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波乱あり、ドラマありの「GALLERIA GAMEMASTER CUP」が閉幕

9/18(月) 0:00配信

Impress Watch

 3連休中日の9月17日、サードウェーブデジノス主催のeスポーツ大会「GALLERIA GAMEMASTER CUP」の2日目が実施され、「Counter-Strike: Global Offensive」部門は、優勝候補筆頭のSZ.Absolute、「World of Tanks」部門は、ほぼ唯一のプロチームCaren Tigerがそれぞれ初優勝を決めた。Caren Tigerは賞金100万円、SZ.Absoluteは賞金150万円に加えて、「CSGO」日本代表として、10月に上海で実施されるアジア大会「eXTREMESLAND」に出場する。

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 最終日の2日目は、決勝戦のみ2試合が行なわれた。それぞれ優勝候補が出場し、予想を裏切らない結果となったが、会場で観戦された方、あるいは配信でご覧になった方はご存じの通り、波乱あり、ドラマあり、はたまたトラブルありの展開で、一筋縄ではいかない、スポーツ本来が持つ筋書きのないドラマをたっぷり堪能することができた。やはりeスポーツ観戦はおもしろい!

【GALLERIA GAMEMASTER CUP オフライン決勝2日目】■強豪Caren Tigerをギリギリまで追い詰めたTyphoon。日本にまた新たな気鋭のチームが登場

 「WoT」部門の優勝候補Caren Tigerは、Wargaming.netが主催するプロスポーツリーグWargaming.net League(WGL)最上位のゴールドリーグに出場しているプロチームで、国内外で数々の実績を持つ強豪だ。対するTyphoonは、プロ選手はプロゲーミングチームSCARZ所属のMatcha選手のみで、後はアマチュア選手ばかりという編成。昨期、WGLのシルバーリーグに出場したものの、実績、経験共に少ない。名実共に日本トップチームのCaren Tigerに、Typhoonがどれだけ立ち向かえるのかが注目される一戦となった。

 試合は、ゴーストタウン、サンドリバー、ヒメルズドルフの3マップによるBO5で行なわれた。WGL規定のBO8と比較すると短めで、試合の絶対数が少ないほど、波乱がおきやすくなるが、まさに大波乱の展開となった。

 本大会の大きなポイントは「Tier VIIIまで」というところだ、Tierポイントは56あるため全車両Tier VIIIとなる。WGLではすでに使用車両はTier Xとなり、Tier VIIIルールは2年前まで遡らなければならない。当時はIS-3を軸とした重戦車部隊に対するカウンターとして、T-54 Lightweight 7輌による速攻が猛威をふるった。今のバージョンではどういった戦いになるだろうか。

 果たして結果は、時代を反映して見たことも無いような編成ばかりだった。重戦車は、ドイツのマウスの初期案VK 100.01 Pに、スウェーデンのオートローダー重戦車Emil I、ソ連のObject 252Uという具合で、一部の“保守派”はIS-3を投入していたが、見事にニューカマーばかりだ。

【Caren Tiger対Typhoon】

 1、2戦目のゴーストタウンは、Caren Tigerは上記重戦車を主力とした編成なのに対して、TyphoonはWGLではまず見られない駆逐戦車ISU-152を2輌も投入。この変則的な編成に場内からは笑いがこぼれていたが、一発750ダメージ、貫通させれば2発で重戦車を屠ることができる。ゴーストタウンは超近距離での打撃戦になることが多いため、これはネタではなく意図的な編成だろう。

 対してCaren Tigerは、ISU-152との正面対決を避け、上手く相手を引き込みながら包囲戦を展開していく。敵も然る者でISU-152の直撃を何度か受けてしまうものの、その都度、誰かがカバーに入り、見事なダメージコントロールで撃破を許さない。一糸乱れぬ統率はさすがプロチームという感じであり、あれよあれよといううちにCaren Tigerが2ゲームを連取。「やっぱISU-152はダメだって(笑)」と場内からツッコミも出る始末で、「やはり3:0で終わってしまうのか」という雰囲気が漂い始めた。

 これに待ったを掛けたのがTyphoonリーダーのMatcha選手。3、4戦目のマップ サンドリバーは現在実施されているExtendedシーズンから採用されたマップで、WGLでもまだ確固たる戦術が存在しない。Matcha選手はCaren Tigerの過去の戦い方から、北側を取りに行くと読み切り、先にスポットを取り、オートローダーによる集中攻撃で先手必勝に賭ける戦術に出た。

 このスポット取りで活躍したのは軽戦車ではなく、「戦場のヴァルキュリア」コラボで追加されたコラボ車輌エーデルワイス。カテゴリとしては中戦車だが、Tier VIIIでは最高水準の60kmの快速を誇り、高速を活かした偵察を得意とする。

 Matcha選手が考案したLorraine 40 tとエーデルワイスによる先手必勝戦術が2試合とも当たり、まさかの2連勝で、勝利の行方は最終戦までもつれ込んだ。観客は判官贔屓が多いのか、Typhoonを応援する人が圧倒的に多く、もう試合に勝ったかのような大騒ぎだ。

【ゴーストタウン】

【デザートリバー】

 最終戦はヒメルズドルフ。WGLでも定番中の定番マップで、Caren Tigerは練習も含めれば何千戦と戦っているマップだ。もう後がないCaren Tigerは、防衛側を選択した上で思い切った作戦に出る。中央の公園に布陣するというセオリーから外れた戦術に出たのだ。

 リーダーのAki00v選手のIS-3は、中央の公園からさらに南側に出たところを補足され、Typhoonの集中攻撃を受けるものの、ギリギリのところで退避に成功。Typhoon全車両の位置をCaren Tigerが把握した時点で実質的には試合終了で、後は1輌ずつ綺麗に撃破し、圧巻の横綱相撲を見せつけた。見ていた限りでは、Aki00v選手のIS-3が撃破されていたら、勝敗の行方はわからなかったような気がするが、「発見されたタイミングが最悪だっただけで、逃げ切れると思っていました」ということだ。

【ヒメルズドルフ】

 かくして第1回大会の覇者となったCaren Tigerだが、優勝後に控え室で話を聞いたところ、やはりWGLの練習で忙しく、Tier VIIIでの全体練習は1回しかできず、純粋に練習不足だったことを認めた。サンドリバーについては、今後WGLでも戦う機会が増えるため、しっかり練習して勝てる戦術を作っていきたいとコメントしてくれた。

 一方の敗れたTyphoonは、アマチュアチームながら2:3という大健闘で、Matcha選手としてもチームの未来に大きな手応えを感じたようだ。今後シルバーリーグでも結果を残し、ゴールドリーグに昇格することを目標に、今後も活動していくという。「WoT」ファンはTyphoonという名前を覚えておこう。

【「WoT」部門表彰式】

■やはり強かった常勝軍団SZ.Absolute。1ゲーム取られてからの逆転優勝

 「WoT」表彰式の後は、GALLERIA GAMEMASTER CUPのクライマックスとなる「CSGO」の決勝戦が行なわれた。

 対戦カードは、昨日の準決勝を勝ち上がったALTERNATIVとSZ.Absolute。下馬評では、SZ.Absoluteの完勝が予想されていたが、いざ試合が始まると、ALTERNATIVが昨日を上回る好調ぶりを見せつけ、5:10という劣勢の状態からなんと11ゲーム連取し、16:10で1ゲーム目を勝利するという波乱含みの幕開けとなった。

 全メンバーの動きが素晴らしかったが、とりわけ本大会のMVPを獲得した凄腕スナイパーFisker選手の活躍が素晴らしく、彼がスコープを構えて射撃すれば相手選手に当たるという感じで、おもしろいように倒していく。SZ.Absoluteも、エコラウンドを早めに切り上げたり、集団で動いて多対1の状況を作り出すなどなんとか形を作ろうとしたものの、ALTERNATIVは相手の動きをよく学んでいて、パターンを読んで先回りして狙っているという印象だった。こうしたことは常勝軍団が必ず陥るスランプのパターンのひとつで、SZ.Absoluteがプロチームとして乗り越えなければならない試練だ。

 2ゲーム目、もう後がないSZ.Absoluteは、まさに全力全開といった感じで圧倒的な強さを見せる。ところが9:3と有利に進めているところで、審判より物言いが付いた。リーダーでエースのLaz選手が、スクリプト使用という規定違反を行なったのではないかと判定されたのだ。この結果、関係者による協議がはじまり、15分近く試合が中断した。

 結果は“シロ”。トッププレーヤーの高速操作を、スクリプトと誤認しただけだった。もともと「Counter-Strike」は、「Half-Life」のMODとして始まっており、スクリプトやツールの使用に関しては寛容なカルチャーがあるが、eスポーツとなると公平性が求められるため、ここまでは良く、ここからはダメという明確な線引きが必要になる。当然、本大会でもそうした規定は存在するが、肝心のチェックする側のスキル、ノウハウがまだ育ってなかったということのようだ。人間のすることなのでどうしてもミスは出てしまうが、長時間の中断は興ざめで、できれば避けて欲しい。この点は次回の課題だと思う。

 さて、試合再開後もSZ.Absoluteの勢いは止まらず、Laz氏のスナイプも冴え渡り、16:3で2ゲーム目を取った。この突然の中断にも緊張の糸を切らさなかったのはさすがといえる。

 3ゲーム目は、両チームの持ち味が冴え渡り、一進一退の攻防が繰り広げられた。中でも強く印象に残ったのは、Fisker選手とLaz選手。共にスナイプを得意とする選手で、Fisker選手が4キルをとれば、すかさずLaz選手が2キルを取り返し、スナイプ合戦に会場も大いに盛り上がった。

【ALTERNATIV対SZ.Absolute】

 最終的に試合に勝ったのはSZ.Absoluteだが、ALTERNATIVのFisker選手の勢いは最後まで止まらず、最後の最後までファーストキルを取り続け、鬼神のような活躍でSZ.Absoluteの勝利を脅かし、まさに大会MVPにふさわしい活躍振りだった。一方、ファーストキルを取られ、数の上では劣勢に立たされながらも崩れず、チーム力で勝利を掴んだSZ.Absoluteもまさに日本代表にふさわしく、アジア大会「eXTREMESLAND」でのさらなる活躍が期待されるところだ。

 優勝インタビューでリーダーのLaz選手は、アジア大会の目標を「優勝」とし、「中国チームは非常に強いが、今のSZ.Absoluteも凄く強いので期待していいと思う」と控えめながらも自信を覗かせていた。「eXTREMESLAND」は、中国上海において10月19日から22日の日程で開催される。サードウェーブデジノスによる配信も行なわれる予定なので、ぜひ応援しよう。

【優勝はSZ.Absolute!】

【表彰式】

■SZ.Absoluteメディア合同インタビュー

 表彰式の後、メディアの囲み取材が行なわれたので、その模様をお届けしたい。

――常勝チームとして優勝を期待され、そして実際に優勝を手にすることができたわけですが、今の感想を聞かせて下さい。

Sakura選手:結果だけで言えば、嬉しいです。急にヘルプで入ったので、色々不安もあったんですけど、みんなでカバーし合って、最終的に優勝することができて、試合が終わったときホッとしました。

Laz選手:これで10連勝になるんですけど、1試合1試合、凄く接戦が多くて、これ以上ミスをしたら負けてしまう試合ばかりで、そういう中で勝てて良かったです。

――1ゲーム目は、11ゲーム連取されるという非常に悪い形で負けてしまいましたが、チーム内で何が起こっていたんですか?

Laz選手:焦りでしょうか。普段より格段にミスが出て、そのミスからどんどん崩れて行ってしまったんだと思います。

――2ゲーム目からどのように切り替えましたか?

Laz選手:1ゲーム目負けて士気も下がっていたので、2ゲーム目からはいつも通りいこうと話し、それに仲間が付いてきてくれた感じです。

――2ゲーム目の途中でスクリプトの使用が疑われましたが、その対象は誰だったんですか?

Laz選手:俺です。

――疑われたとき、どのように思いましたか?

Laz選手:対象となったスクリプトは色んな人が使っているもので、最初から使っても問題がないということがわかっていたので。

――では、どのようにして緊張の糸を切らさないようにしましたか?

Laz選手:試合が始まったらすぐ集中しただけで、特に緊張の糸を切らさないようにしようとは考えませんでした。

――3ゲーム目は息詰まる熱戦が繰り広げられましたが、どのような作戦で行きましたか?

Laz選手:いつも通りです。

――本大会の戦い振りを自己評価をするとどんな感じですか?

Laz選手:僕は普段通りできたかなと思います。

Sakura選手:僕は久しぶりに「CSGO」を触ったので色々不安があったんですけど、優勝できて良かったですし、全力は尽くせたかなと思っています。

barce選手:変わらない感じです(笑)

poem選手:最初緊張したんですけど、2マップ目、3マップ目で気持ちを切り替えて戦えたのでベストは尽くせたかなと思います。

crow選手:僕はオフライン大会は初めてではなくて、何回か経験があるんですけど、特別緊張もすることなく、いつも通り戦えたかなと思います。

――これから上海でアジア大会に出場するわけですが、どのあたりを目標に置いてますか?

Laz選手:目標はもちろん優勝です。ただ、アジアには強いチームがいくつもあって、そのアジアのチームと何回も練習ができているわけではないのですが、先ほども言いましたが、SZ.Absoluteはかなり強いので行けるんじゃないかなと思っています。

――意識している国や地域、チームはありますか?

Laz選手:アジアの中では中国が強いので、そこに勝てるように頑張りたいです。

――逆に言うと、中国以外の国や地域のチームには勝てますか?

Laz選手:そうですね。Pingが不利な状況でも接戦に持ち込めたりするので、オフラインで同じ環境で戦うことができれば勝てるんじゃないかと思います。

――中国チームと戦う上でキーとなる選手は誰だと思いますか?

Laz選手:5人とも凄く重要なので、誰か1人というのは難しいですね。全員です。

――150万円という非常に高額の賞金を手に入れましたが、使い道を教えて下さい。

Sakura選手:優勝したことを親に連絡したら、妹の学費に使わせてくれと(笑)。

Laz選手:貯金します。

barce選手:「CSGO」に使います。

poem選手:親への返済にあてます(笑)

crow選手:僕も特に考えていないんで、貯金です。

――GALLERIA GAMEMASTER CUPに対する感想は何かありますか?

Laz選手:大会を開催してくれることは、ありがたいという言葉以外見つからないぐらい感謝しています。もちろん、続けていただけると凄く嬉しいです。「CSGO」の発展にも繋がりますし。

barce選手/poem選手:ありがとうございます!

crow選手:オフライン大会を開催してくれることはモチベーションも上がるしありがたいんですけど、大会前に説明があったと思うんですけど、もし優勝して中学生や高校生が学校を休んでいくのは理解が得られないのではないかというお話ですが、eスポーツに年齢は関係ないはずで、もし次回があるとすれば年齢の規制はしてほしくないです。

Sakura選手:これだけ大きな会場、たくさんのPCを用意して大会を開催してくれて、メディアさんもたくさん来てくれて感謝しています。ありがとうございます。

――応援してくれたファンに向けてメッセージと、これからの抱負について一言お願いします。

Laz選手:あまりアスリートが言うような月並みなことは言いたくないんですけど、応援してくれるのは本当にありがたく思いますし、これからもよろしくお願いします。

GAME Watch,中村聖司

最終更新:9/18(月) 0:00
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