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新「昇降バー式」でホームドア設置促進へ 小田急と高見沢、実証実験開始

9/24(日) 18:07配信

乗りものニュース

ホームドア導入を妨げている大きな課題

乗りものニュース

 小田急電鉄と高見沢サイバネティックスが2017年9月24日(日)、小田原線の愛甲石田駅(神奈川県厚木市)で「昇降バー式ホーム柵」の実証実験を開始しました。これにより、鉄道の安全対策が進んでいくかもしれません。

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 ホームドアを設置すると安全性が高まり、運行の安定性も高められますが、導入には課題もあります。「ドア位置が異なる列車への対応」と「コスト」は、その大きなものです。

 重量物をホームへ設置する際、ホームの補強が必要な場合があり、そのコストはホームドアの値段より高くなることも。また列車を定位置で停止させるため、車両や線路を改造して「定位置停止装置(TASC)」を設置するといったコストも発生します。

 今回、実証実験が行われる昇降バー式は、バーの長さを最大450cmまでのばせるため、ドア位置が異なる列車にも対応可能。そして軽量で、停車位置のずれに対する許容範囲も85cmと、一般的なスライド式(小田急新宿駅のものは60~70cm程度)より広いもの。そのためホームの補強や車両、線路のホームドア対応改造工事が不要で、低コストで導入できるのが大きな特徴です。

 このたび設置された昇降バー式は、ホームの屋根付近に設置されたカメラで列車の停止位置に問題がないことが確認されると、自動でバーが上がり、車掌が車両のドアを開けます。そして乗降終了後、車掌が車両のドアを閉め、ホームのボタンを押してバーを下げるという流れで使用されます。

女性車掌も多い現代、「昇降バー式」の大きな課題をクリア

 特にこのたび実証実験する昇降バー式は、従来の昇降バー式より低くなった点もポイントです。女性車掌も多い現代、JR八高線の拝島駅(東京都昭島市)に設置されている従来形は高さが170cmあり、車掌からのホームの見通しやすさなどに課題がありましたが、今回のものは130cmに。低くなったことで、昇降バー式導入へのハードルも低くなりました。

 バーではなく、ロープを使った昇降式もありますが、バー式はたわまないため、ホームドア周辺の空間的余裕を少なくしても安全が保たれるので、広くないホームでも導入しやすいというメリットがあるそうです。

 また、目の不自由な人は何かにつかまれると歩きやすいことから、このたびの昇降バー式は、バーをつたって歩けるよう工夫されており、バーの中央には現在位置を知らせる点字が書かれています。

 この昇降バー式がすべてのホームドアの代わりになるわけではないそうですが、高見沢サイバネティックスの担当者は、鉄道会社や駅によって状況が異なるなか、多くの選択肢を提供することがホームドアの導入促進につながると話します。

 愛甲石田駅での実証実験は2018年3月までの予定で、安全性や耐久性、視認性を確認するとのこと。この昇降バー式が実用化されれば、ホームの安全対策が広く進展するかもしれません。

 ちなみにこのバーは、踏切の遮断桿(しゃだんかん)と同じ素材を使っているそうです。

恵 知仁(鉄道ライター)