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第48回衆院選、8党の子ども・教育マニフェスト(政権公約)を比較

10/9(月) 10:21配信

リセマム

 10月10日公示、22日投開票の第48回衆議院議員総選挙(衆院選)に向け、8党(希望、公明、自民、社民、維新、共産、こころ、立憲民主)の公約が出揃った。

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 子どもの教育施策に焦点を当て、政党Webサイトや政権公約パンフレットで公開されている8党の基本施策・政権公約をまとめる。街頭演説や党首討論、報道の場における発言は含まない。用語や表現は原則、各党に沿って記載する(例:無償化、無料化)。

※掲載は五十音順

◆希望の党(希望)
代表:小池百合子


子ども・教育キーワード:
「雇用・教育・福祉の充実」「家計に希望を」
 (出典 政策パンフレット 政策集:私たちが目指す「希望の道」)

・正社員で働け、結婚でき、子どもを育てられる社会
・保育園、幼稚園の無料化
・大学における返済不要の奨学金(給付型奨学金)の大幅拡充
・待機児童ゼロの法的義務付け
・育児休暇取得の支援
・家計における二大負担「住宅費」「教育費」の引下げ
 (実質的な可処分所得増、個人消費増)
・配偶者控除を廃止し夫婦合算制度へ移行
・病児/病後児保育の充実
・産学連携などを通じ、地方大学を核とした地域活性化を図る
・都内23区の学生数を抑制する文部科学省告示を廃止する

 「国民ファースト」な政治の実現を目指し、9つの政策を公開している。そのうちのひとつには「雇用・教育・福祉の充実」を盛り込んだ。少子化問題解決のカギは「正社員で働ける、結婚できる。子どもを育てられる社会」の実現だと述べている。具体的施策としては、長時間労働の規制や正社員を増やす企業の支援など。親の所得に関係なく子どもが希望を持てるよう、保育園・幼稚園の無料化と返済不要の奨学金の増加を掲げる。「『希望への道』しるべ」として示す「12のゼロ」では、4つめに「待機児童ゼロ」、5つめに「受動喫煙ゼロ」を掲げ、実現を目指すとしている。

◆公明党(公明)
代表:山口那津男


子ども・教育キーワード:
教育負担の軽減へ。
幼児教育の無償化と私立高授業料の実質無償化
 (出典 衆院選重点政策 Manifesto2017)

・すべての就学前児童(0~5歳児)を対象とした幼児教育の無償化を2019年までに実現
 (対象は保育所や幼稚園、認定こども園などすべて)
・年収590万未満の世帯を対象に、2019年までの私立高校授業料の実質無償化
・大学生などを対象とした返済不要な給付型奨学金の額と対象人数を拡大
・大学授業料減免の対象拡大
・希望するすべての学生等への無利子奨学金の貸与
・私立大学生等の負担軽減のため、授業料減免等の補助率をかさ上げ
・教員の働き方改革推進
 教員定数の拡充
 専門スタッフ等の配置推進
 教員1人あたりの持ちコマ数軽減
 統合型校務支援システムなどICT環境の整備
 部活動指導員、スクールロイヤー(学校をサポートする弁護士)等の配置、体制整備
 民間コンサルタントを活用した学校業務の改善
 給食をはじめとする学校納入金の公会計化促進
・チームとしての学校「チーム学校」の実現
・セーフティプロモーションスクールの普及
など

 重点政策は「教育負担の軽減へ」。0歳から5歳児すべての幼児教育無償化の実現や、給付型奨学金・授業料減免枠の拡充、教員の働き方改革、「チーム学校(チームとしての学校)」の推進、2019年までに年収590万円未満世帯の私立高等学校授業料を実質無償化することなどが盛り込まれている。目標は幼児教育から高等教育までの「教育の無償化」だという。

◆自由民主党(自民)
総裁:安倍晋三


子ども・教育キーワード:
未来を担う子どもたちに、“保育・教育の無償化”を実現します。
暮らしの安心を守り抜く。
 (出典 衆議院選挙公約2017)

・2020年度までに3~5歳までのすべての子どもの幼稚園・保育園費用を無償化
・0~2歳児についても、所得の低い世帯に対して無償化
 「幼児教育振興法」の制定
・「子育て安心プラン」を前倒し、2020年度までに32万人分の保育受け皿を整備
・所得の低い家庭の子どもに限り、高等教育(大学・専修学校等)の無償化
・給付型奨学金や授業料減免措置の大幅増
・「卒業後拠出金方式」の検討
・人づくり革命(消費税10%への引き上げに伴う増収分などを活用)
 社会保障の充実、財政健全化、子育て世代へ投資による「全世代型社会保障」の実現
 リカレント教育の充実
・地方大学の魅力向上に取り組み、若者の地方での就学・就業を促進
・子育て世代に対する安価な住宅の供給や三世代同居・近居の推進
・「チーム学校」を実現し、学校での働き方改革を推進
 ICTによる環境整備で教師が子どもと向き合う時間を増加
 新学習指導要領の実施に向けた指導・事務体制の強化やサポートスタッフの設置
 部活動指導員の普及
・「家庭教育支援法」の制定
など

 10月7日には「教育、科学技術、文化、スポーツ施策5年間の実績」を公開。「アベノミクス」の功績として、平成26年度に創設した返済不要の高校生等奨学給付金や今年度(平成29年度)から先行実施した大学等における給付型奨学金の創設、平成25年度から29年度における教職員定数の改善などをあげた。今回の衆院選では、2020年までに3歳から5歳までの子どもの幼稚園・保育園の費用を無償化し、0歳から2歳児についても低所得世帯に対して無償化するとしている。低所得世帯については高等教育の無償化も図り、給付型奨学金や授業料減免措置の拡充を記載。また、同2020年度までに32万人分の保育の受け皿整備を進めるという。

◆社会民主党(社民)
党首:吉田忠智


子ども・教育キーワード:
子ども・若者に居場所と希望を
 (出典 衆議院総選挙公約2017 憲法を活かす政治社民党)

・日本版「ネウボラ」の推進
・保育料や幼稚園授業料の負担軽減を図りつつ無償化へ
・私学への助成拡充
・小学校30人以下学級の早期完全達成
・教職員定数の拡大
・義務教育における完全給食の実施、学校給食の無償化
・高校授業料は私立高校も含め直ちに無償化(外国人学校等も適用)
・高等教育(大学、大学院等)の学費は将来的に無償化を目指し、段階的に引き下げ
・給付型奨学金の対象・水準を拡大、奨学金は無利子を原則とする
・国立大学・高専運営交付金、私学助成費の減額方針を転換し、経常費補助は計画的に増額
・インクルーシブ教育の推進
・大学や研究機関における大規模な雇い止めを中止し、雇用の安定を図る
・保育士等の給与を当面月5万円引き上げる
・学童保育の量的な拡大と質的な拡充、指導員の処遇の改善
・ひとり親家庭の就労環境改善、非婚のひとり親に対する寡婦(夫)控除の適用拡大
・「子どもオンブズマン」「子ども・若者省」ワンストップ窓口の創設と実現
・少年法の適用年齢引下げや国旗・国歌の教育現場での強制に強く反対
・公的教育予算を国際標準のGDP5%水準に引き上げ
など

 フィンランドで導入されている子育て支援政策「ネウボラ」を引用し、子ども・家族政策の底上げで「日本版『ネウボラ』」を推進するとしている。具体策は保育料や幼稚園授業料の負担軽減・無償化、待機児童ゼロなど。若い世代の声を行政に反映させるため、「子ども・若者省」の設置も検討する。高等教育の学費については、将来的な無償化に向けて段階的に引き下げることや、高等学校の授業料は私立学校も含め無償化すること(外国人学校なども適用範囲)と記載した。私学への助成や学校給食の無償化も推進するとしている。なお、保育士等の給料は当面5万円引き上げるとしている。

◆日本維新の会(維新)
代表:松井一郎


子ども・教育キーワード:
教育無償化を実現!
機会平等社会のための教育無償化
 (出典 日本維新の会 2017維新八策)

・幼児教育の完全無償化
 保育を含む幼児教育の無償化を憲法に規定する
・私立高校の実質無償化
・大学の授業料無償化
・保育バウチャー、教育バウチャーの導入
・保育士給与の官民格差是正による保育士の待遇改善
 私立保育園と無認可保育施設の保育士の処遇を大幅改善
・保育サポーター制度の導入、保育士要件の多様化、家庭的・小規模保育事業の拡大
・子どもの数が多いほど税負担が軽減される「N分N乗方式(世帯単位課税)」の導入
・離婚後の養育費支払確保法案(108本法案のうちのひとつ)
・教育予算の対GDP比をほかの先進国並みに引き上げる
・小中学校での必修科目に「ディベート」を設ける
・高校・大学での「飛び級」を可能にする
・地価等に応じた、地代・家賃の運営費補助
・駅ナカや駅チカに保育所とオフィスを複合した「準・在宅ワーク」の拠点を整備

 基本政策のうち「政策5」に「教育・子育て・労働・社会保障」を掲げ、教育機会平等社会の実現を目指す。おもな取組みは、教育予算の対GDP比をほかの先進国並みに引き上げることや、すべての教育の無償化。保育士については、官民格差を是正し、民間保育所の保育士の待遇を改善するとしている。「保育サポーター」活用による受入れ児童の拡大も提言している。同党によると、保育サポーターとは「待機児童が多い地域に限り、5年間の特例措置として、保育士資格は持たないが、保育に関する知識と経験を持つ」者のこと。

◆日本共産党(共産)
委員長:志位和夫


子ども・教育キーワード:
社会保障・教育・子育て・若者を優先し、格差と貧困の是正に役立つ予算を増やします
 (出典 第48衆 日本共産党法定パンフレット 第1号)

・日本の教育への公的支出(GDP比3.2%)を先進国の平均(同 4.4%)並みへ
・義務教育期間中の教育費負担(制服、教材、部活動、教育費等)を解消
・幼児教育・保育の無償化を待機児童解消とともに推進
・高校授業料の完全無償化
・高等教育無償化に向けて当面10年間の国公私立の学費を半額にする
・給付型奨学金の抜本拡充と貸与制奨学金の無利子化
・少人数学級の推進と教育条件の整備
・教員の多忙化解消、臨時教育の待遇改善と正規化
・保育士・保育所職員の賃上げ
・公立保育所をはじめとする30万人分の認可保育所を緊急増設

 10月4日に発表した「日本共産党の財源提案」では、富裕層や大企業への優遇税制を改め、「能力に応じた負担」に基づいた税制改革を行い、当面17兆円の財源を確保するとしている。子育て分野においては、30万人分の認可保育所増設(5,000億円)で待機児童解消をはかり、幼児教育・保育の無償化(1~2兆円)を推進するという。乳幼児の医療無料化(2,500億円)、保育職員の待遇改善(6,000億円)などの実現も掲げている(数字はすべて同党による計上)。また、教育予算を「OECD諸国並み」に増やせば、義務教育の教育費負担解消(1.2兆円)、30人学級の実施(5,000億円)、高等学校授業料完全無償化(1兆円)、大学授業料半減(1.1兆円)、給付型など奨学金拡充(4,000億円)が可能になるとしている。

◆日本のこころ(こころ)
代表:中野正志


子ども・教育キーワード:
正しい歴史観と道徳観を持ち、国際的に高水準の学力を持つ日本人を育てる教育
 (出典 第48回衆議院議員総選挙における重点政策、政策実例)
 ※出典の政策実例は2016年の参院選にあわせ発表し、現在も標榜されているもの

・国際的に第一級の知力と科学技術の革新力を持たせるための教育の重視
・「独立自尊」の精神を養い、愛国心を育む教育
・社会における公正と秩序を維持するための規範・道徳教育
・子どもの能力・特性に合わせた教育環境の整備、専修学校等を活用した労働市場のミスマッチの解消
・バウチャー制度による子育て・ 教育政策の拡充る機会を保障
・返済不要奨学金の充実など、親の経済格差により教育の不平等が生じない制度の確立
・扶養する子どもの数が多いほど税制上有利な制度など、子育て支援制度の充実
・近居や二世帯・三世帯住宅に対する支援制度の充実
・保育士への支援拡大

 今回の重点政策はおもに憲法制定、消費税マイレージ制度、ミサイル迎撃能力の配備、被災者自立支援の4つだが、基本政策(平成27年12月21日時点)のうち3つ目には「子育て世代を支援し、安心して子供を産み育てられる環境の整備」を掲げている。具体的には、育児休暇制度等の制度・運用の充実、多子世帯が税制上有利となる子育て支援制度、税制・年金制度において非婚化・晩婚化対策を実施することなど。「国際的に高水準の学力を持つ日本人を育てる教育」として、バウチャー制度による子育て・教育政策の拡充や返済不要奨学金の充実などを掲げる。

◆立憲民主党(立憲民主)
代表:枝野幸男


子ども・教育キーワード:
社会全体ですべての子どもの育ちを支援します
 (出典 国民との約束)

・保育士・幼稚園教諭等の待遇改善・給与引き上げ
・児童手当・高校等授業料無償化ともに所得制限の廃止
・大学授業料の減免、奨学金の拡充
・貧困の連鎖を断つための教育生活支援
・虐待をなくすために児童相談所や児童養護施設、民間団体との協働を強化

 政策パンフレットで述べるおもな政策は「暮らしの立て直し」「原発ゼロ」「ともに支え合う社会」「行政の情報公開」「立憲主義の回復」の5つ。子どもの教育については、児童手当・高等学校等授業料の無償化や所得制限の廃止、大学授業料の免除、奨学金の拡充を掲げる。保育士・幼稚園教諭などの待遇改善や給与引き上げも標榜している。子どもの貧困対策としては、教育生活支援や虐待をなくすため、児童相談所や児童養護施設、民間団体との協働を強化するとしている。

※編集部注:2017年10月13日、公示後のWebサイトや政権公約パンフレット情報をもとに一部情報を更新、追加しました。

《リセマム 佐藤亜希》

最終更新:10/13(金) 1:50
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