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iPhone 8実機レビュー:これは「羊の皮を被った狼」だ:カメラ高画質化、動作速度に劇的な変化

9/23(土) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

発表会直後、本誌にて筆者は、「iPhone 8は中継ぎではない」と書いた。実機を使ってみると、その思いはさらに強くなる。デザイン変更部分が小さいので新鮮さには欠けるものの、iPhone 8シリーズは、iPhone 7よりかなり進化している。特にカメラの変化は圧倒的だ。 アップルが、デザイン的には保守であるiPhone 8で狙ったのは、「普通の人」が好みそうなカメラの進化であり、新機軸の用途(AIとAR)に対する一種の基盤整備だった。

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カメラ画質向上裏にある「ハード・ソフトの総合力」

iPhone 8シリーズは、4.7インチの「iPhone 8」と5.5インチの「iPhone 8 Plus」の2ラインナップ構成だ。ワイヤレス充電の採用により背面がガラスになったが、デザインの大枠に変化はない。別の言い方をすれば、使い方もいままでのiPhoneと大差ない。

セッティングが終われば、いつものように一切の戸惑いなく使えることは、ある人にとっては「変わらなくてありがたい」ことだし、ある人にとっては「同じでつまらない」ことだ。その辺は、アップル側としても意図的に狙ったはずだ。

では、「使い勝手」は同じなのか? というとそうではない。劇的な変化を感じた部分がある。その1つはカメラだ。

iPhone 8系のカメラは、特に「光量が少なく、撮影が厳しいシーン」に強いようだ。夜景は明るく鮮やかになるし、レストランで食事を撮影する時もより美味しく見える。良く晴れた公園のように、本来非常に恵まれた撮影環境であっても、発色・ディテール感がさらに良くなったように感じる。この辺は、実際に撮影したサンプルを見ていただくのがわかりやすい。当然、すべて同じ条件で撮影したものであり、撮影時には「一切特殊な設定をせず、シャッターを切っただけ」だ。

こう書くと、さぞ撮影用のセンサーが良くなったんだろう……と思われそうだ。実は、iPhone 7系と8系では、レンズやセンサーに「数字上の優位点」はない。もちろん新しい世代に変わっているし、カラーフィルターも変更になっているようだ。とはいえ、「800万画素が1200万画素になった」というような、わかりやすい進化があったわけではない。秘密は、ソフトとハードのインテグレーション(すり合わせ)にある。

アップルはカメラについて、センサーやレンズなどの「デバイスの進化」とソフトの進化の両面でアプローチしてきた。特にソフトについては、他社よりかなりアグレッシブなアプローチをしている。iPhone 8での進化は、まさにソフトとハードの合わせ技でなくてはできないものだ。

iPhone 8系では、プロセッサー(主要半導体部品)を新世代の「A11 Bionic」に刷新した。A11 Bionicには、画像処理を助ける「ISP(イメージ・シグナル・プロセッサー)」という機能と、AI的な処理を司る「バイオニック・ニューロ・エンジン」が組み込まれている。アップルは数年前から「写真の画像処理に機械学習の成果を使っている」と公言している。そこから考えると、ISPとバイオニック・ニューロエンジンの合わせ技によって、より高度な画像処理を撮影時に行うことで、「単にシャッターを切っただけでも、より見栄えの良い写真が撮れる」と考えられる。

カメラの画質はスマホを購入する際に、大きな要因となる部分だ。iPhoneはもともと評価が高いが、それでも、iPhone 7を超えるカメラを搭載した他社製品は出てきている。そうしたライバルに対し、総合力で戦うのがアップルのやり方だ。「性能の高いデバイス」で戦うと、結局、メーカー間で「高性能デバイスの取り合い」が起き、そこで勝った会社が性能でも販売でも勝つ。アップルは自社開発部分(A11 Bionic)を他社では到達しづらい領域にまで広げることで、「高性能デバイスの取り合い」からは一線を画し、さらに、自分達が考える理想の方向へと差別化領域を広げようとしている。

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