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巨人、“非情”人事どこへ 11年ぶりBクラスでも由伸監督、村田ヘッド留任の“ユルフン”っぷり

10/12(木) 16:56配信

夕刊フジ

 11年ぶりBクラスの4位に沈んだ巨人は10日、高橋由伸監督(42)が3年契約の最終年を迎える来季の1軍コーチ陣容を発表した。村田真一ヘッドコーチ(53)が留任の上バッテリーコーチも兼任する、まさかの“昇格人事”。来季続投が決まった高橋監督とともに、首脳陣2トップが2年連続V逸でも責任を問われない、異例の新体制に落ち着いた。他球団からの引き抜きも、フレッシュな新顔の加入もなし。常勝の伝統を守るためなら非情な手段もいとわなかった名門は、いつからこんな“ユルフン”になったのか。(笹森倫)

 大難航となったコーチ人事。“苦心作”のできばえは、ファンの目にどう映っただろうか。

 更迭は3人。今季途中にチーフ格からブルペン担当に配転された尾花投手コーチが編成本部アドバイザー、村田善バッテリーコーチが戦略室スコアラーに。現役時代にFAで加入した際、特約で終身雇用が保証された江藤打撃コーチはファームへ転任した。

 穴埋めは人事異動で対応。ともに2軍担当だった豊田投手コーチ、小関打撃コーチがそれぞれ昇格した。外部招聘は、新設の打撃総合コーチとして7年ぶりに復帰した吉村禎章氏(54)のみ。こちらも過去に2軍監督、1軍打撃コーチなどを歴任している。

 鹿取GMは「今年はちょっと打撃が上がってなかったので、厚くしたかった。若手の成長も含めてやらないと」と3人に増強された打撃指導体制を説明。

 一方で、監督とともに得点力不足の責任を負うべき村田ヘッドの留任については、「(球団ワースト記録を更新した)13連敗以降、今の体制で挽回して3位争いまできた。そのへんは評価している」として、「新しいコーチ3人のまとめ役として、今年の反省を踏まえてやってもらいたい」と期待をこめた。

 先発投手陣は菅野が17勝5敗、マイコラスが14勝8敗、田口が13勝4敗。3本柱で27個も貯金をつくりながら、チーム全体ではわずか貯金4でBクラスに転落したのはなぜか。

 夏場に入るまで、下位打線にもごく初歩的な攻撃のサインすら出せず、チーム併殺打が球団ワースト記録の129に上るなど、ベンチの無策ぶりが顕著。作戦担当の村田ヘッドの引責はさすがに不可避というのが、チーム内外の評価だった。

 球団側は経験豊富な吉村氏にヘッド格としても白羽の矢を立てたが、就任時に「村田ヘッド」を懇願した高橋監督が今回も留任を望み、首を縦に振らなかったもようだ。

 一方、3年契約最終年の“高橋体制”は結果が出なければ来季限りとなる可能性が高く、有能な新顔コーチをうま味のない1年契約で招聘するのは至難。そんな中で、チームがCS進出を逃して秋季練習の開始が想定より早まってしまい、“時間切れ”で組閣を完了したのが実情だ。

 職分の見えにくい村田、吉村両コーチの棲み分けについて、鹿取GMは「これから監督を交えて相談して決めていく」と語るにとどめた。

 絶望的な気分でオフを迎えたG党に来季への希望の灯をともすだけのインパクトが、今回の人事にないのは明らかだ。

 いつからこんなに情けない球団になったのか。もともと巨人といえば、強引ともいえる手法に賛否両論はあれど、「常勝」の看板を守るために執念を燃やしていた。主力選手や監督にも、日本一を目指すチームに不要とあらば、引導を渡す人事を断行してきた。

 たとえば、長く4番を務めた原前監督は、入団から続けた規定打席を13年目で逃すと、15年目のシーズンに通算1675安打で引退した。

 監督在任中の2015年には、「今のメディアはやさしい。うちらの頃なんか、ちょっと試合に出なかったら『引退か』なんて話でさ。特に4番とか、いい成績を残してた人はね」と回顧。返す刀で当時現役18年目だった高橋監督に触れ、「4番がダメだったら6番、6番がダメだったらピンチヒッター。うちらの時代とはちょっと違う。(昔は)レギュラーから外れたらみんな『ありがとうございました』で引退。今はそういうのないもんな」と言及した。

 同年オフ、高橋監督は現役続行を望みながら、原前監督の後釜に据えられ現役引退した。そして2年後。チームを長くAクラスにとどめたベテラン勢が、その仕事が担えなくなってもなお、かつての指揮官と同様に現役へ執念をみせている。チームの未来のため潔く身を引く首脳陣もいない。

 巨人を盟主たらしめた冷徹に勝利を追求する伝統は、永久に不滅であるべきではないのか。

最終更新:10/12(木) 17:09
夕刊フジ

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