ここから本文です

復刻連載「北のサラムたち1」第33回 在日朝鮮人4代彷徨の果てに(2)「難民花嫁」になった帰国者2世

9/26(火) 5:20配信 有料

アジアプレス・ネットワーク

――この赤ん坊は北朝鮮から連れてきたんですか?

「いいえ、中国で生まれた子です」

私の問いにキョンミさんはこう答えた。私の目の前でキョンミさんの乳房にしゃぶりついている赤ん坊の名はキルファ(吉華)。日本から北朝鮮に帰国したキョンミさんの父から数えると、「在日帰国者3世」であり、また「北朝鮮難民2世」ということになるだろうか。母親のキョンミさんが非合法状態のため、キルファは無国籍である。父親は中国の朝鮮族だ。

何度か述べたが、中国東北部の農村、とりわけ朝鮮族の農村の「嫁不足」は大変深刻な問題になっていた。親としては、何としても息子を結婚させたいし孫も欲しい。そんな状況のところに、北朝鮮の若い娘たちが、飢えた難民としてではあるが、中国に密かに渡ってくるようになった。1996年頃からのことである。

彼女たちは、もちろん中国では不法入国者であり、存在が発覚すると北朝鮮に送還されてしまう。匿った家も高額の罰金を科される。しかし、そんなリスクを冒してでも「北朝鮮難民花嫁」を歓迎する朝鮮族農家はゴマンとあるのだった。ほかのどこを探しても、農家に嫁ごうという若い女性など中国にはいないからだ。

このような「需要」があると、紹介業が流行る。北朝鮮との国境沿いの家と話をつけて、若い娘が渡ってくると各地に送り出して紹介料を稼ぐブローカーも多い。北朝鮮の娘たちは、飢えから逃れるために不法に渡河してきたため、相手の年齢や経済程度、容貌などに条件をつけることには限界がある。

むしろ渡りに船とさっさと「嫁入り」に応じるケースも少なくない。保護してもらうことを担保に「結婚」に応じるわけだ。この紹介業は、人身売買と紙一重である。悪質なブローカーもいて、北朝鮮の娘を甘言で編して強姦したあげくに、漢民族に「ノリゲ」(オモチャ)として売り飛ばすケースも跡を絶たない。
... ... ...本文:2,293文字 この記事の続きをお読みいただくには、アジアプレス・ネットワークの購入が必要です。

サービスの概要を必ずお読みいただき、同意の上、ご購入ください。 購入した記事は購読一覧で確認できます。

  • 通常価格:
    288円/月(初月無料)
    会員価格会員価格:
    258円/月(初月無料)

アジアプレス・ネットワークの記事一覧へ戻る