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重度の知的障害者、傷害容疑で逮捕 さいたまで補助なく刑事手続き、専門家「有効でない」警察「適正な措置」

9/24(日) 22:13配信

埼玉新聞

 重度の知的障害者の男性(30)=埼玉県さいたま市=が今年6月、市内の施設で別の利用者を負傷させたとして、傷害容疑で逮捕、送検された。男性は勾留されずに釈放されたものの、刑事手続きの中で、障害特性を理解してコミュニケーションを補助、支援する人の立ち会いはなかった。専門家は「刑事手続きは有効とは言えない」と指摘。逮捕した大宮東署は「適正な措置だった」としている。

 男性は重度の知的障害と自閉症で、厚生労働省の障害者支援区分6段階のうち2番目に重い障害で、コミュニケーションを取るのが困難だという。会話の内容や状況を理解できず、相手の言うことに対して相づちを繰り返す傾向がある。

 知的障害者が入所する施設でトラブルが起きたのは6月26日午後6時半以降。男性と50代の男性利用者(障害の程度は中程度)が鉢合わせし、室内で利用者が頭にけがをした。何らかの形で、男性がけがを負わせたとみられる。

 施設職員は、利用者が頭を切って血を出していたことから119番。利用者は病院に搬送され頭の傷を縫う処置を受けた後、施設に戻った。大宮東署は、「重傷事案」として対応。午後10時すぎ、けがをした利用者を署に同行させ、事情聴取を行った。

 翌27日朝、署員は裁判所の令状に基づき、職員の付き添いの上で男性に任意同行を求め、傷害容疑で逮捕した。だが、逮捕状などを説明する際、支援者や専門職の立ち会いはなかった。この点について、知的障害者の刑事事件に詳しい大石剛一郎弁護士は「障害特性を理解してコミュニケーションを支援する人の立ち会いがなければ、有効とは言えない」と指摘する。

 施設職員は「会話の内容を理解できない人に対し、どのような手続きで、逮捕送検に至ったのか」と疑問視する。

 男性はさいたま地検に送検されたが、勾留請求されず、6月28日に釈放され、後に不起訴となった。同地検は釈放などの理由を「捜査に支障があるため回答できない」とした。

 同署は取材に「被害者が負傷していることから、傷害事件として両者の生命・身体の安全を確保することを最優先した。第二、第三の被害を防ぐためなどを考慮した措置で適正だった」と回答した。

最終更新:9/25(月) 16:12
埼玉新聞