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東芝メモリから「東芝」が消える? ベインキャピタル会見取材

10/6(金) 16:30配信

東京商工リサーチ

 10月5日、投資ファンドのベインキャピタル(以下ベイン)は東芝メモリ(株)(TSR企業コード:023477687)の買収に関して都内で会見した。ベインキャピタルの代表は、2018年3月末までに東芝メモリを総額2兆円で買収し、3年後をめどに東京証券取引所にIPO(新規株式公開)を目指す方針を明らかにした。
 東芝メモリの社名から「東芝」の文字が消えるか問われた代表は、「そこも含めて検討していく」と語った。

◇2兆円のうちエクイティは9845億円
 会見にはベインキャピタル・プライベート・エクイティ・アジア・LLC(TSR企業コード:297932900)の日本における代表者である杉本勇次氏、今井毅弁護士(ロープス&グレー外国法事務弁護士事務所)らが出席した。
 杉本代表の説明によると、ベインキャピタルとSKハイニックス(韓国、以下SK)が合計6070億円をベインキャピタルのSPC(特定目的会社、以下SPC)へ拠出。この拠出金を元手にSPCは(株)東芝(TSR企業コード:350323097)、HOYA(株)(TSR企業コード:291041400)と総額9845億円を出資し、東芝メモリを買収する。この他、金融機関とアップルなどアメリカ企業4社が融資や社債型優先株式で総額1兆155億円を提供する。
 買収総額2兆円のうち、エクイティ(出資)分は9845億円で、残りの1兆115億円には利払い負担が生じ、東芝メモリはこの分がキャッシュアウトする。ただ、杉本代表はキャッシュアウトが東芝メモリの研究開発、設備投資の妨げにはならないとの認識を示した。

◇成毛東芝メモリ社長の続投「決まっていない」
 買収後の役員人事を含めた経営体制について、現体制の存続を認める意向だが、成毛社長が続投するかについては「決まっていない」と述べた。
 成毛氏は、東芝の半導体メモリ事業の中核を担う東芝メモリ内での影響力が強いとされるだけに、去就が注目される。

◇INCJとDBJにも「興味を持って頂いている」
 今回の買収ストラクチャーには、産業革新機構(INCJ)と日本政策投資銀行(DBJ)の記載がなされていない。この点について杉本氏は、「(東芝メモリ買収に)興味を持って頂いているが、今後の関わり方は何も決まっていない。ただ、東芝メモリは日本の企業として独立していくことが大事なので是非とも参画、サポートして頂きたい」と述べた。

◇WDとの係争による買収中断の可能性
 ウエスタンデジタル(WD)は、国際仲裁裁判所に東芝メモリの売却差し止めの仲裁を申し立てている。東芝が10月24日に開催する臨時株主総会の招集通知には、東芝メモリ売却の前提条件として「管轄権を有する国家機関(仲裁廷その他国家機関に準ずる機関を含む)が、(中略)株式譲渡の完了を禁止若しくは妨げる効力を有する法令・命令等を制定、発行、公布、執行又は登録していないこと」と明記されている。
 このため、仲歳裁判所から暫定差し止めなどが出された場合、2018年3月末までに売却完了が出来なくなる可能性があるとの認識が一部で広がっている。これについて杉本代表は「一般論としては正しい認識だ」と述べ、買収手続きが中断するリスクを抱えていることを認めた。
 そのうえで、WDは東芝メモリの重要なパートナーであり、ベインキャピタルが第三者的に間に入ることで早期の係争解決を図っていく方針を示した。

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最終更新:10/13(金) 16:19
東京商工リサーチ