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【静岡新聞担当記者の目/清水エスパルス編】際の勝負…守備的に戦いながらカウンターを狙う

10/13(金) 12:00配信

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清水エスパルスが“残留仕様”に移行した。前節の大宮アルディージャ戦ではJ1残留を争う相手に対して手堅く戦い、今シーズン初のスコアレスドローで勝ち点1を積み上げた。

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主将でエースの鄭大世は、「失点しないことが一番大事。ワンチャンスを決めれば勝てる。これを積み重ねれば残留はできる」と残り6試合の方向性が明確になったことに手応えを示した。だが、16位ヴァンフォーレ甲府が勝ったため、降格圏との勝ち点差は2に縮まった。ジュビロ磐田との大一番も「お祭り騒ぎをしている状態じゃない」と言い放った。

■大一番に向けた入念な準備

13日間にわたる静岡ダービーの準備期間には、1日にサテライトリーグのアルビレックス新潟戦、7日に静岡産業大との練習試合が組まれ、実戦を通じて戦術浸透を目指した。

離脱していた選手の復帰も明るい材料だ。新潟戦では6月に左大腿部を肉離れしたDF犬飼智也、8月に左大腿肉離れで離脱したMF増田誓志が復帰した。4月に左大腿肉離れしたベテランGK西部洋平は試合に出場しなかったものの、ベンチに入った。静岡産業大戦は2月のヴィッセル神戸戦で左アキレス腱を断裂したMF河井陽介が30分間プレー。

鄭大世は「練習で激しくやりあっている。最近はチーム内で競争がなかった。磐田戦に誰が出るか、誰が外れるかが分からない状況」とチーム内の競争意識が高くなったことを前向きに捉える。

公開で行われるはずだった静岡産業大戦だが、クラブは直前になって非公開にした。小林伸二監督は「選手を集中させ、連係を確かめながら競争心を煽りたい」と理由を説明するとともに、メンバー選考について「ここからは際の勝負。うまい、ヘタじゃない」と付け加えた。

磐田戦前最後の公開練習だった11日の紅白戦で、主軸のチアゴ・アウベスと白崎凌兵を先発から外す布陣を試した。指揮官はチアゴに関して、「練習は絡めないが、試合ではやってくれている。それをどう判断するか」。白崎については「脱皮することが必要な時期なのかも。どうやったら自分が点を取ることができるか。能力は高いのは誰もが認めるが、大事なところで逃げているように感じられる」と指摘した。

■勝利をつかむために必要なことは?

4年ぶりに実現した4月の静岡ダービー。磐田は先制点につながるFKなど、背番号10の中村俊輔を起点に3ゴールを奪った。一方、今シーズンから清水の背番号10を託された白崎は、勝敗を左右する場面で決定機を外した。エコパスタジアムに4万491人を集めた一戦で中盤のキーマンが明暗を分け、それが試合結果にも表れた。

小林監督は優先順位を「どうやって守るか、どうやって点を取るか」とし、「ウチは守らなければいけない。守れば相手は前掛りにくる。掛かってくれば攻撃ができる」と守備的に戦いながら勝ちにつなげるイメージを膨らませる。MF金子翔太は「セットプレーとカウンター。エスパルスの苦手なことが、磐田のストロングポイント」と警戒する。

絶対に成し遂げなければならないのは、先制点を献上しないこと。今シーズンのリーグ戦で挙げた7勝のうち、6勝が無失点。一方で前々節のサンフレッチェ広島戦で6分に先制を許したように、開始10分以内の失点は5試合もあり、チームとしての課題が浮き彫りになっている。今回は最低限、前半に失点しないことを考慮したメンバーが先発に名を連ねそうだ。

ただ、静岡ダービーにはそれぞれ特別な思いを持っている。磐田ジュニアユース出身のDF松原后は「前回対戦した時の磐田は力がみなぎっていた。自分たちもいつも以上に気合が入っていたが、早い時間に失点してあわててしまった。状況に応じて、今回こそは冷静にプレーしたい」と対策を挙げ、「状況を踏まえれば、今回のダービーは運命を分けると言っても過言ではない。キックオフから全力でやらないといけない」と意気込む。

横浜F・マリノス時代に中村俊輔の同僚だったGK六反勇治は「磐田とはバチバチやりたいが、俊輔さんがいるのでファウルは取られたくない。レフェリーの基準を早めに見極めることも必要。(気持ちが)空回りしないように心掛けたい」と話す。

11日の練習後、小林監督は相手の分析などを終えての帰路で静岡市内のそば店に立ち寄ると、隣の席に座っていた中高年の客が、エスパルスの話題で盛り上がっていたという。「0-0を狙うような試合なんか、見たくないよね」。指揮官にとって耳の痛い会話だったが、悔しさをグッとこらえながら、そばをすすった。「さすがサッカーどころだと思った。注目されてありがたいとも感じたし、今に見てろとも」。静岡ダービーのチケットは一週間以上も前に売りきれるなど、IAIスタジアム日本平が盛り上がることは必至だが、チームとして最優先すべきはJ1残留。勝負に徹する静岡ダービーは、熱く戦いながらも、冷静さを求めていく。

文=大山雄一郎(静岡新聞社/清水エスパルス担当)

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最終更新:10/13(金) 12:00
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