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やっぱり凄かったCoffee Lake-Sの物理6コア、Core i7-8700K&Core i5-8400徹底レビュー

10/5(木) 22:01配信

アスキー

インテルのデスクトップPC向け第8世代Coreプロセッサー(開発コードネーム:Coffee Lake-S)を徹底ベンチマーク!

 2017年10月5日、インテルは第8世代Coreプロセッサーに位置付けられるデスクトップPC用メインストリームCPUの発売に踏み切った。開発コードネーム「Coffee Lake-S」の名でウワサされていたCPUであり、プロセスルールは14nm++、インテルの最近の開発サイクル(プロセスシュリンク→新アーキテクチャー→オプティマイゼーション)で言えば、最後の“オプティマイゼーション”のフェーズにあたる製品となる。
 
 オプティマイゼーションという言葉の響きからは、Haswell(第4世代Core)がHaswell Refreshになったように、単なるクロック増分しただけのマイナーチェンジのような印象を受けるが、今回のCoffee Lake-Sは遂に全ラインナップにおいて物理コアを増やすという大改変となった。
 
 発表自体は9月25日だったが、今回はCoffee Lake-Sの最上位モデル「Core i7-8700K」及びミドルクラスの「Core i5-8400」のエンジニアリングサンプル(ES版)を入手することができたので本稿ではレビューをお届けする。日本国内での発売はグローバルよりも遅くなること(2017年第4四半期)が決定しており、今回日本では正式流通がないままのベンチマーク情報公開となった。国内発売までぜひ今回のファーストレビューで買うモチベーションを高めて頂きたいところだ。
 
全モデルで物理コアが2基増量
 
 では第8世代Coreプロセッサーのラインアップを見てみよう。製品の数は下表にある通り、Core i7/i5/i3でそれぞれ2モデルずつ、合計6モデルだ。
 
 上のスペック表から読み取れるCoffee Lake-Sのポイントについてまとめると、以下のようになる。
 
(1)全ライン(i7/i5/i3)で物理コア数はKaby Lake-S世代より2基増加
(2)i3はハイパースレッディング廃止
(3)物理6コアモデルの定格クロックは引き下げ
 
 Coffee Lake-Sにおける最大のポイントは全ラインで物理コア数が2基追加され、Core i3でも4コア/4スレッドでCore i7では6コア/12スレッドになった。これまでインテルCPUは4コアがスイートスポットだと言っていたが、Core i7はよりメガスレッド志向に進化したことになる。
 
 一方、動作クロックに関しては物理6コアのCore i7とi5については定格クロックはすべて引き下げられた。コア数が増えて消費電力が上がったから当然の処置と言えるが、Core i7-8700は定格3.2GHzと、TDP65Wをクリアーするためにかなり低く抑えられている印象だ。
 
 だが、ターボブースト時のクロックについてはKaby Lake-S世代よりもむしろ微増している。特に最上位のCore i7-8700KではTB2.0時の最大クロックが4.7GHzと歴代最高を記録している点に注目したい。
 
(4)OC可能なK付きモデルは従来通り各ラインにつき1モデル
(5)K付きモデルはTDPがやや高い
 
 この辺は前世代と共通だが、今回のCore i3のK付きモデル(8350K)は定格クロックが1世代前よりわずかに下がったが、逆にTDPは60Wから91Wへ激増している。これがOCにどう影響するかは発売されてからのお楽しみだ。
 
(6)ソケットはLGA1151
(7)チップセットは当面Z370のみ
 
 今回、物議を醸し出しそうなのがチップセット(マザーボード)の対応だ。Coffee Lake-SのソケットはKaby Lake-Sと同じLGA1151で、CPU裏面のランド数も共通。ランドの配置を大きく換えたとのウワサもあったが、海外サイトでは従来“Reserved”に指定してあったものを電源用に追加した程度の変化という調査結果も出ている。物理4コアが6コアになり、消費電力が増えたぶんを電源ピンの増加でカバーしたという話だが、これによりIntel 200シリーズチップセットと互換性が消失。さらに、Coffee Lake-S用のマザボードではKaby Lake-Sはファームウェア的に動作不適とされるという話のようだ。
 
 で、Coffee Lake-S用のチップセットは新しくIntel 300シリーズのナンバーが割り振られるが、当面流通するのはK付きモデルのOCに対応するZ370のみで、安価なH系、B系などは来年以降の発売となる見込み。
 
(8)Core i7/i5の対応メモリーはDDR4-2400から2666へ増速
(9)内蔵GPUは「Intel UHD Graphics 630」へ
(10)CPU内蔵のPCI Express 3.0は16レーンで据え置き
 
 微妙な変更点と据え置きになった点は3つ。まず、メモリーはRyzen 7でも対応しているDDR4-2666へ増速した。また、内蔵GPUは“HD 630”が“UHD 630”に進化したが、内部的な設計やEU数はKaby Lake-S世代と何ら変わっていない。CPU内蔵のPCI Expressのレーン数も16レーンのまま。この辺に手をつけるとCPUそのものの設計をやり直すことになるので、オプティマイゼーションフェーズの製品としては当然の判断と言える。
 
(11)1000個ロットあたりの価格は8700Kと8600Kを除き据え置き
 
 そして、重要なのは価格設定だ。1000個ロットあたりの価格はほぼKaby Lake-S世代から据え置きだが、売れ筋のCore i7-8700KとCore i5-8600Kのみ15~20ドル上乗せされている。
 
 ここで注目したいのはエンスージアスト向けラインであるCore Xシリーズの6コアモデルである「Core i7-7800X」との関係だ。このロット価格ではCore i7-8700KのほうがCore i7-7800Xよりも安く設定されている。メモリーチャンネル数やPCI Expressのレーン数、さらにIntel VROCへの対応などエンスージアスト向けな要素が強いSkylake-Xのほうが付加価値が高いということなのだろう。しかし、動作クロックでは圧倒的にCore i7-8700Kのほうが高い。このあたりが性能にどう影響するかも見どころだ。
 
比較対象には前世代のほか、Core XやRyzenも用意
 
 今回の検証環境は以下の通りだ。今回の見どころはズバリ、Ryzenシリーズに呼応するようにコア数を増やしたCoffee Lake-Sがどの程度の性能を出すかだ。また、6コア/12スレッドのCore i7-8700Kがお買い得かどうか、同じ6コア/12スレッドの「Core i7-7800X」及び「Ryzen 5 1600X」も準備した。CPUの設計思想の違いがパフォーマンスにどう影響するか見ものだ。
 
 さらに、Core i5-8400には価格的に同格(米ドルベース)のCore i5-7400を比較対象として準備。2コアの増加はどの程度性能に影響するのか、さらに物理コア6基のRyzen 5 1600Xのコストパフォーマンスに迫れるかどうかがポイントだ。
 
 今回すべてメモリーはXMP(Ryzenの場合はマザーボードのD.O.C.P.)を利用してDDR4-2666動作に統一し、各コア倍率は“Auto”とした。また、今回6コア以上のCPUが多いことからCPUクーラーは簡易水冷ユニットを使用している。
 
【検証環境】
CPU:
Intel「Core i7-8700K」(6C/12T、3.7GHz、最大4.7GHz)
Intel「Core i5-8400」(6C/6T、2.8GHz、最大4.3GHz)
Intel「Core i7-7700K」(4C/8T、4.2GHz、最大4.5GHz)
Intel「Core i5-7400」(4C/4T、3GHz、最大3.5GHz)
Intel「Core i7-7800X」(6C/12T、3.5GHz、最大4GHz)
AMD「Ryzen 7 1800X」(8C/16T、3.6GHz、最大4GHz)
AMD「Ryzen 5 1600X」(6C/12T、3.6GHz、最大4GHz)
CPUクーラー:
Corsair「H110i」(簡易水冷、280mmラジエーター)
マザーボード:
ASUS「PRIME Z370-A」(Intel Z370)
ASUS「PRIME Z270-A」(Intel Z270)
ASUS「ROG STRIX X390-E GAMING」(Intel X390)
ASUS「PRIME CROSSHAIR VI HERO」(AMD X370)
メモリー:
Corsair「CMU16GX4M2A2666C16R」(DDR4-2666、8GB×4)
グラフィックボード:
ASUS「ROG STRIX GTX1080TI-O11G-GAMING」(GeForce GTX 1080Ti)
ストレージ:
Samsung「960 EVO M.2 MZ-V6E500B/IT」(NVMe M.2 SSD、500GB)
電源ユニット:
Cooler Master「 V650 Semi-Modular RS650-AMAAG1-JP」(650W、80PLUS GOLD)
OS:
Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(Creators Update)
電力計:
ラトックシステム「REX-BTWATTCH1」(Bluetoothワットチェッカー)
 
3DCGレンダリングは順当な結果、6C/12Tではやはり8700Kが最強
 
 ではベンチマーク祭りといこう。トップは定番の「CINEBENCH R15」だ。マルチコアテストでは8コア/16スレッドのRyzen 7 1800Xが最速になるのは十分予想できるが、それに対してコア数が少ないCore i7-8700Kがどこまで迫れるのか、そして3種類の6コア/12スレッドCPUの着順が気になるところだ。
 
 なお、今回ベンチマーク結果を比較するためのグラフは、CPUの論理コア数の多いもの、論理コア同数の場合は価格の高いものが上にくるよう並べてある。日本国内におけるCore i7-8700Kの価格は不明だが、原稿執筆時点におけるCore i7-7800Xは約370ドル(Amazon.comによる)に対し、Core i7-8700Kの1000個ロット当たりの価格が359ドルという数字を根拠に順列を決定している。
 
 予想通り8コア/16スレッドのRyzen 7 1800Xはシングルコアテストが遅いものの、マルチコアテストでは圧倒的な強さを発揮。そして、次点がCore i7-8700K。同じ6コア/12スレッドのCore i7-7800Xよりも良いスコアーが出ているが、Core i7-8700Kのマルチコアテスト時は4.3GHz動作(タスクマネージャー表示)なのに対し、Core i7-7800Xが3.9GHz動作であるためだ。そして、Ryzen 5 1600Xに対してもCore i7-8700Kは優秀なIPCを活かし悠々と勝利。
 
 Core i7-8700Kは価格的にはCore i7-7700Kに少し上乗せしただけの製品だが、CINEBENCH R15のスコアーでは約1.47倍も伸びている。米国ではさらに高価なCore i7-7800Xの存在意義は、メモリー帯域の太さとCPU直結のPCI Expressレーン数だけとなってしまった。マルチGPUやIntel VROCを使わず、シングルGPU&NVMe SSD1枚程度のシンプルな構成で攻めるなら、Skylake-XのローエンドよりもCoffee Lake-Sのハイエンドのほうが圧倒的に速いのだ。
 
 続いてはCINEBENCH R15と同じ3DCGレンダリング系ベンチである「V-Ray Benchmark」でも検証してみよう。CPUとCUDAの両方が試せるが、今回はCPUのみのテストを実施する。
 
 CINEBENCH R15と違い、V-Ray Benchmarkでは処理時間で比較するので棒グラフが短いほうが優秀。ここでも8コア/16スレッドのRyuzen 7 1800Xが最速だが、そのすぐ後ろにはなんと6コア/12スレッドのCore i7-8700Kが迫り、同時にRyzen 5 1600Xを20秒近く引き離している点にも注目したいところだ。
 
 一方、6コア/6スレッドのCore i5-8400は4コア/4スレッドのCore i5-7400に対して大差をつけて勝利。さすがに4コア/8スレッドでクロックも高いCore i7-7700Kよりは遅いが、安めのCore i5でも3割以上のスピードアップを果たしているのは非常に大きい。
 
動画エンコードでRyzen 7 1800Xと同等以上の成果、総合性能でも圧倒
 
 3DCGレンダリングの次はマルチスレッド性能が効く処理として動画エンコードを試してみよう。「TMPGEnc Video Mastering Works 6」を用い、再生時間3分のAVCHD動画をMP4形式に変換する時間を比較する。コーデックはx264(H.264)及びx265(H.265)とし、画質重視のVBR 2pass変換とした。ビットレートなどのパラメーターはソフト側のデフォルト値で計測。
 
 このベンチはH.264とH.265で傾向が異なる。まず、H.264はV-Ray Benchmarkと同様に物理コア数最多のRyzen 7 1800Xがトップ、そしてそのすぐ後ろ(誤差と言ってもいいレベル)にCore i7-8700Kが肉薄。Core i7-7700Kも物理4コアCPUとしてはとても速い部類のCPUだったが、Core i7-8700Kに対して3分遅れ、さらに格下のCore i5-8400にも負けるなど、物理コア数の多さはこういった用途では正義であることがわかる。
 
 しかし、H.265の処理ではRyzen勢が一気に処理時間が長くなる。これはTMPGEncの使用する処理がRyzenと相性が悪いことを示しているが、H.265ではCore i7-8700Kが最速。H.264ではRyzen 5 1600Xに完敗したCore i5-8400もH.265では逆転勝利している点が興味深いところだ。
 
 次にPCの総合的なパフォーマンスを見る「PCMark10」のスコアーをチェックしよう。あらゆる用途を想定した“Extended”テストを実施した。
 
 総合スコアーにおいても分野ごとのテストのスコアーにおいても、コア数と動作クロックが両方高いCore i7-8700Kがトップ。8コア/16スレッドのRyzen 7 1800Xも決して低いスコアーではないが、アプリ起動時間や表計算などの比較的CPU負荷の軽いテスト項目ではクロックが上がりきらずにスコアーが伸び悩んでいる印象。それに対して、Ryzen 5 1600Xは総合スコアーで1800X超えを果たしているのが興味深いところだ。
 
 また、6コア/6スレッドのCore i5-8400は4コア/8スレッドのCore i7-7700Kに比べて大きくスコアーが下落。定格クロックもブースト時のクロックも低いことが原因と考えられる。特にDigital Contents Creationテストが伸びない(その中でも特にPhoto Editingが奮わない)。コア数が多くても高クロックで動かないとスコアーは稼げないベンチと言える。
 
FF14やGears of War 4、Overwatchで無双状態に
 
 レンダリングやエンコードほどではないが、最近のPCゲームもマルチスレッド性能が重視されつつある。まずは定番の「3DMark」を使いスコアーにどういった差がつくか調べてみた。テストは“Fire Strike”及び“Time Spy”を用いる。
 
 3DMarkはGPUの描画性能を数値化したい時に使われるベンチだが、CPUを使った物理演算テストが挿入されるため、CPUの計算性能もスコアーに影響する。Fire StrikeならPhysicsとCombined、Time SpyならCPUスコアーがこれに該当する。Fire StrikeのPhysicsではCore i7-8700Kのほうがコア数の多いRyzen 7 1800Xとほぼ同等という驚きの結果が得られた。
 
 また、Core i7-8700Kは他の6コア/12スレッドCPUを大きく引き離しているのに加え、Combinedのスコアーが非常に高いことにも注目したい。Ryzen勢とCore i7-7800XはCombinedスコアーがいまひとつ伸びないのに対し、Kaby Lake-SのCore i7-7700K及びCoffee Lake-SのCore i7-8700Kは非常に高い。
 
 そして、6コア/6スレッドのCore i5-8400は、PhysicsスコアーこそCore i7-7700Kに負けるものの、Combinedスコアーでは僅差で逆転している点が面白い。純粋に計算だけするような状況では論理コアが多いほうが有利だが、グラフィックも物理演算も……という込み入った状況になると物理コア数の多さが決め手になる、ということだろう。ただし、この推測はKaby Lake-SとCoffee Lake-Sの間にのみ成立することなので普遍的ではないことを強調しておく。
 
 では、ゲーミングとCoffee Lake-Sのパフォーマンスについてもう少し深掘りしてみよう。まずは「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター」の公式ベンチマークを使う。画質は“最高品質”とし、解像度をフルHD/WQHD/4Kの3通りで計測した。また、GPUが強力(今回はGeForce GTX 1080Ti)だとスコアー差では性能が実感しづらいため、テスト中の平均フレームレート(レポート表示で表示される値)も併せて比較する。
 
 トップに立ったのが6コア/12スレッドで実クロックも高いCore i7-8700K、次いで4コア/8スレッドだがクロックの高いCore i7-7700K、クロックは控えめだが6コア/6スレッドのCore i5-8400と続く。フルHDとWQHDではこのような序列になるが、4Kでは差がほとんど出ない。これは4K解像度ではGPU側の処理がボトルネックになってしまい、CPUの処理性能が活かせないことを意味する。
 
 逆に言えば、WQHD以下の解像度ならRyzen 7 1800Xよりもコア数の少ないCore i7-8700Kのほうがよりグラフィックボードの性能を引き出せるということだ。グラフィックボードで20fps近い差を付けることの難しさを考えると、CPUの力の差がいかに重要なのかわかるだろう。
 
 続いてはDirectX12専用のゲームである「Gears of War 4」でも試してみよう。画質は“最高”とし、ゲーム内のベンチマーク機能を利用して計測した。“Min 5%”とあるのは最低fpsから5%上の値、換言すれば全フレームレートの95%はMin 5%以上のフレームレートになる、という意味になる。
 
 Gears of War 4でもFF14に似た傾向が見られた。4KになるとGPUボトルネックが出るが、それより下の解像度ではCPUパワーの影響が確認できる。特にフルHDテストにおけるCore i7-8700Kのパフォーマンスは特筆すべきものがある。6コア/12スレッドのライバルを蹴散らしたばかりか、8コアと格上のRyzen 7 1800Xに対しも、平均フレームレートで50fps以上差をつけている。
 
 つまり、CPUの選択次第でグラフィックボードのグレードで2ランクぶん程度の差が出てしまうということだ。ゲーミングPC自作において、またはBTOマシン選びでもいいが、いかにCPUの選択が肝要なのかわかる。
 
 続いては「Overwatch」で試してみよう。画質はGPUボトルネックが発生しにくいよう軽めの“中”設定(レンダー・スケールは100%固定)とし、マップ“King's Row”におけるBotマッチを遊んだ時のフレームレートを「Fraps」で測定した。
 
 Overwatchでは300fpsでソフトウェア的なキャップがかかる。ゆえに多くのCPUで最高フレームレートが同等になっているのはそのためだ。手動プレイなので最低フレーム(グラフ中では青のバー)は若干ブレているが、平均フレームレートはCPUのパワーがそのまま反映されている。Gears of War 4ほどの差ではないにせよ、OverwatchでもKaby Lake-SよりもCoffee Lake-Sのほうが優秀であると言えるだろう。
 
ゲームプレイ&録画&配信で真価を発揮
 
 そして、今回はOverwatchの裏で配信ツール「Xsplit Broadcaster」を使い、PC上にプレイ動画を保存しながら、Twitchにも配信した場合どうなるかも試してみた。リアルタイム配信にはCPUパワーを使う上に、PCに接続したWebカメラを利用してプレーヤー(筆者)の顔を切り抜きオーバーレイ表示する処理を加えると、6コアCPUでも結構な負荷になる。Twitchへの配信画質はビットレートを2100kbps、録画時の画質は“High”とした。また、顔の切り抜きはクロマキー用の背景を使わずに画像処理的に人物だけ抽出&合成できる“TriDef SmartCam”を利用した。
 
 Xsplitによる処理がない時に比べ、大幅にフレームレートが下がっていることがわかる。特にフルHD時は最高fpsが頭打ちになっていたが、録画&配信を加えただけで一気に100fps前後下がったものもある。これだけではわかりづらいので、Xsplitなしの時の値を100%としたとき、Xsplitによる録画&配信ありの時のフレームレートがどの程度の比率なのかを改めてグラフ化してみた。見やすくするために平均フレームレートだけを比較する。
 
 まず解像度が4Kの場合は、録画&配信なしの時に比べ80~90%にとどまっているのは、GPU側がボトルネックになっているため、CPUの差が出にくいことと一致する。だが、それより下の解像度ではCore i5-7400を除き通常時の50~70%にまで下がってしまう。特に落ち込みが激しいのが6コア/12スレッドのRyzen 5 1600Xで、逆に同じ6コア/12スレッドでもCore i7-8700Kはあまり落ち込んでいない。
 
 このグラフを見ると唯一Core i5-7400はあまり下落していない優秀なCPUであるように見えるが、そもそもこのCPUの場合は4コア/4スレッドというスペックの低さがボトルネックになってしまい、性能がそもそも出ていないことが原因になっていると推測できる。
 
 ちなみに、Core i7-8700K及びCore i7-7700K、Ryzen 7 1800X、Ryzen 5 1600XがOverwatch+Xsplitの録画&配信時にどの程度CPUを使っているのか。タスクマネージャーでチェックすると次のようになる。使用率が低ければ低いほど、地力に余裕があるということだ。
 
 なお、6コア/6スレッドのCore i5-8400でも全コアを100%使い切るため、Core i5-7400はスルーしている。録画&配信を行なうには4コアCPUでは不足であることがわかる。純粋な使用率で見れば8コア/16スレッドのRyzen 7 1800Xのほうがわずかに余裕を残しているぶん有利と言えそうだが、フレームレートを考えるとCore i7-8700Kのほうが画面描画の滑らかさは損なわれにくい。
 
 すべてのゲーム配信においてこうだと断言するつもりはないが、少なくともOverwatch+Xsplit録画&配信に関して言えば、物理4コアCPUは卒業すべきときなのかもしれない。
 
消費電力はコア数が増えたぶん“だけ”高くなっている印象
 
 さて、ここでシステム全体の消費電力もチェックしてみよう。Core i7-8700KのTDPはCore i7-7700Kよりも高いので消費電力も増えることは十分想定内だが、物理コア増でSkylake-Xがわりと電力食いになったことを考えると、ちょっと不安が残るところだ。
 
 消費電力のテストはシステム起動10分後を“アイドル時”、「OCCT Perestroika v4.5.1」のCPU Linpackテスト(64ビット、全論理コア&AVX使用)を15分実行した時の安定値を“高負荷時”とした。今回、RyzenとCore i7-7800Xは内蔵GPUを持たないため、このテストではすべてグラフィックボード(GeForce GTX 1080Ti)を装着した状態で比較する。
 
 テストに使ったマザーボードの装備がプラットフォームごとに微妙に異なるため単純な切り分けは難しいが、6コア/12スレッドのCore i7-8700Kは4コア/8スレッドのCore i7-7700Kに対して42Wほど消費電力が増えている。Ryzen 5 1600Xに比べても32W増。高クロック動作にしたことが響いていることは明らかだが、アイドル時の消費電力はこれまで以上に低い。クロックを抑えれば14nm++プロセスの省電力性能はかなり良好と言える。
 
 
 
内蔵GPUのパフォーマンスはどうなった?
 
 ここからはCoreプロセッサーのCPU内蔵GPUにフォーカスをあててみよう。前述の通り、Coffee Lake-Sの内蔵GPUは“HD630”が“UHD630”になっただけで、設計はほとんど変わっていない。クロックが上がったぶんだけパフォーマンスも上がることは明らかだが、どの程度上がるのかが気になるところ。
 
 まずはゲーミングパフォーマンスとして「3DMark」及び「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター」ベンチを実行する。3DMarkは負荷が軽いほうから“Cloud Gate”、“Sky Diver”、“Fire Strike”の3種類を計測。FF14の画質は内蔵GPUに合わせ“標準品質(ノートPC用)”とし、解像度はHD(1280×720ドット)とフルHDでテストした。
 
 どのテストでも、綺麗な階段状のグラフになった。同じCore i5/i7ならコア数が多いCoffee Lake-Sのほうが当然描画性能は高い。ただし、描画性能が上がったと言っても、内蔵GPUで高画質プレイできる域には達していない。あくまでグラフィックボードが予算的・物理的に使えない状況での補助的なものと言えるだろう。
 
 内蔵GPUと言えば、高速エンコード機能“QSV”(Quick Sync Video)の性能チェックも欠かせない。「TMPGEnc Video Mastering Works 6」を使い、再生時間3分のAVCHD動画をMP4に変換する時間を計測した。前掲のテストでは2pass変換だったが、ここではすべて1passとし、QSV使用時と非使用時で処理時間にどの程度差が出るかもチェックする。
 
 まずCPUだけの変換時間を見れば、コア数の多いCore i7-8700KやCore i5-8400が速いのは当然だ。1世代差でCore i7のトップがCore i5(しかも安いほう)に食われる時代がこうも早く到来するのはなんとも嬉しいやら悲しいやらだが、QSVを効かせると少々話は違ってくる。Core i5-7400が一番遅いのはコア数が少なく動作クロックが低いことに起因し、さらにTMPGEnc自身がQSV使用時でもある程度CPUパワーを使うことが原因とわかる。Core i7-8700KはCore i7-7700Kよりも微妙に遅くなる印象だ。
 
 Core i7-8700Kは6コア化したことでリングバスの長さが伸び、コア⇔GPU間の通信が若干不利になってしまったという仮説が立てられる。ただし、これは今後マザーボードのBIOSやGPUドライバーの熟成などで改善されることが十分予想される。あくまでファーストレビュー時点ではこうだった、という感じで捉えておいていただきたい。
 
 最後に内蔵GPUだけを使った時の消費電力も比較しておこう。測定条件は前掲と同じである。
 
 GeForce GTX 1080Tiが外れたぶん消費電力も一気に減ったが、物理6コア&高クロック動作のCore i7-8700Kの消費電力は群を抜いて高い。Skylake-Xの上位モデルやRyzen Threadripperのように大出力の電源ユニットまで準備する必要はなさそうだが、それなりに電源ユニットへの負担は増えていることを覚悟しておこう。
 
5GHz動作ではどんな世界になる?
 
 最後にごく短時間だがCore i7-8700KのOCにも挑戦してみた。コア電圧を“Auto”のままで、全コア(Sync All Cores)を50倍、すなわち5GHzにしたらどの程度のパフォーマンスになるのかだけチェックしてみた。
 
 結果から先に言うと、この条件でOS起動もCINEBENCH R15もしっかり完走したのだが、OCCTやTMPGEncのエンコードのような負荷をかけると電源が前触れなく切れる現象が起きた。倍率を47倍まで下げても同じ結果だった。使用したマザーボードがOC特化ではないことと、マザーボードのBIOSに“5GHz OC用プロファイル”という項目はあるがそれを選んでもほぼデフォルトに戻るだけということから考察するに、BIOSなどの熟成不足が窺えるので、参考程度として見てほしい。
 
 安定感に難ありの状況とはいえ、5GHz動作では8コア/16スレッドのRyzen 7 1800Xをわずかに上回った。だが、消費電力も定格使用時から激増するため、電源ユニットはぜひ12Vシングルレーンの良いものを使いたいものだ。
 
まとめ:価格次第だがコアゲーマーなら8700Kで決まり!
 
 問題は日本国内における価格だ。初出価格から考えると、Core i7-7800Xが5万円強でCore i7-7700Kが4.7万円なので、その間をとって4.8~4.9万円ということも十分ありえそうだが、現在前者は4.7万円、後者は4.1万円程度まで値下がっているので、案外その中間の4.3~4.5万円ぐらいで販売することも考えられる。流通量も影響すると思うが、ご祝儀価格も十分にあり得る。しかし、ただでさえライバルメーカーが“おま国価格”(日本特有の流通マージンを多めに乗せた価格)で揉めたことを考えると、そう無体な上乗せはないと信じたい。
 
Intel ARK
 
文● 加藤勝明 編集●ジサトライッペイ

最終更新:10/14(土) 2:43
アスキー

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