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iPhone採用で加速か。有機ELパネル、5年後に4.6兆円市場に

9/21(木) 14:09配信

ニュースイッチ

16年比で3倍。大型ではインクジェット式の量産化も

 富士キメラ総研(東京都中央区、田中一志社長)は、2022年の有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレーの世界市場が16年比約3倍の4兆6140億円となる予測を公表した。テレビ向けの大型パネルが大きく伸びるほか、中小型ではスマートフォンに加えスマートウオッチや車載パネルでの採用が広がる見通しだ。

 市場別では22年に大型有機ELパネルが16年比4・7倍の7617億円に、中小型は同年比2・8倍の3兆8523億円になると予測した。

 大型では生産歩留まり改善や低コスト化が進み、高価格帯テレビでの採用が増加。18年以降はインクジェット方式の有機ELパネルの量産化も見込まれ、市場拡大を後押しする。参入メーカーの増加もあり17年以降の拡大が見込まれ、有機ELテレビの出荷台数は22年に16年比12・9倍の1100万台となる見通し。

 中小型でもスマホへの有機EL採用が進み、高価格帯での主力になるとみられる。19年には液晶が2兆4355億円、有機ELが2兆5907億円と構成比が逆転する見通しだ。

 ディスプレー全体では、22年の市場は16年比21・8%増の13兆4436億円と予測する。

アップルvsサムスンが駆け引き

 有機ELディスプレーを初めて採用したiPhoneが登場。ファンの間で期待が高まっている。その一方で、有機ELはアップルのアキレス腱にもなりかねない。有機ELディスプレーを当初、独占供給するのがスマートフォン市場で激しく競り合う韓国サムスン電子だからだ。

 そうした事情もあり、アップルはサムスンへの電子部品の依存度を年々下げてきている。例えば、2015年発売のiPhone 6Sに搭載された自社設計の「A9」プロセッサーではサムスンと台湾のTSMCの2社に製造を委託したが、iPhone 7の「A10」および今回発表される次期モデルの「A11」はともにTSMCの全量供給とされる。

 サムスンも黙ってはいない。有機ELディスプレーの独占供給契約との合わせ技で幹部がアップル本社に交渉に赴き、来年発売のiPhone向けプロセッサー「A12」の受注をサムスンが一部獲得したとも言われている。アップルもサムスンの圧力を削ぐべく、7月には韓国のLGディスプレイの有機ELパネル製造ラインに数千億円規模での資金提供を協議中とも報道された。

 有機EL搭載のiPhoneが脚光を浴びる中、アップルはその先も見据えているようだ。14年に買収した米ラックスビュー(LuxVue)の技術をもとに、より製造コストが安く、表示が明るい上、薄型軽量化が可能とされる「マイクロLEDディスプレー」について台湾で独自の研究開発を進めているとされる。

 現状、有機ELパネル市場でシェアを独占するサムスンディスプレイは、中国スマホメーカー向けにも供給している。18年以降、市場は有機ELに大きく舵(かじ)を切り、従来とは違った成長を見せるだろう。

最終更新:9/21(木) 14:09
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