ここから本文です

韻シストBASI、ソロ初ワンマンで新境地へ

10/2(月) 9:00配信

Lmaga.jp

来年には結成20周年を迎える関西発のヒップホップ・バンド、韻シストのMCとして活躍しながら、2011年に自らのレーベルを立ち上げて5枚のソロ・アルバムを発表してきたラッパーのBASI。ストーリー性の高いリリックとメロウな音作りで新たな個性を確立してきた彼だが、9月16日に大阪・梅田の「Shangri-La」(大阪市北区)でおこなわれたソロとしては初のワンマン公演は、トータルで約30曲、2時間20分に及ぶロング・セットで、集大成にして後半には新たな方向性を示す濃密なものとなった。

【写真】盛り上がるオーディエンス

ライブの前半は、DJにして優れたヒューマン・ビート・ボクサーでもあるISSEIとの1MC+1DJによるヒップホップらしい編成。初ソロ作『Rap Amazing』(2011年)の冒頭に収録された「スワロウ」で幕を開けると、序盤はビートを効かせてテンション高く盛り上げつつも、スウィンギンなネタ使いが心地よい「Blue」、EVISBEATS作らしいエキゾなトラックにCDの店着日をテーマにしたリリックもユーモラスな「Wednesday」など。新旧の曲を多彩にたたみかけて一気に盛り上げた。観客もヴァースやフックの随所をシンガロングして応え、会場全体がほとんど合唱状態で進んでいくライブは、いい意味でヒップホップのアクトらしからぬ高揚感と一体感に包まれたもの。

今年にリリースした最新作『Lovebum』からのメロウな楽曲を中心としたDJセットの終盤では、ISSEIとBASIがループを使って自身の声でビートやコーラスを重ねて作ったトラックに乗せての名曲「Fallin’」から、フリースタイル・ラップでこの日に誕生日を迎えた女性客を祝った後に、「今夜はブギーバック」のカバーと巧みに混ぜ合わせた形での「あなたには」で前半のピークを形成。ライブ性が高いヒューマン・ビート・ボックスも効果的に交えたステージングで、全18曲を濃密に駆け抜けた。

そして、後半戦は昨年末から新たに始動させたThe Basic Bandが登場して、バンド・スタイルでのセットへ。原曲よりもかなりロック色を強めたアレンジを伴った「キーマカレー」などで新境地を示すと、この新たなバンド形態で制作した新曲「Rainy」も披露。生演奏によるヒップホップを追求してきた韻シストともまた異なる、しかしヒップホップを通過した発想やグルーヴを宿した楽曲は、すでに始まりつつある新しいBASIのサウンドを強く感じさせた。

続いては初期の名曲「キムチ」、原曲に忠実なギターリフから「果てない」を挟んで、彼ならではの叙情性とメロウネスが際立った「花束」「Nice」「Juliet」をバンドならではの温かみのあるグルーヴを伴って響かせた。アンコールには再びISSEIが登場し、オーガニックなアレンジで2ndアルバム『Voiceration』収録でアナログ盤カットもした代表曲「スタンダード」を。ソロとしてのこれまでの歩み、そしてバンドを結成してこれまでとはまた異なる境地へと歩み始めたBASIの新たな追求に期待が高まる夜だった。

取材・文/吉本秀純

最終更新:10/2(月) 11:33
Lmaga.jp