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桜井ユキ「毎日必死だった」想像だにしなかった初主演映画/インタビュー

10/12(木) 12:10配信

MusicVoice

 女優の桜井ユキが、俳優の高橋一生と共演した映画『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY - リミット・オブ・スリーピング ビューティ』が10月21日に公開される。

 『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY - リミット・オブ・スリーピング ビューティ』は、女優を志し田舎を飛び出してきたヒロインが、都会の片隅で、とあるサーカス団に身を寄せマジシャンの助手を務めて生活していくうちに、妄想と現実の境界をさまよいながら、一つの転機にたどり着く姿を描く。

 本作でメガホンを取ったのは、『SLUM-POLIS』『MATSUMOTOTRIBE』などの二宮健監督。ストーリー本編では、全編に二宮監督が自らセレクトした洋楽インディーズのハウス/テクノ調の音楽で満たされており、クールで独特の雰囲気を醸し出している。

 桜井は24歳で女優デビューを果たした。どちらかというと遅咲きの女優だが、これまで『リアル鬼ごっこ』『はなちゃんのみそ汁』『フローレンスは眠る』などの映画作品や、その他舞台、ドラマなどで非常に個性の強い存在感を見せ、高い評価を得ている。本作は桜井にとって、初の主演作となる。

 ストーリーとしても非常に難解に構成されたこの映画に対し、本作で主人公のヒロインであるオリアアキを演じた桜井は、どのように演技に挑んだのか、話を聞いた。

「ほかの方にやられるのが嫌だ」と思った

――この映画を拝見させていただいた印象ですが、音楽という部分でわりとクラブ系というか、テクノポップ的な感じの音楽が世界観を彩っている感じですね。

 そうですね。二宮監督がこだわった、映画の世界を彩る音楽が素晴らしくて。アキのテーマソングのような曲が2曲くらいあるんですけど、私は演じる中でもそこはすごくキーになりました。例えばアキが昔聴いた音楽で、感覚が蘇るシーンがあるのですが、その中での感覚は劇中のアキ自体が持っていることでもありますし。

――そんな音楽とイメージという部分で、撮影中に何か監督さんとお話をされたことはありましたか?

 いえ、特には。撮影時は、まだどの曲が使われるかはわからなかったんです。でも一曲だけ、Kyla La Grange(英シンガーソングライター)の「Hummingbird」という曲が使われることは決まっていたので、実際にクラブのシーンや踊るシーンではその曲を流して撮影をおこないました。あとはもう完成したものを見て「あっ、こういう世界が完成したんだ」と。映画を見てすごく感動しました。

――桜井さんにとって音楽とは、どのようなものと認識されているでしょうか?

 そうですね…私にとって音楽は、やっぱり日常の中でも大切で、気持ち的にも左右されるものだと。例えば以前に聴いた音楽や、自分が学生のころに聴いた音楽を、ある日意図しないところで耳にした時に、別の時の空気や場所を思い出すことがあります。そういう意味では、耳から入ったものでも、すべての五感が刺激される要素だと思っています。

――桜井さんは、以前楽器をやられていたというお話をうかがったのですが、例えば趣向的にJazzっぽいものを聴かれていたり、プレイされていたりという経験も?

 子供のころにピアノと、学生の時にサックスをやっていました。Jazzもやっていましたね。今はなかなか吹く場所がなくて。上京してからは全然吹く機会がないのですが。

――では、わりと趣向としてはアコースティックな感じが好き?

 音楽のジャンルには特にこだわりがなくて、その時の気分で欲しているもの、耳に入って心地いいものをあさり続けるということをやっています。「すごく好きなんだけど、歌っている人はわからない」という曲もたくさんありますし、その時に聴いていて、心地良いものという音楽を探しています。

――例えば最近、映画と絡んで歌う機会があった場合に、そのまま楽曲としてリリースされるケースも多々ありますが、将来的にはそういうことも?

 正直興味はありますね。歌うことは好きだし、実力はさておき、そういう機会があれば、やってみたいという気持ちもあります。

――今回、この映画のストーリーは、全般的には時間軸が行ったり来たり、現実と妄想が交差したり、場面によっては抽象的なシーンもあったりと、かなり構成が複雑です。もともと最初のオファーの際に、こういう具体的なお話も受けられていたのでしょうか?

 そうですね。オファーをいただいた段階で「こういうシーンもあって、結構大変な役なんだよ」という前置きを受けてから、台本を頂きました。台本を読んでみると「なんて世界観だ!?」と思いながらも、すごく引き込まれました。一方でこれは映像になった時には、どうなるんだろう? とも思いました。台本を読んだ時もそうでしたが、撮影をしている時にも想像がつかなくて。でも完成したものを見て、自分の想像を上回るシーンばかりでした。

――このストーリーの構成だと、桜井さん自身が演技として役になり切るという意味では、シーンごとに抱く心理がまったく違うこともあり、立て続けに演技していくのもかなり難易度が高いのでは? と思いました。また役柄としても、バイオレンスな部分や思い切ったラブシーンなど、結構ハードな役という印象もありましたし、「やります!」とご自身で決断の返答をされるのも難しかったのではないでしょうか?

 そうですね。でも、迷うことはまったくなかったです。やりたいという気持ちが強くて、逆に「ほかの方にこの役をやられるのが嫌だ」という思いあり、ハードなシーンやナイーヴなシーンも含めて、やることに抵抗感や不安は私の中でなかったですし、自分自身でも作品の一部としてとらえることができました。

――逆に、実は前からこういう役をやってみたいという希望が?

 というか、まさかこんな役が…って(笑)。本当にまさかですね。こんな役をやらせていただく機会が来るとはもちろん思っていなかったし。こんな作品があるんだということも、本当にびっくりでした。

 ここまで一人の人生にフィーチャーした内容の作品もそうそうないと思うし、その意味でもこの役と出会えたこと、演じる機会を与えてくださったことは有り難いです。今後もこれ程まで一人の世界を表現した作品と出会うことはあるかな? と感じるし、そう…本当にまさかでしたね。

――では今後の自分の代表作にもなりそうな感じですかね。

 なってくれると嬉しいな。そう思うくらい、私もこの作品をすごく愛しているので。全てを注ぎましたから。

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最終更新:10/12(木) 12:10
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