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LUMIX GH5の新機能「4K HDR」について勉強してきた

10/13(金) 7:00配信

Impress Watch

パナソニックは10月12日、9月27日に公開された「LUMIX GH5」(DC-GH5)ファームウェア2.0の新機能に関する説明会を実施した。新対応した4K HDR動画の視聴を含めたセミナーで、動画機能に関する説明が主だったが、静止画まわりの内容も含めてお伝えする。

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LUMIX GH5は、フォトキナ2016で開発発表し、2017年1月の国内発表を経て3月に発売されたマイクロフォーサーズ規格のミラーレスカメラ。LUMIXのフラッグシップ機として世界的にも計画以上の生産・販売となるヒット商品だといい、特に動画機能は他社と比べて群を抜いて好評なのだという。

9月27日に公開した大型アップデートのバージョン2.0では、民生機発となる4K HDR動画記録への対応や、静止画のスタジオユースを想定したテザー撮影への対応などを含む。なお、設定に関する不具合を修正したバージョン2.1が10月10日に公開されている。

■GHのHは「ハイブリッド」

後述の動画機能向上など、LUMIXフラッグシップとして動画撮影に力が入っているGHシリーズ。操作インターフェースがスチルカメラ然としているため「静止画機能を縮小して、より動画に専念しては?」との声も少なくないそうだが、あくまで写真と映像制作のハイブリッドがコンセプトなのだという。

背景には、スチルカメラマンが動画撮影も一緒に行うなど、ハイブリッドなユーザーの構成比が高まっていることがある。Web媒体が増えたため「写真だけでなく動画も」というニーズがあり、そこにはハイブリッドを標榜するGH5が理にかなっているのでは、というのがパナソニックの考えだ。

■3Dテレビの応用技術が生んだ「空間認識AF」

ミラーレスカメラは2008年(LUMIX G1)の登場以来、一眼レフカメラで主流だった専用AFセンサーを用いた「位相差AF」ではなく、ライブビュー映像をコントラストを見てピントを検出する「コントラストAF」がしばらく主流だった。ピント合わせのゴール地点まで一気にフォーカスレンズを駆動させる位相差AFに比べ、レンズを微細に前後させながらコントラストの高い部分を探るコントラストAFはスピード面で不利だったが、各社のアルゴリズム改善などで高速化してきた。

しかし近年では多くのミラーレスカメラがイメージセンサー(=像面)上に位相差検出画素を設けた「像面位相差AF」に対応し、ゴール地点まで一気に突っ走るような高速AFが当たり前になってきた。2012年ぐらいまで「ミラーレスは風景しか撮れないね」などと言われていた象徴だが、ともあれジコジコというピント合わせは過去のものになりつつある。

そんな中、パナソニックのAFは現在でも「コントラストAF」だ。だからAFが遅いかというと、遅くないどころか、他社の像面位相差AFに負けない速さ。それを支える技術が「空間認識AF」であり、基となった空間認識技術(DFD技術)だ。

DFD(Depth from Defocus)技術とは、ピント位置の異なる画像から空間認識・演算して距離を測定する技術のこと。3DテレビのVIERAで進められていた「どうやったら単眼で立体的に演出できるか」という研究が3Dテレビが下火になったあとも続けられ、奥行きを測定する技術に生きているのだという。まさに、パナソニックの技術の積み重ねによるAF技術だ。

■テレビの4K HDR対応を受けた機能向上

写真愛好家にとっては、"動画"と聞いただけで「自分には関係ない」と感じられてしまうのも無理はないだろう。しかし、写真も動画も同じ「映像表現」のひとつと捉えれば、幅広くそのトレンドに親しんでみるのもまた面白いかもしれない。

パナソニックではHDR対応の4K有機ELテレビなど、見る側のデバイスを促進してきた。だが、コンテンツを撮れないと価値を感じてもらいにくいため、デジタルカメラとして世界初の4K HDRに対応したGH5 2.0がその役目を担う。

デジカメ写真におけるHDRは、明るい画像・暗い画像を別に撮って合成処理を行うもので、特に基準や規格はない。暗部のツブレを抑える程度のカメラ内機能から、いわゆる"HDRっぽい"と言われるギラギラの絵画的表現まで、度合いは様々だ。

いっぽう動画のHDRは「映像リアリティの追求」が本質で、「明るい・暗いを同時に1枚の絵の中に記録・再現して、目で見た映像に近い映像を実現する」というものだそうだ。NHKやBBCでは、そうした4K HDRのコンテンツを撮ろうという動きがあるという。

2016年7月には、HDR動画の国際標準規格が策定。ドルビーが提案しオーサリングやネットワーク配信で使われるという「PQ」(Perceptual Quantizer)と、NHKやBBCが提案した「HLG」(Hybrid Log Gamma)の2つがあり、そのうちGH5 2.0はHLGに対応している。放送規格と親和性が高く、AV機器との互換が比較的容易なのもHLGの特徴だという。

しかし仮にカメラ側が階調を8bitでしか記録できないとなると、HLGの広ダイナミックレンジは発揮できない。そこでGH5の動画機能がアピールする「10bit記録」が重要になってくる。GH5では静止画撮影と同じフォトスタイル(エフェクトではない、基本の絵作り設定)の中に「ハイブリッドログガンマ」 (HLG)が用意されており、例えば「風景」や「L.モノクローム」を選ぶように呼び出せる。

また、400Mbpsといった高ビットレートでSDカードに記録した場合、GH5をテレビにHDMI接続すれば問題ないが、テレビ本体にSDカードを挿入して再生することは難しい。そのためテレビとの互換性を持たせるためにビットレートを72Mbpsまで落としつつ、MP4 HEVC(H.265)でも記録できるようにしている。

撮影時のアシスト機能も特徴だ。HDR映像のライブビューはHDR対応モニターでないと正しく表現できないが、GH5自体はEVFもモニターもHDR対応ではなく、一般的なSDR対応のもの。そのためメニュー内に「HLGビューアシスト」を追加し、用途によって「全体として暗くなるが白トビが見極められるようなモード1」、「高輝度側は白トビするが、中間輝度は適正に表示されるモード2」を用意。Fnボタンに割り当てて切り換えながら素早く確認できるという。

■4K HDRを初体感

パナソニックの65型4K有機ELテレビ「EZ1000」(税込実売97万円前後)を2台並べて、GH5で撮影された4K HDR動画と、4K SDR(=一般的なダイナミックレンジ)の映像を見比べる機会を得た。恥ずかしながら筆者は動画について、写真以上に不勉強。しかし、一見してわかる明暗と色表現の幅広さに魅了された。HDR=ハイダイナミックレンジといっても、幅広いのは明暗だけでなく、忠実な色再現にも大きく影響している。

動画撮影のノウハウなどは別途必要として、20万円台のミラーレスカメラでこうした迫力ある映像を撮ってお茶の間で楽しめるというのは、率直に面白そうだと感じた。

■そのほか

GH5の動画機能でGH4から進化した点として、4Kの4:2:2 10bit 400Mbps ALL-IntraおよびフルHDの4:2:2 10bit 200Mbps ALL-Intra対応もある。ALL-Intraとは1フレーム単位で圧縮を行うためカット編集や切り出しに向くという方式。前モデルのGH4では4:2:2 10bitが本体内記録できず、4KのALL-Intra記録もなかった。

また、6Kフォトを活用した高解像アナモフィックモードもGH5 2.0で搭載。アナモフィックレンズを使って画面の横幅を半分に圧縮して記録し、再生時に引き延ばしてシネマスコープサイズのワイド映像を得るもので、引き延ばしても4Kより高解像度で画質的に有利なのが特徴。

それを踏まえてライブビュー機能には、3:2の背面モニター内にシネマスコープの幅に引き延ばして表示する「アナモフィックデスクイーズ表示」が加わった。横長のため表示面積は小さくなるが、それでも本来のアスペクト比で確認したいという声がアメリカと日本から多かったのだという。シネマスコープの2.39:1と2.35:1に加え、16:9、1:1のガイドラインをライブビュー画面に表示する機能も付けた。1:1はInstagramも意識しての搭載だという。

■待望のテザーソフトが登場

「LUMIX Tether」は、パソコンからのリモート撮影を行うためのソフト。コマーシャルフォト業界で待ち望まれていたというテザーソフトで、GH5ユーザー向けに無償提供している。カメラがUSB 3.0に対応している必要があるため現状はGH5のみの対応だが、今後カメラ側のUSB 3.0対応が増えていくという。同ソフトでは6Kフォトや動画記録なども含め、ほぼ全てのカメラ操作がリモートで行える。

デジカメ Watch,本誌:鈴木誠

最終更新:10/13(金) 17:52
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