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「ねえGoogle、Google Homeは使いものになる?」実際に触って実力をチェック

10/12(木) 8:00配信

@IT

 スマートスピーカーは実際、どのような用途で価値を発揮するか。どんな人にとって便利か。ここでは、2017年10月6日に、日本で発売されたばかりのGoogle Homeに焦点を当て、実際に触って、その使い勝手を独自の視点でまとめてお伝えする。

●音楽機能は生活を変えるか

 大部分のユーザーが、まず試すだろうと思われるのが音楽機能。「たかが音楽機能、されど音楽機能」で、単純に「音楽を聴く」というだけにとどまらないところに注目したい。

 日本では、2017年10月中旬時点で、Google Play Musicの有料サービス/無料サービス、Spotifyの有料サービス/無料サービスに対応している。Spotifyの無料サービスへの対応は、米国でもAmazon Echoシリーズには見られない。

 「Google Play MusicとSpotifyのどちらも好きではない、他の音楽ストリーミングサービスを使っている」という読者がいるかもしれない。それでもGoogle Homeの音楽機能は使ってよかったと思える場合がいくつか考えられる。

 1人で暮らしていても、家にいるときに、何か音楽を聴きたいと思うことはあるだろう。別に「どの曲」というわけでもない。Google Play MusicやSpotifyの無料サービスしか設定していなくても、自分のプレイリストの再生もできる。また、例えば「ねえGoogle、気分を上げてくれる音楽が聴きたい」と言えば、音楽サービスからキーワードに合ったプレイリストやステーションを再生してくれる。こうして、家にいる間ずっと、音楽を聴きながら生活できる。

 「ほぼ音楽とは無縁だった私たち。このおかげで音楽と一緒の生活が始まりました」といったGoogle Homeのコマーシャルが作られたとしても、誇大広告だとは思わない。

 好きな曲になったら、「ねえ、Google、音量を8にして」などとボリュームを上げて、その世界に浸ることができる。

 音楽を流したまま、Google Homeに別のこと、例えば天気を聞いたり、任意の質問をしたりしてもいい。その作業中は音楽がミュートされ、終わると元の音量で再生が続けられる。その意味でも、生活のバックグラウンドで音楽を使える。

 有料サービスを使っている人なら、もちろん「クリーン・バンディットの『シンフォニー』が聴きたい」などと、アーティスト名、曲名を指定して再生できる。その後「止めて」と言わなければ、似ている曲を次々に再生する。聞いている曲が気に入ったら、「この曲、何?」と聞いてアーティスト、曲名を確認できる。こうして新しい曲に出会うことができる。

 残念なのは、英語では可能な「Play the song that goes …」ができないこと。聞きたい曲を「goes」の後に鼻歌で歌うと、これを再生してくれる機能だ。日本語でやってみたが、この機能を使うことができなかった。

●音楽サービスのアカウントをシェアできる

 Google Homeの音楽機能は、1人でも上のように楽しめるが、複数人が同居している場合には、金銭的なメリットが出てくる。あるユーザーの有料サービスアカウントを、他のユーザーも使えるからだ。Google Homeは、独自の機能として、音声認識によるマルチユーザー対応がある。これと音楽機能が連動していることを利用し、さまざまなパターンでの利用を実現している。

 Google HomeおよびAmazon Echoでは、設定した人の契約している有料音楽サービスを、他の人が利用できる。つまり、家の中に限ってではあるが、複数の別アカウントやファミリーアカウントを購入せずに、複数ユーザーが有料サービスを使える。この1点だけで、Google Homeの購入を考える人はいるだろう。

 Google Homeではさらに、同居している他のユーザーをアカウント登録すると、そのユーザーの契約している有料音楽サービスも利用できる。つまり、AとBの2人が同居していて、AがGoogle Homeの最初のユーザーになったとする。また、AがGoogle Play Music、BがSpotifyのそれぞれ有料サービスを契約しているとする。すると2人とも、Google Play Music、Spotifyの双方の有料サービスを、使えるようになる。

 こうした場合でも、デフォルトサービスはAがGoogle Play Music、BがSpotify。サービス名を指定しない限り、デフォルトサービスを使って音楽が再生される。さらに、2人がどちらのサービスを使った場合でも、それぞれの好みやプレイリストを別個に管理できる。従って、他の人とアカウントを共有したことによる、パーソナライズの混乱は発生しない。

●実はGoogle Homeはマルチリンガルだった

 スマートスピーカーでは、さまざまな意味で、人の質問や働きかけにどう対応するかが、使い勝手を大きく左右する。

 Google Homeの日本語音声認識は精度が高い。音楽サービスで曲を指定する際には、外国人アーティスト名や外国曲名を日本語発音で言うことになる。固有名詞や曲名のような普通名詞の羅列は難易度が高いと思われるが、かなりうまく拾ってくれる。逆に、英語の曲名を英語発音で言っても、日本語モードでは理解しにくいようだ。

 逆に「何の曲?」などと聞いた時の答えは、聞き取りにくいことがある。正確にアーティスト名や曲名を言っていても、外国名の場合、期待するイントネーションで言ってくれないため、2度聞かないと理解できないことがある。

 ちなみに、Google Homeはマルチリンガルだということが分かった。言語設定に日本語の他、英語(米国)、英語(英国)、英語(豪州)、仏語、独語などの選択肢がある。これを日本語から例えば英語に変えると、英語で受け答えができる。一方、日本語設定のままだと、英語で音声コマンドや曲名を言っても、認識してくれない。

 日本語設定のままでも、翻訳機能はかなり使えそうだ。「ねえGoogle、『昨日は近所の自転車屋で自転車を買って、とてもうれしかったです』を英語で言って」など、ある程度長い文章の翻訳にも対応する。電子メールやソーシャルネットワーキング、手紙で重宝しそうだ。

●日本語という言語の難しさ

 日本語の文の構造は、会話での自動音声認識にはチャレンジだ。「主語+動詞+~」になっていないため、話者の「インテント(意図)」が早い段階で把握しにくいからだ。

 前述の、「Play the song that goes …」で鼻歌から曲を自動検索して再生する機能が、日本語に移植しにくい理由も、ここにある可能性がある。

 日本語でこれをやろうとすると、「ねえ、Google」と言った後に、(短く)鼻歌を歌った後、「っていう曲を聞かせて」といった表現をすることになる。Google Homeにしてみれば、突然鼻歌を聞かされても、何をやらせたいのかが分からないので、「Shazam」のような曲名認識機能を起動できないだろう。そこで、「ねえ、Google、これから歌う曲をかけて」と言った後に鼻歌を歌ってみたが、反応しなかった。

 とはいえ、これも前述の翻訳機能では、ある程度長い文章にも対応しているので、取り込んだ情報に後からインテントを適用するような処理ができないわけではないようだ。

 一方、「~って何?」「なぜ~?」のように単純な日本語の質問文は、ほとんどの場合、問題なく認識する。

●Google Homeは本当に質問に強いのか

 Google Homeの発表会で、Amazon Echoとの大きな違いを聞いたところ、「質問と音声認識に強い」という答えが返ってきた。検索では、日本でも圧倒的なシェアを誇るグーグルにそう言われると、思わずうなずいてしまうが、本当に「質問に強い」のだろうか。一般的な質問に関して、試してみたい。

 まず、Amazon Echoでは、Amazonが2012年に買収した「Evi」という企業の知識データベースの情報を読み上げることで、一般的な質問に答えているとされる。一企業がメンテナンスする知識データベースでは、最新情報についていくのが大変そうだ。また、日本語化でもこのデータベースを採用するのであれば、大きな困難に見舞われそうだ。

 一方、グーグルは検索を活用する。スケールするし、新しい情報にも対応しやすい。地域特有の流行や新語にも対応しやすそうだ。良いことずくめのように思えるが、実際に試してみると、バラ色ではないことが分かる。

 PCによるグーグル検索では、特に固有名詞の場合、検索結果の画面右にボックスが表示され、その中で情報が一覧できるような工夫がなされている。こうしたボックスがある項目の場合、Google Homeはそこに示された説明文の最初の一文を読むことになっているようだ(さらに多くの文章を読むこともあるが、どういう基準になっているかは分からない)。

 説明文はWikipediaであることが多いが、必ずしもそうとは限らない。

 問題は、最初の一文だけでは説明にならないことがよくあるという点だ。例えば「ねえGoogle、ダルビッシュ有って誰?」と聞くと、Wikipediaの説明で返答する。だが、最初の一文のみであるため、「ダルビッシュ有は、大阪府羽曳野市出身のプロ野球選手」で終わってしまう。これでは説明になっていないという人は多いだろう。

 また、「王貞治って誰?」と聞くと、PC上ではもちろん多数の検索結果が表示され、ボックスも表示されてWikipediaの説明があるのに、なぜか「すみません、お役に立つことができません」という答えになってしまう。

 「風邪って何?」と聞くと、Google Homeは「生活知恵袋」というサイトの情報を読み上げる。確かにPC上で検索ワードに「風邪って何」と入力すると、生活知恵袋の情報がボックスに入って最上部に表示されるが、「風邪」で検索すると、検索結果ページにボックスが表示されず、結果の最上位はWikipediaだ。

 さらに、「日本科学未来館には何がある?(展示物は?)」「風邪の治し方は?」など込み入った質問になってくると、答えられないケースが多い。

 このように、一般的な質問に対して答えるという点では、少なくとも現在のところ、便利だと感じられる場面が多くはない。「積極的に詳しい答えを見つけたければ、スマートフォンやPCで検索しろ」ということだろう。

●「今日はどんな日?」から考える、Google Homeの情報提供機能

 一般的な質問への答えについては、上記の通り(期待し過ぎてしまうせいか)「いまひとつ」の感があるGoogle Home。だが、情報提供機能には、はっきり「便利」といえる部分もある。ここでは、どういう場面で便利かを紹介する。

 グーグルは、Google Homeの紹介で、「今日はどんな日?」(英語版は「How is my day?」)をよく取り上げる。「今日はどんな日?」とは、出勤、通学の支度をしている時に役立つ情報をまとめて聞くことができる。

 今日はどんな日に含まれるのは、日付、曜日、天気、通勤・通学経路の交通状況、次の予定(Googleカレンダーに登録された情報)、リマインダー、ニュースだ。これ以外の項目を追加することは、今のところできない(任意の項目をスキップする設定は可能)。このように、いちいちテレビやインターネットのサービスなどで確認するのが面倒なことを、「今日はどんな日?」という一言で流し聞きできるのは便利だ。

 しかも、Google Homeの音声認識機能では、音声認識機能によって、各人に適した情報を伝えてくれる。

 似たような例では、レジャーに出掛けることを想定して、次のような確認ができる。

 「ねえGoogle、日本未来科学館ってどこ?」「ねえGoogle、営業時間は?」「ねえGoogle、車で何分かかる?」

 同じ場所やモノ、人に関する質問を続ける場合でも、いちいち「ねえGoogle」を言わなければならないのが面倒だが、少なくとも上の例では「日本科学未来館」をスキップできている。「営業時間は?」の質問では、「今日は閉まっていますが、明日10時に開きます」といった、多少頭の良い答えを返せる。

 また、外食で店舗に予約を入れたい時、電話番号をいちいち検索するのは面倒だ。こうした場面で、即座に言葉で聞けるのは楽だ。米国では、さらにアウトバウンドコール通話料無料のサービスを使って、そのまま店舗にハンズフリーで電話をかけさせることができる。こうなってくると、確かに便利だ。

 細かいことのように聞こえるかもしれないが、上記のように、天気、交通情報、施設や店舗の営業時間、電話番号など、「知りたいが検索するのは面倒」といった情報を、Google Homeに言わせると、便利に感じられる。

●Google Homeの便利さとは

 他の機能、例えば「タイマー」「アラーム」「ショッピングリスト」「リマインダー」などについても、同じことがいえる。いちいち紙やPC、スマートフォンに入力するのが面倒な作業を、声だけで済ませられる。

 Google Homeの機能は増えることだろう。だが、Google Homeの根本的な便利さが、「おっくう」「面倒」な作業を声で済ませられることだという点は、今後も変わらないように思われる。

最終更新:10/12(木) 8:00
@IT

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