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「移住ドラフト会議」、鹿児島発で全国注目 移住支援にエンタメ性、「『誰か来て』では誰も来ない」が原点

9/28(木) 7:00配信

withnews

 プロ野球のドラフト会議、みなさんご存じですよね。欲しい選手を、球団側が指名し、指名者が重なった場合は抽選で決めていく、ドキドキのあれです。鹿児島で、このしくみを使ったあるイベントが市民団体によって開催され、他府県からの注目を集めました。その名も「移住ドラフト会議」。移住とドラフト会議? 一体どういうイベントなのでしょうか。(朝日新聞鹿児島総局記者・島崎周)

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「軽い気持ちOK」で移住者1割

 「移住ドラフト会議」とは、移住希望者と受け入れ地域をつなぐ鹿児島発祥のマッチングイベントのこと。「指名されても移住しなくてよい」と参加のハードルを下げながらも、過去2回の開催で約1割が実際に移住したそうです。他府県の移住支援の団体からも注目を集め、11月には東京で全国版が開催されることになりました。

 今年3月、鹿児島市のホテル。2回目の「移住ドラフト会議」は野球の試合開始のサイレンでスタートしました。「球団」は、まちづくりに取り組む各地の民間団体。「選手」は、SNSや口コミなどで募った移住希望者です。前日のプレゼンで自分自身を売り込んだ選手たちを、球団が順に指名していきます。

 司会者が封筒から選手の名前が書かれた紙を取り出し、球団ごとに読み上げていきます。指名が重なると「お~」とどよめきが。くじ引きで意中の選手を引いた球団の代表は思わずガッツポーズ。指名が決まると、1年間の「独占交渉権」を獲得できるしくみです。

「誰か来てくれたら」では、誰も来ない

 移住とドラフト会議を結びつけたユニークなイベントは、移住支援団体「鹿児島移住計画」(鹿児島市)が2016年から始めました。

 キーパーソンは、同団体の代表、安藤淳平さん(35)。安藤さんは、福島県出身で、4年前に鹿児島に移り住んだ移住者でもあります。

 「住む場所や仕事というより、まず漠然とした不安があった」と安藤さん。自身の経験から、移住に大切なのは「自分のやりたいということについて一緒にやろうと言ってくれる人、自分のことを必要と言ってくれる人がいるか」だと感じていたそうです。

 ドラフト会議の元となる考え方は、鹿児島市内の人材紹介会社で中小企業の採用支援をしていた時に生まれました。担当していたのがUターン、Iターンの採用です。どの企業も「人がいない」と嘆くものの、「どんな人が欲しいんですか」と聞くと、「いい人が来てくれたら」などと言うだけで具体的なイメージを持っていなかったそうです。

 「企業にとって、人材確保は戦略的なものであるはずなのに、そんな当たり前のことが地域のなかで意識されていませんでした」

 移住者について、「誰か来てくれたらいい」というスタンスではなく、その地域は10年後どうなっていたいのか、そのために必要な人はどんな人なのかを、考えてもらいたかったといいます。

 その後、移住を後押ししようと立ち上げた「鹿児島移住計画」のメンバーと語り合う中で浮かんだのが、未来の担い手を真剣勝負で指名するドラフト会議でした。

 「自分たちが機会をつくるから、未来の担い手を一緒に考えましょう」と、受け入れ地域に呼びかけたそうです。

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最終更新:9/28(木) 8:43
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