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衆院選 安倍首相の「大義」 子育て支援、公約に厳しい目

10/12(木) 7:55配信

産経新聞

 ■保育園不足・財源…「真剣に考えろ」

 衆院選が公示され、各候補者による舌戦が本格化した。安全保障政策、経済政策など争点は多いが、安倍晋三首相が選挙の「大義」に掲げたのは、消費増税の使途を変更し、子育て世代の支援を拡充することだった。各党とも子育て支援を重点公約に掲げており、投票先を選ぶパパやママの目はいつにもまして厳しくなっている。

 子連れの母親が行き交う東京都目黒区のスーパー前。店員の「野菜が安いよー」という大声に混じって、衆院選の立候補者が「幼保から大学学費までの無償化を大胆に進める」と訴えていた。目黒区は待機児童が今年、全国ワースト3位。対立候補も「少子高齢化は待ったなし。柱として教育の問題がある」と声を張り上げた。

 厚生労働省によると、全国で認可保育園などに入ることができない待機児童は、今年4月時点で昨年より2500人ほど増えて2万6千人余りとなった。3年連続の増加だ。保育園不足を懸念し、子供を持つことを断念する人や、復職を諦める母親がいる。

 世間の声に押される形で、各党はこぞって子育て政策に傾注し始めた。しかし財源はどうするのか。消費増税を充てるにしても、借金返済の先送りにすぎず、将来世代に付けを回すことになる。まして消費増税を凍結してしまえば、どこから財源を捻出しようというのか。有権者からはこうした批判も聞かれる。

 ◆「いす取りゲーム」

 今月4日、子育て中の保護者ら約130人が都内に集まり、待機児童対策について会合を催した。

 「苦労の歴史」と自嘲気味に語るのは、3人の子供を持つ東京都大田区の小学校教諭、広岡亮子さん(40)。9歳と4歳に加え、今年2月に男の子が生まれたが、「保育園に入れるという自信が全くない」と眉をひそめる。

 子育て世代の悩みは深刻だ。SNS(会員制交流サイト)で「#保育園に入りたい」の投稿を呼びかける東京都武蔵野市の3児の母、天野妙さん(42)は待機児童問題を「ママたちのいす取りゲーム」と表現。「今回の選挙で『子育て政策をどうするか』と政治家に直接問いただしてほしい。そうすれば政治家も真剣に考える」と提言する。

 ◆「幸福の物差しで」

 一方、少子化はそもそも未婚者が増えていることにも原因があるが、選挙戦では見過ごされている。

 「待機児童問題が身近になっているにもかかわらず、独身女性は『産めば何とかなるんじゃない』という楽観論ばかり」と話すのは、結婚相談所に勤める千葉県柏市の佐藤祐佳さん(36)。保育する母親と独身女性との間で情報が断絶していると感じている。

 「子供を産んだら、すぐに保育園に入れて、幼稚園ぐらいまでゆっくりしたいという夢物語を言っている独身女性がとにかく多い。現実を見ようよ、と」。結婚して保育園探しで苦労した結果、「結婚って最悪だよね」と話すようになり、少子化がまた進む-。佐藤さんはこうした悪循環を危惧する。

 「子育ての無償化」という政策自体にも“落とし穴”がありそうだ。教育学者の高橋史朗・明星大特別教授は「全て公でまかなってしまうと、家庭の責任や親の責任が抜け落ちてしまわないか」と疑問を呈する。

 旧民主党政権下に打ち出された「子ども手当」が、中には親の遊興費などに使われ「親手当」と揶揄(やゆ)された。その二の舞いを憂える。高橋氏は「子育ての質の向上に目を向け、親として成長し責任をしっかり果たす。経済の物差しではなく、幸福の物差しを入れるべきだ」と強調した。

最終更新:10/12(木) 8:30
産経新聞

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