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Apple「W1」チップの真価とは? 「Beats Studio3 Wireless」の進化と深化

10/12(木) 21:50配信

ITmedia LifeStyle

 およそ1年前の2016年9月、Beats by Dr.Dreがワイヤレスイヤフォンの「Beats X」など3つの新製品を発表した。いずれも米Appleの「AirPods」と同じ「W1」チップを搭載し、BluetoothのClass 1対応やAppleデバイスとの接続性向上といった新機能で注目を集めたが、ノイズ・キャンセリング機能を搭載したワイヤレスヘッドフォン「Beats Studio Wireless」の新製品はなかった。

カラーはマットブラック、ホワイト、ブルー、レッド、ポーセリンローズ、シャドーグレー。価格は3万4800円(税別)

 10月中旬に発売される「Beats Studio3 Wireless」は、W1チップを搭載したBeats Studio Wirelessの後継機だ。製品としては約2年ぶり。1年という時間をかけ、W1チップの機能を最大限に発揮させるために熟成させたモデルという。

●バッテリー駆動時間が2倍に

 Beats Studio3 Wirelessを一見して、デザインのテイストは変わっていないことが分かる。ハウジングの最も目立つ場所に「b」の文字を入れ、円を基調にしたシンプルかつ機能的なデザイン。既にBeatsブランドのアイコンとなっているシルエットだが、実は使われている素材や塗料は変更され、マットな部分とグロッシー(光沢のある)なパーツともに高級感を増した。またブラックモデルは「b」の文字も黒いため、落ち着いた大人のイメージ。目立つデザインが好みではない人にもうれしいスタイルになった。

 外観よりも大きく変化したのは中身だ。W1チップは、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)やBluetoothの機能をあわせ持つ統合型のプロセッサ。まずiPhoneやMacBookといったAppleデバイスとのペアリングはワンステップで、同一のiCloudアカウントでログインしていれば、シームレスにハンドオフが可能になる。例えばiPhoneでの通話が終了したらMacBookでの映画鑑賞に移るのも容易だ(OS X Sierra、iOS 10、watchOS 3以降が必要)。

 また昨年の新製品と同様、Bluetoothは電波強度の高いClass 1をサポート。対応機器との組み合わせなら広い有効範囲(約100m)と接続時の安定性向上も期待できる。接続は途切れにくく、干渉も起きにくい。

 そしてW1チップを採用した最大のメリットはバッテリー駆動時のスタミナだろう。ノイズキャンセリング機能には新規開発の専用チップを用いるが、W1が制御することで、消費電力を抑えつつ最大限のパフォーマンスを発揮するという。実はBeats Studio3 Wirelessのバッテリー容量は従来機(Beats Studio Wireless)と同じ。しかしノイズキャンセリング使用時の駆動時間は、従来機の連続12時間に対して連続22時間と飛躍的に延びた。ノイズキャンセリング機能をオフにすれば最大40時間だ。

●適用範囲が広がったノイズキャンセリング

 ノイズキャンセリング機能自体も進化している。BeatsのANCは「適応型アクティブノイズキャンセリング」と呼ばれるもので、ハウジング上にあるマイクで外部ノイズを拾い、瞬時に逆位相の波形を作り出して打ち消す。この基本は変わっていないが、従来機が主に航空機での使用を想定した80~300Hzという低い周波数帯のノイズを狙い撃ちしていたのに対し、新しい「Pure ANC」では、周囲のノイズに応じてANCを適用する周波数レンジを柔軟に変更するようになった。効果を発揮する場面が増えたという意味だ。

 Pure ANCの特徴の1つに「漏えい評価」と呼ばれる機能がある。ヘッドフォンの場合、使う人の耳の形状や髪形などでも音響特性が変化してしまうものだが、Pure ANCではハウジング内にあるフィードバック用のマイクが音楽以外の音が入っていないかを常時チェック。外部ノイズを検知するとノイズキャンセリングの強度を適切な値に設定し直す。

 「音質評価」という機能は、ハウジング内の再生音と音源の音声信号を常時比較し、異なる場合にはノイズキャンセリングの周波数帯をあえて狭くするなどして音質劣化を最小限に抑える仕組みだ。Beats Studio3 Wirelessの中では、こうしたオーディオキャリブレーションプロセスが毎秒5万回も繰り返されていて、環境が変化して約5秒が経過するとノイズキャンセリングやデジタルフィルターの設定を変更するという。

 実際に装着していると、音の変化がよく分かる。例えば地下鉄の駅に入ったとき。例えば扇風機を付けたとき。5秒ほど経過すると周囲のノイズが徐々に減り、音楽が良く聞こえるようになる。普段から効果を実感できるのは面白い。

 Beats by Dr.Dreは、2006年にDr.DreとJimmy Iovine氏が立ち上げたオーディオブランドで、2014年7月にApple傘下となった。現在は一部開発リソースを共有するなど、ほぼ1つの会社として機能しており、W1チップの実装にあたっても、例えば同じ技術者がAppleとBeatsの製品を両方チェックするなど共同作業に近い形で作業を進めてきた。1年という“熟成期間”を経たBeats Studio3 Wirelessは、BeatsとApple、双方が満を持して送り出す自信作といえそうだ。

最終更新:10/12(木) 21:50
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