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放送法の縛りもなし 地上波TVがネット放送に駆逐される日

10/13(金) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 ネットがテレビをのみ込んでしまう日が刻一刻と近づいている。動画配信の「Abema(アベマ)TV」が企画、脚本から完全オリジナルの連ドラ「♯声だけ天使」を来年1月から配信することが明らかになった。

 総制作費はなんと3億円超。アベマTVといえば、元SMAPの3人組が生出演する「72時間ホンネテレビ」を11月2日に配信することでも注目されている。元SMAPに加え、連ドラも独自制作となって、世間に受け入れられたら、ただでさえジリ貧の民放はたまったもんじゃない。

 一部の調査では、有料の動画配信サービスの国内での利用者は右肩上がりで、現在は推定1100万人。月額数百円から約2000円を払えば、見たい動画を見たい時間に見放題なのはCMなどでもお馴染みだ。

「オリジナルドラマでは、米の動画配信大手、ネットフリックス(Netflix)が2013年から配信をはじめた『ハウス・オブ・カード』シリーズの世界的大ヒットで世界のドラマファンに認知されました。同ドラマがプライムタイム・エミー賞を受賞するなどして、作品の質でもネットドラマは折り紙付きになった。15年に日本進出したネットフリックスは世界190もの国と地域で運営され、1億人を超える視聴者に支持されています。なにしろ、圧倒的な作品群から視聴者ごとに好みの作品をセレクトして、勧めてくれたりする。ストーリー展開を選択できる機能も実験的に行われているし、地上波ではとてもできないサービスを提供しています」(スポーツ紙放送担当記者)

 世界的潮流でいえば、ドラマはすでにネットがテレビを凌駕。日本でもネットフリックスは又吉直樹の芥川賞受賞作「火花」をオリジナルドラマ化して、話題になったものだ。芸能プロデューサーの野島茂朗氏が言う。

「日本でネットドラマを最初につくったのはホリエモンこと堀江貴文氏です。若槻千夏主演の『NO NAME』で、アイドルのイメージビデオの延長線上にあるような作品。当時は、配信環境が今ほど整備されていなかったこともあって、アイドルファンにターゲットを絞り、DVDとあわせて販売というビジネスモデルだったと思います。その後、この作品と同じ香月秀之監督の制作会社が、人気少女まんが『愛してナイト』の実写版を制作。これは、漫画コンテンツのファン層をつかんでヒットしました。こうした黎明期から、ブログなどでユーザーをつかんでいったのがアベマTVのサイバーエージェントなんです」 

 芸能リポーターの城下尊之氏はこう言う。 

「ネットドラマも良い作品をつくらなければ見られないのは同じ。動画配信サービスの会社は予算もあり、力を入れていますが、結果、つまり視聴者を楽しませることができなければ、即打ち切りという世界。そのために今後、どれだけ手慣れた監督やカメラマンらを集めていけるか、どれだけ新機軸を打ち出せるかがポイントだと思います」

 折しも、今月6日からはAmazonプライム・ビデオでダウンタウンの浜田雅功、千原ジュニアら車好き芸能人が自ら高級外車のハンドルを握り、思い切りブツけ合ってレースをする自動車合戦バラエティー「戦闘車」の配信がスタート。バブル時代を彷彿とさせるいい意味でのバカバカしさと、スケールの大きさが話題になった。

「地上波ではないから放送法の縛りもないし、スポンサーや視聴者の顔色をうかがう必要もない。どこのメーカーの車を壊そうが自由なんです。これがたとえばドラマなら、いきなり乳首丸出しのシャワーシーンから始まるシナリオでもOK。規制にがんじがらめになっていたクリエーターは腕を撫しています」(民放プロデューサー)

 テレビがつまらなくなったと言われて久しいが、ネットの映像進出によって視聴者の可処分時間の奪い合いは加速。殿様商売にあぐらをかくテレビ局は確実に見捨てられる。