハミルトンは1周待ってピットイン。10秒近くのギャップがあったこともあり、楽々リカルドの前、トップでコースに復帰した。

 バンドーンはドライタイヤ装着時に、ピット作業で大きくタイムロス。ドライタイヤに換えた直後の7番手パーマーに引っかかる形になってしまった。また、ほとんどのマシンがウルトラソフトタイヤを履く中で、唯一スーパーソフトを装着する5番手サインツがペレスから攻撃を受けるが、ラインの自由度が低い中で防御を続けた。

 リカルドがペースをあげれば、ハミルトンがそれに反応するという形で、その差は9秒前後から縮まっていかない。ところが、ここでこのレース3度目のセーフティカーが出動することになった。37周目、マーカス・エリクソン(ザウバー)がコース幅の狭い橋の上でスピンしマシンを止めてしまったためだ。

 ここで4番手を走っていたヒュルケンベルグがピットイン。表彰台を狙うためのタイヤ交換ではなく、トラブルでの停止だったようだ。コースには復帰したが10番手まで後退。後に無念のリタイアとなった。

 セーフティカーラン中に、レース時間が残り30分を切り、61周のレースを走り切るのは絶望的な状況となった。レース再開は残り27分、42周目から。ここでもハミルトンはファステストラップをマーク。リカルドに対し2周で4秒のギャップを築いた。

 ハミルトンにはエンジニアから、ペースをコントロールし隊列を接近させることでリカルドにピットストップを許さないように指示が飛ぶものの、ハミルトンはリズムが乱れるのを嫌ってこれを拒否した。

 残り10分を前に、MGU-Kにトラブルを抱えマグヌッセンがスローダウン。ピットに戻りリタイアとなった。

 結局、ハミルトンはリカルドとの差を3秒弱でコントロールしたままトップでチェッカー。メルセデスの不利を覚悟し、3列目からスタートしたレースで望外の勝利を手にした。ボッタスも3位でフィニッシュし、表彰台を獲得。雨に翻弄され、ダブルリタイアとなったフェラーリとは対照的な結果となった。

 週末を通して絶好調だったレッドブルは、結局リカルドが2位止まり。ドライタイヤを装着してからも、ハミルトンのペースについていけず、勝利を手にすることはできなかった。

 4位サインツ、6位パーマー、7位バンドーンはそれぞれにとって自己ベストのリザルト。特にパーマーは今季初ポイント獲得となった。フォースインディア勢はペレスが5位、オコンが10位に入り2台がポイント獲得。2台ともがポイントを獲得したのは彼らとメルセデスだけだ。

 このレースで最も順位を上げたのがストロールで、18番グリッドから8位フィニッシュ。9位はグロージャンとなった。

 完走はわずか12台、レースは結局58周で終了となった。

 3ポイントのリードを持ってシンガポールに乗り込み、週末を通して苦しい戦いを強いられたハミルトン。しかし、終わってみればそのリードが28ポイントに拡大。サマーブレイク明けから3連勝を飾った。

松本和己