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「既得権の打破が低成長の罠から抜け出す唯一の解決法」

9/17(日) 14:01配信

ハンギョレ新聞

チョ・ドンチョル韓国銀行金融通貨委員 「資源配分の効率性高める構造改革政策展開してこそ」 「所得主導の成長政策も中長期的な処方ではない」

 「果敢な構造改革が、韓国が成長する唯一の源泉だ。(構造改革に対する)既得権勢力の抵抗をどのように克服するかがカギだ」

 韓国銀行金融通貨委員会のチョ・ドンチョル委員は7日、韓銀と企画財政部、国際通貨基金(IMF)、ピーターソン国際経済研究所が共同主催した国際セミナーで「韓国経済は日本と20年の時差を置いて酷似した流れを見せている。(量的緩和やマイナス金利政策のような)非伝統的な通貨政策を含む非常措置が必要な時が来る可能性がある」として、このように話した。

 1990年代初めから20年余り、長期沈滞に陥った日本の後を追っている韓国経済の唯一の脱出口は、韓国社会に広範囲に広まっている既得権を打破することにかかっているという趣旨だ。韓国開発研究院(KDI)の首席エコノミストを務めるなど韓国で屈指のエコノミストに挙げられるチョ委員が、既得権の打破を叫んだ理由は何か?

■ 14年後、OECD成長率と初の逆転

 経済が成熟した段階に至れば成長率は次第に低下する。身長が乳児・青少年期にどんどん伸びるが、成年期になれば成長が止まるのと同じ論理だ。韓国の成長率鈍化はすでにかなり以前から多くの研究で予想されてきた。産業が高度化し、投資はこれ以上の増加が難しいうえに、少子高齢化で労働力の供給も減少し、70~90年代に経験した高成長は期待しにくいということだ。むしろ、議論の焦点は成長率の“鈍化”より鈍化の“速度”に移っているのが事実だ。

 実際、経済協力開発機構(OECD)の推定によれば、韓国の成長率は2020年代後半に2%序盤に下がった後、2034年には1%台に下落する。さらに15年後からは1%台の成長まで危うくなる状況に立たされる。ここで興味深いことは、韓国の成長率が極めて急速に下落し、遠からず“先進国の集い”であるOECD加盟国の平均成長率にも至らない水準まで墜落するところにある。OECDの展望どおりならば、今から14年後の2031年頃、韓国の成長率(2.14%)はOECD加盟国平均(2.17%)以下に下がり、その後は成長率格差がさらに拡大する。

 より成熟した経済条件を持っている国より韓国が一層低い成長率になるという“異常”現象が現れるという展望だ。モーリス・オブストフェルドIMFチーフエコノミストは、今回のセミナーで「アジア国家は富裕になる前に老いる」という主張を展開したが、韓国も例外ではないわけだ。

■ 「持てる資源を最大限に活用すべき」

 各国政府や国際機構、専門家たちが出した低成長からの脱皮処方は概略似ている。高齢化にともなう労働力不足の憂慮を減らすために出産率を引き上げ女性の労働参加拡大を誘導し、研究開発や教育に対する投資を増やして技術革新速度を高めろと勧告する。通貨と財政を拡張的に編成し、所得の分配を改善しなければならないという意見も繰り返し提起されてきた。

 チョ委員はこのような処方に首をかしげる。何よりもこうした政策の効果が疑わしいという。彼は12日、ハンギョレと会って、IMFが勧告した「女性雇用拡大」に言及し、「高齢化にともなう労働供給不足を解決するために、女性の雇用拡大を言うが、そうなれば出産率がむしろ低下して(期待とは異なり)労働供給が減りかねない。インプット(Input・労働および資本の供給)を増やせば、成長はさらに高まると考えられるが、この過程でまた別の変数に影響を与え、効果が出ないこともある」と話した。彼はまた、政府が展開する所得主導の成長政策に対しても「短期的処方にはなるが、中長期的に成長率を引き上げられる処方ではない」として距離をおいている。

 彼が注目するのは効率性だ。チョ委員は「同じ人を使って同じ金額を投資しても、1億ウォン分を生産する企業があり、5千万ウォン分しか生産しない企業もある。現在の生産要素を適材適所に配置すること、すなわち資源配分の効率性を高める構造改革政策を展開しなければならず、これが私たちの取り得る唯一の方法」と強く主張した。現在持っている人的・物的資源を最大限に活用する方案を求めることに力を使わなければならないということだ。

■ 苦い薬、「全面的社会改革」が至急必要

 チョ委員が国内外の著名な碩学の前で「既得権の打破」を叫んだのは、このような脈絡からだ。経済全般の効率性を低下させる核心原因は、韓国社会に広範に広まっている「既得権」だというのが彼の考えだ。チョ委員は、既得権を「能力以上の報賞を享受する現象」と解説し、「各種の進入規制などにより大企業が享受する寡占利益や、無分別な政策資金であふれかえるゾンビ企業(政府の政策資金で延命している不良企業)の存在は、韓国経済が構造改革を通じて一層の成長をする余地が多いということを示している」と強調した。

 中でもチョ委員は、何よりも労働市場の躍動性確保が重要だと主張した。彼は「現在、韓国社会を見れば20代で人生自体が決定されるようだ。一例として(20代で)良い大学の看板を取り、これを土台に公共機関などへの入社に成功すれば、一生安定的で高い所得を保証されているではないか。私が勤める韓国銀行も同じ」と皮肉った。彼は「20代でこういう過程を経ることができなくとも、その後に能力を身につければ、良い職場と多くの所得を享受できなければならない」として「何がこれを阻んでいるかを見回して(政府が既得権勢力の抵抗を突き抜ける)改革政策を展開しなければならない」と付け加えた。

 彼は「既得権の打破は、結局政治が重要だという意味」とし「既得権を打破する作業は、利害関係者の反発を招くために人気のない政策になりがちだが、政府が大きな絵の中で着実に押し進めなければならない」と強調した。

キム・ギョンナク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:9/17(日) 14:01
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