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IoTでネットワークカメラを再発明? スマホから手軽に遠隔視聴できる「Safie」を試す

10/7(土) 7:00配信

ITmedia Mobile

 ブロードバンドの浸透により家庭内でルーター中心のネットワークが構築されるようになって以降、一定の需要があるのがネットワークカメラだ。PC不要で単体での撮影に対応できることから、セキュリティ用途はもちろん、赤ちゃんやペットを離れたところから見守るための機器として、1つのジャンルを確立している。

SafieのWebサイト

 もっとも、実際に購入はしたものの、次第に使わなくなることが多いのも、ネットワークカメラのもう1つの特徴と言える。画質などへの不満もあるが、外出先からのアクセスにしても、ルーターのポートを開放し、かつダイナミックDNSの設定を行うなどハードルが高く、以前は動いていたはずの設定でいつのまにか動かなくなっている、ということも少なくない。「見られればもうけもの」程度の確率では、使わなくなって当然だ。

 しかし最近になって、IoTの観点でネットワークカメラを再発明するアプローチが見られるようになりつつある。つまり主体はあくまでサービスであり、それを実現するための機器としてネットワークカメラが存在する、という考え方だ。「自宅内の赤ちゃんやペットを外出先から確認できる」ことにおいては何ら違いはないのだが、これまでカメラというハードウェアが前面に出てきていたのとは異なり、サービス主体であることが大きな違いだ。

 今回はその1つである「Safie(セーフィー)」を紹介しよう。

●データをクラウド上に自動アップロード、外出先からの視聴も容易

 SafieはWebサイト上では「防犯カメラのクラウドサービス」を掲げており、防犯用途をメインに押し出しているが、実際にはそうしたセキュリティ用途にとどまらず、家庭内の見守り用途まで幅広く使えるネットワークカメラサービスだ。従来であれば前面に出てくる機器の名前が目立たないのは、サービス主体であるからにほかならない。

 従来のハードウェア主体のネットワークカメラシステムとの違いはどこだろうか。筆頭に挙げられるのは、撮影した映像がカメラ本体ではなく、クラウド上に保存されることが挙げられる。従来は、撮影した映像がカメラ本体もしくはそれに付随するストレージに保存されていたため、外出先からルーターを超えてそれらにアクセスするのは一苦労だった。Safieであれば撮影した映像は全てクラウド上の専用サーバにアップロードされるため、外出先からの閲覧も容易だ。

 また保存先がクラウドであることから、カメラが故障したり、設置場所で火災などの事故が発生したりしても、データには一切影響がない。これも、対象物を常に記録し続けるネットワークカメラのコンセプトに合致している。サーバへの再接続も自動的に行われるので、自宅回線がダウンした際に録画がストップし、回線復旧後に放置状態になってしまうこともない。

 ネットワーク回線で必要になる帯域は500kbps~1Mbpsとされており、目に見えて帯域が圧迫されるようなことはない。さすがに自宅でストリーミングビデオを視聴する際などはオフにしておいた方が快適に使えるだろうが、後述するような高画質の映像を、普段はほとんど帯域の消費を気にせずに記録してくれるというのは驚異的ですらある。

 常時録画というのもポイントだろう。ネットワークカメラの多くは動体感知などのセンサーを搭載しており、何らかの反応があった場合のみ映像を記録する仕組みを採用している。これは便利に思えるが、録画されていない時間帯に本当に何も起こっていないのか証明できない欠点がある。もしかするとセンサーの不具合などで、特定の時間帯のデータがごっそり抜け落ちている可能性も否定できない。

 その点、Safieでは、プランごとに定められた期間の映像を丸ごとクラウドに保存したうえで、動きがあった部分にマーキングを施し、頭出しをしながら見られるようになっている。何かあったときに、マーキングされていない期間をチェックするのも容易というわけだ。データは古いものから消去されるので、容量を心配する必要ももちろんない(詳しくは後述するが、何日分のデータをクラウド上に残しておくかで、価格が決まる)。

 では、クラウド上に保存された録画データを、手元に残しておきたい場合はどうすればよいか。さすがに全体を丸ごと、というのは無理だが、ビデオクリップを書き出す機能が用意されているので、必要な部分はムービークリップとして切り出して残しておける。動画だけでなく、静止画を切り取る機能も用意されているので、用途に応じて使い分けることが可能だ。

●本体の設置も含めて10分あれば外出先からのライブ視聴が可能に

 先に実際の閲覧画面をご覧いただいたが、あらためて上記の画面が実際に見られるようになるまでの、ユーザー登録とカメラのセットアップ手順を紹介しよう。設定はPCからも、スマホからも行えるが、Safieはスマホネイティブが特徴ということもあり、今回はスマホからの手順を紹介する。

 利用にあたってはまずユーザー登録を新規に行う。この時点ではメールアドレスとパスワードだけで、その他の情報は一切必要ない。認証が終わったらBluetoothでカメラを検出し、そこにWi-FiのSSIDとパスワードを設定すれば登録完了だ。たったこれだけの作業で、スマホから専用アプリを使って、カメラの映像をすぐさま見られるようになる。

 一般的なネットワークカメラであれば、ここからルーターのポートを開放したり、ダイナミックDNSを設定したり……と煩わしい作業が続き、完了するころにはヘトヘトになっていることも珍しくない。しかし、Safieの場合は本体の設置も含めて10分もあれば、外出先から映像を見ることができる。あまりに簡単すぎて拍子抜けするほどだ。

 なおネットワークカメラの性質上、実際の映像との間にはタイムラグが発生する。試した限りでは数秒~十数秒といったところで、筆者の知る限りにおいてはダイナミックDNSなどを使ってアクセスする一般的なネットワークカメラと大きくは変わらない。データの保存場所がローカルであろうが、クラウドであろうが、蓄積したデータに対してWAN回線でアクセスする仕組みからして、これは不可避ということになるだろう。

●過去データを見るためには保存期間に応じた有料契約が必要

 さて、ここまでの作業でカメラの映像を見られるようになったわけだが、この時点で見られるのはリアルタイム(正確には前述のように数秒~十数秒遅れ)の様子のみだ。録画データをクラウドにストックし、それを後から振り返って視聴するためには、ここであらためて有料プランを選んでの契約が必要となる。必ずしも有料契約が必要というわけではなく、ライブ映像を見るだけならカメラ単体で使えるのはありがたい。

 購入時点では30日分の無料体験期間が用意されているので、それを使ってみてから判断することになるわけだが、この有料プランでは、7日間の録画プランが付属する。少々ややこしいが、「過去7日分の録画データを保存して自由に見られるプランが、無料で1カ月間利用できる」ということになる。

 ちなみに筆者は以前から本サービスを実際に利用しているが、旅行などで自宅を長期的に空ける際のみ有料で契約する形を取っている。SafieのWebサイトでは自動更新も可能なプランも用意されているが、スマホから申し込めるチケット制のプランは期間が過ぎると自動更新されずに終了するので、使っていない期間も延々と引落しが発生することがない。法人が防犯用途などで使う場合は前者、自動更新のプランの方がよいだろう。

 またSafieは、複数メンバーで共有することもできる。届いた招待メールの案内に従ってユーザー登録を行うことで、そのユーザーにクラウド上の対象データへの視聴権が付与されるという形だ。これについてもデータがクラウド上にあるため、ローカルにデータを保存している場合と違って、面倒なアクセス権限の設定が必要ないのは大きな利点だ。

●専用カメラ「CC-2」は高画質が特徴

 Safieは同社が直販している専用ネットワークカメラの他、アクシスコミュニケーションズ社製の約200機種のカメラでも利用できるなど、幅広い対応機種を用意している。今回は家庭やSOHOで導入する場合に候補の筆頭に挙がるであろう専用カメラ「QBIC CLOUD CC-2(以下CC-2)」について紹介しておく。

 このCC-2は2017年7月に登場した新製品で、型番からも分かるように従来存在していたCC-1というモデルの後継となる。従来はカメラ本体を細長いアームで支える構造だったが、今回のCC-2ではタマゴ型のボディーへと一新された。これに伴い、カメラの角度を本体側で上下左右方向に変更できるようになった。リモートではなく手動による変更だが、従来は基部をネジで緩めて角度を変えなければいけなかったので、大きな進化だ。

 従来のCC-1と比較してやや後退したのは視野角だ。CC-1は左右170度という異常に広い視野角で、壁に沿って設置するだけで室内のほぼ全域を見渡すことができた。カメラの位置を変えようと真横から近づいても、体の一部が必ずと言っていいほど映り込んでしまうといえば、その角度の広さを感じてもらえるはずだ。

 今回のCC-2は、視野角が134度とやや狭くなり、従来のように広い範囲を捉えることができなくなった。もっともこれまでの「超・広視野角」が「広視野角」になったというレベルで、以下のサンプル画像のように2台をわざわざ並べて比較したり、これまで設置していたCC-1をCC-2にリプレースしたりでもしない限り、違いに気付く人はほとんどいないだろう。特徴としては弱くなったが、実用レベルでは十分というのが率直な感想だ。

 ちなみにCC-2の大きな売りである画質については、HD 720p、30fps、有効画素数は2Mピクセルということで、売れ筋の主流となっている1Mピクセルクラスのスマホ対応ネットワークカメラの画質および滑らかさとは一線を画している。レンズはF2.0と明るく、ナイトモードにももちろん対応している。

 また細かいところでは、USBケーブルがじか付けではなく、取り外しが可能になったのも利点だ。ケーブルを都合のよい長さを変更できることに加えて、本体の電源をオフにする場合、これまでであればAC変換アダプターの根元からケーブルを抜く必要があったのが、今回のモデルでは本体背面からケーブルを外すだけで済むようになった。電源スイッチがないCC-1を使っていて不便と感じる点だったので、この変更は個人的にはありがたい。

 ちなみに今回紹介しているCC-2は無線モデル(IEEE 802.11a/b/g/n/ac)だが、有線と無線の両方に対応するモデル「CC-2L」も用意されている。CC-2は5GHz帯も利用できるので、2.4GHz帯でうまく接続できない場合も5GHz帯を利用すれば問題を回避できるが、常時安定した通信品質を求めるのであれば、有線にも対応したモデルを検討するとよいだろう。

●「きちんと使えるネットワークカメラソリューション」の最右翼

 ガジェットが好きなユーザーの場合、魅力的なハードウェアの登場をきっかけに、それに付随したサービスを使い始めることが多いわけだが、IoTデバイスでこうした選び方をすると失敗する確率が高い。理由は簡単で、どれだけハードウェアの完成度が高くても、そのバックボーンの部分がチープだと、製品として意味を成さないからだ。撮影した映像を保存・閲覧するところまでが1つのソリューションであるネットワークカメラも、この図式がそのままあてはまる。

 Safieは、ネットワークカメラというハードウェアから探し始めるとその存在を見つけるのは難しいが、「きちんと使えるネットワークカメラのソリューション」というソリューションの側から探し始めた場合、候補の最右翼となる存在だ。これまでハードウェア主体のネットワークカメラを使った経験があり、かつサービスのデキに満足が行かなかった人には、必ず刺さることだろう。今回は家庭やSOHO向けの利用を前提に紹介しているが、法人でも大手への導入実績があり、大規模な利用にも対応できるのは心強い。

 余談だが、最近は海外ベンダー製の一部のネットワークカメラで、「操作していないのにカメラが自分を追尾してきた」など、あたかも第三者に監視されているかのような不審な動きが見つかり、ネットでうわさになった例もある。

 このSafieは運営会社も国内、サーバも国内であり、かつオンラインバンク並みのセキュリティをアピールしていることもあり、この種の製品の中では安心度は高い。前述のようにライブ配信だけであれば無料で利用できるので、月額料金を払うことまでは考えていないという人も、まずは気軽に試してみてはいかがだろうか。

[山口真弘,ITmedia]

最終更新:10/12(木) 15:16
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