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外国人が見たマンガ文化の底流 擬人化や所作に伝統の感性

10/13(金) 11:47配信

京都新聞

 マンガの研究が盛んな京都は、世界のファンにとって「聖地」の街らしい。京都国際マンガミュージアム(京都市中京区)を訪れる外国人は、今や来館者の2割弱に上る。日本の伝統文化のテーマパークのような古都で、サブカルチャーを代表するマンガが受けるのは、なぜなのか。
 「仕事で海外に出ると、日本のマンガで知ったという人から『メロンパンってどんな味?』『リンゴあめは?』って、憧れを込めて聞かれるんです」。同ミュージアムの研究員ユー・スギョンさん(31)=下京区=は、特別な思いを抱き京の地を踏んだ昔の自分を重ねながら、世界のマンガファンの気持ちを代弁する。
 「ドラゴンボール」や「セーラームーン」を見て育った韓国出身のユーさんは、高校卒業後、マンガ研究で最先端を行く京都精華大(左京区)に留学した。
 そこで実感したのは、人が感情移入できる等身大のキャラクターが、そこかしこにいる環境だった。例えば、作品の内容は忘れられても、キャラクターだけで何十年も愛され続けているものもある。「これが、(質の高いマンガを生み出す)日本のパワーだと思った」
 その底流にあるものとして、ユーさんは「こげぱん」という焦げたパンのキャラクターを例に、「かわいい」と解釈する日本人の感性を挙げる。「日本では、動物やモノを擬人化した絵が古くから描かれてきた。その代表が、平安時代の鳥獣人物戯画。キャラクターの文化はその流れをくんで発展したのでは」
 室町時代に大成した能とアニメーションの動作を比較研究する米国人の京都精華大大学院生スティービー・スアンさん(31)=同区=は、日本のアニメの特徴を違った角度から捉える。「喜怒哀楽の描き方が、どのアニメもほぼ同じ。それは能の所作と共通する」
 涙を抑える「シオリ」のしぐさ。遠くを眺める「雲ノ扇(おうぎ)」の振る舞い…。シテの感情や舞台の情景を、演技を通して観客に分かりやすく伝えるため世阿弥が記した理論書「風姿花伝」の完成度に、スアンさんは「よくこんな素晴らしいものをまとめたものだ」と、素直に驚く。
 一見すると、現代人が生み出した新しい文化と見られがちなマンガやアニメ。しかし、そこには長い時代を通して常に新しいものを吸収し、最先端の文化を華開かせてきた京都の歴史とも密接な関わりがある。実は“サブ(副次的)”とは言えない奥深さに、外国人を引きつける魅力の一端があるのかもしれない。

最終更新:10/13(金) 11:47
京都新聞

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