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アラミド繊維、王者デュポンと帝人に忍び寄る新勢力

9/29(金) 16:18配信

日刊工業新聞電子版

■米デュポンと帝人、市場を二分

 アラミド繊維の市場が拡大している。先進国を中心に航空機や自動車、通信など広い分野で用途開拓が進み、新興国でも衣料品用途の需要が伸びている。市場を二分する米デュポンと帝人が積極的な設備投資や製品開発を進める一方、新興国メーカーも成長市場を虎視眈々(たんたん)と狙う。厳しい競争に打ち勝つには有望な需要家との共同開発の推進と、幅広い分野での採用獲得が求められる。

 アラミド繊維は芳香族ポリアミドを使用した高機能繊維で、1960年代に米デュポンが開発した。ポリエステルやアクリルと並ぶ三大合成繊維であるナイロンの一種だが、脂肪族ポリアミドを使うナイロンと区別するために74年に「ポリアミド」の一般名を与えられた。

 組成の違いで「パラ系」「メタ系」に分かれる。パラ系は鉄鋼の約5倍の引っ張り強度を持ち、弾性にも優れる。耐熱性や耐摩耗性、耐切創性も高く、タイヤや光ファイバーケーブルの補強材、ブレーキ摩擦材など用途は広がる。メタ系は長期耐熱性や難燃性、耐薬品性が良く、防火服やバグフィルターが需要の中心だ。

 富士経済(東京都中央区)によると、16年のパラ系の生産量は前年比7・2%増の6万8800トン、メタ系は同4・2%増の2万7100トン。22年はそれぞれ18年比26・3%増の9万9300トン、同13・7%増の3万3100トンと安定成長が続く。16年の市場規模は両製品合わせて2729億円。22年は3782億円の見通し。

■市場の異変、アジア系勢力の台頭

 デュポンが1967年にアラミド繊維を発売してから17年でちょうど50年。この間、品質や生産プロセスの改良とともに、用途開拓も進んだ。業界では80年以降、化学繊維メーカーが多くの高機能繊維を開発し、繊維間の競争は激化の一途をたどってきた。

 だが、高強度と高弾性、耐摩耗性などの機械特性に、耐熱性や生産性などをバランス良く備えた合成繊維は少なく、誕生から半世紀が経過した今もアラミド繊維の存在感は失われていない。

 同繊維は「パラ系」「メタ系」の二つに分けられる。繊維メーカーから川下への供給形態は長繊維、短繊維、撚糸(ねんし)、紡績糸で両製品ともに同じだが、用途は異なる。両製品ともに年率5―8%程度の市場拡大が続き、新興国でも採用が広がっている。

 パラ系は強度、弾性、耐摩耗性、耐熱性などに優れ、航空機材料、タイヤや光ファイバーケーブルの補強材など産業用途の需要が堅調だ。中でも成長をけん引するのはタイヤを補強する「タイヤコード」だ。

 パラ系のタイヤコードは高速走行で熱を持ったタイヤの変形を抑える効果が高く、アウトバーンなどでの高速走行が前提の欧州で需要が拡大。従来の再生繊維レーヨンから高価格帯のタイヤ製品で置き換えが進む。タイヤの軽量化やロードノイズの低減効果にも優れ、日系タイヤメーカーの関心も高い。遅れていた日本市場での採用拡大にも期待がかかる。

 パラ系の世界シェアの約90%を握るデュポンと帝人の2社でそれぞれ米州や欧州など強い商圏を抱え、盤石の事業展開を続ける。しかし、このところ市場の異変を指摘する関係者が増えた。その異変とは、韓国や中国などアジアの化学繊維メーカーの市場参入だ。

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