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宇宙ロケットなぜ空中発射? 専用の巨大飛行機を用意してまで実現する理由とは

2017/9/24(日) 7:10配信

乗りものニュース

世界最大の翼幅を持つ巨大航空機、その役割は…?

 マイクロソフトの共同創業者として知られる実業家のポール・アレン氏が創設した、アメリカの宇宙ベンチャー企業ストラトローンチ・システムズが2017年5月末、長さ117mと世界最大の翼幅をもつ持つ航空機「ストラトローンチ」を公開しました。

【写真】爆撃機B-52もかつては母機に

 これは、機体に宇宙ロケットを搭載し空中で発射するための母機で、機体は双胴でボーイング747用のエンジンPW4056を6発搭載し、全長は約72mにもなります。

 翼幅117mという長さは、大型旅客機のエアバスA380が79.8m、大型輸送機のAn-225 「ムリヤ」が88.4mですので、「ストラトローンチ」の翼が他の大型機と比べてもいかに大きいかがわかります。

 また、機体の開発コストを抑えるために、ユナイテッド航空から中古で購入した2機のB747-400からエンジンをはじめ多くのパーツを流用しています。

 前述のように、「ストラトローンチ」の用途は空中からロケットを発射するための母機です。これほど大きな母機を用意して、わざわざ空中からロケットを発射するのには、どのような理由があるのでしょうか。

空中発射ロケットのメリットとは?

 空中発射ロケットは母機が空中でロケットを発射するため、母機が離着陸する滑走路さえあれば発射が可能です。地上から発射する通常のロケットに比べ、発射場などの地上設備が不要で、コスト面で優位性があると言われています。

 また、地上からロケットを打ち上げる場合は気象条件が重要となりますが、天候が安定している成層圏からの発射は母機が離陸さえできれば可能となるため、地上の天候に左右されなくなります。そして、高高度では大気の密度や気圧が低くなるため、同出力のエンジンでも地上発射と比べてより重い機体を発射することが可能となります。

 ロケットの空中発射は、第二次世界大戦中にドイツで開発されたHs293のような航空機から発射するロケット噴射のミサイルにルーツがあると言えます。米ソ冷戦時代には、地上の弾道ミサイル発射基地が攻撃された場合の反撃措置の一環として、空中発射弾道ミサイルの研究開発が進みます。しかし、その後ミサイル発射基地の防御能力が向上したことや、航空機では地上基地や艦船に比べて必然的に搭載量が少なくなるため、研究開発は中止となりました。

 空中発射弾道ミサイルの研究は中止となりましたが、その技術を活かして空中発射ロケットの研究が進みます。

 アメリカ海軍の開発したロケット「パイロット2」はすべて打ち上げに失敗しましたが、アメリカのOSC(オービタル・サイエンシズ)社が開発した空中発射ロケット「ペガサス」は打ち上げ総数42回のうち37回で成功し、人工衛星打ち上げ用ロケットとして実用化されました。

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最終更新:2017/9/24(日) 8:23
乗りものニュース