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イシグロさん、村上春樹文学の魅力語る 母校で講演

10/12(木) 11:00配信

朝日新聞デジタル

 今年のノーベル文学賞受賞が決まった英国の小説家カズオ・イシグロさん(62)が11日、英東部ノリッジのイーストアングリア大で講演した。イシグロさんは同大の大学院で文章の創作を学んだ。この日は後輩たちに自身の執筆法を明かし、村上春樹さんやボブ・ディランさんの魅力についても語った。

 イシグロさんは、2000年から使っている小さなノートに小説のアイデアを書きためていることや、小説を書く際はまず、あらゆる時代や場所に通用するテーマや筋書きを考えてから舞台設定を決めることなど、独自の執筆スタイルを披露した。

 00年出版の小説「わたしたちが孤児だったころ」では例外的に、1930年代の上海という舞台設定を先に決めたことも明かした。日本人の祖父が上海で豊田紡織廠(しょう)(当時)の立ち上げを担ったため「祖父の当時の写真を見てこの時期の中国にとても興味を持った」と説明した。

 会場からの質問に答える形で、村上春樹さんにも言及。「本能的で即興演奏のようだが、重要なことを伝えようとする明確な意図がある」と村上文学の魅力を語った。

 ノーベル賞をめぐっては昨年、ミュージシャンのボブ・ディランさんに文学賞を授与することの是非が議論を呼んだ。イシグロさんは「詩と音楽を融合した新たな芸術の形を作り出した。授賞は理解はできる」とたたえた。(ノリッジ=下司佳代子)

朝日新聞社

最終更新:10/12(木) 13:04
朝日新聞デジタル