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衆院選埋もれた争点 三都物語で掲げた「地方分権=憲法8章」改正の意味は?

2017/10/13(金) 10:20配信

THE PAGE

自民党は草案つくるも争点化せず

 一方、政治の側からは自民党が近年の改憲草案で第8章の見直しも進めています。2012年の草案では、地方公共団体を「地方自治体」と言い換えた上で、道州制を前提に「基礎自治体」と「広域地方自治体」に区別。財政は「地方税その他の自主的な財源をもって充て」、それだけで不十分な場合は、国が「法律の定めるところにより、必要な財政上の措置を講じなければならない」などとしています。

 しかし、今回の衆院選の公約で自民党は、憲法改正について「自衛隊の明記、教育の無償化・充実強化、緊急事態対応、参議院の合区解消など4項目を中心に」議論するという文言にとどめました。地方のあり方についてはここ数年来の「地方創生」という言葉に集約しているため、希望の党の公約との単純な比較はできません。それも議論が盛り上がらない一因と言えるでしょう。

 憲法学者で元愛知大学教授の小林武氏は、「希望の党と大村知事の持論との関係など詳しいことは分からない」ことを前提に、次のように指摘しました。

「立法権は93条で、財政権や課税自主権自体は94条の解釈で認められているというのが憲法学の立場。大村知事が求める『国と地方の協議の場』であれば1999年の地方自治法改正で『国地方係争処理委員会』ができているなど、憲法改正以前の地方自治法マターの話がかなりある印象だ。道州制も法律移行でできることだが、もし連邦制のようなところまでいくなら国家構造を変える大改正になり、レベルの違う話になる。選挙の争点とするには、もっと論理的な準備が必要なのではないか」

 地方の活性化や財政再建が喫緊の課題であることは疑いがありません。しかし、「8章」が「9条」に優先するほどの改憲課題かというと、一般の有権者にとってはなかなか実感しにくいはずです。22日の投開票までに、どれだけ議論が深まるでしょうか。

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■関口威人(せきぐち・たけと) 1973年、横浜市生まれ。中日新聞記者を経て2008年からフリー。環境や防災、地域経済などのテーマで雑誌やウェブに寄稿、名古屋で環境専門フリーペーパー「Risa(リサ)」の編集長も務める。本サイトでは「Newzdrive」の屋号で執筆

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最終更新:10/2(火) 17:01
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