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衆院選・注目区を行く=青森1区・奈良3区【17衆院選】

10/13(金) 7:07配信

時事通信

 「1票の格差」是正のための改正公職選挙法により、青森、奈良など6県で小選挙区数が各1減された。前回衆院選で大勝した自民党は候補者調整を強いられ、衆院解散を目前に急ピッチで作業を終えたが、調整対象となった前職同士の連携には不安も残る。(敬称略)
 ◇「コスタリカ」に不安も=自民、苦渋の候補者調整―青森1区
 「津島淳に将来を託す態勢づくりをしなければいけない」。6日に青森市で開かれた自民党決起大会。同党前職の江渡聡徳は、同じ前職で青森1区から出馬する津島への支援を訴えた。津島は「この場に立てるのは江渡先生の大きな決断があったからだ」と語り、比例代表東北ブロックへ転出する江渡に謝意を示した。
 自民党は1区で、選挙のたびに選挙区と比例の候補が入れ替わる「コスタリカ方式」を採用。次回は、江渡が選挙区、津島が比例で立つ予定だ。
 新たな区割り案が公表された当初、自民党内で本命視されたのは、旧2区の江渡と旧3区の前衆院議長大島理森の調整。新たな2区は、江渡の出身地である十和田市、大島の出身地の八戸市を含むからだ。
 だが、江渡は1区からの出馬に狙いを定めた。旧2区から編入された下北半島には原子力施設が集中しており、エネルギー政策に関わりたいというのが表向きの理由。だが、自民党のベテラン県議は2区最大の票田、八戸市の事情を指摘する。
 同市は大島と民進党参院議員田名部匡代の地盤で、先代から続く市を二分する戦いは「八戸戦争」と呼ばれる。この県議は「江渡が2区に回ったら匡代がくら替えしてくる。そうしたら勝てない」との見方を示した。
 江渡とのコスタリカについて、津島の後援会は「白紙化」を要求。津島が8月下旬、旧2区から編入される地域に事務所を開設したため、江渡陣営の猛反発を招いた。
 結局、解散風に押されて事態は収束したが、自民党県連関係者は「コスタリカが機能するかは分からない」と漏らす。先の県議は、江渡が1区で出馬する次回衆院選について「津島の後援会は『江渡』とは書かない」と断言する。
 前回は津島に約4000票差まで迫り、比例で復活当選した希望の党前職の升田世喜男も同じ見解だ。陣営幹部は「自民党の青森市議は動かない」とそろばんをはじく。
 ただ、升田も区割り変更の影響からは逃げ切れない。出身地の中泊町は3区に組み込まれ、「身を引き裂かれる思いだ」と話す。共産党が希望との共闘を拒否したため、政権批判票の分散は避けられない。升田陣営幹部は「今回勝てなければ次はない」と懸命だ。
 【青森1区】
津島  淳51 元政務官 自 前
           推(公)
赤平 勇人27 党県委員 共 新
升田世喜男60 元県議  希 前
 ◇衰える「奥野」の威光=奈良3区
 自民党奈良県連は、コスタリカ方式に苦い経験がある。旧1区では、旧新進党から入党した前総務相高市早苗と元厚生労働政務官森岡正宏の連携がうまくいかず、旧民主党政権で国土交通相を務めた馬淵澄夫の台頭を許した。
 解散翌日の先月29日、奈良県大和高田市での自民党会合。旧奈良3区選出の前職奥野信亮が比例近畿ブロックへ回ることを説明すると、後援会幹部は「受け入れるしかない」としんみり語った。後援会と入れ替わりに会場入りした前職田野瀬太道は「苦渋の決断に感謝する」と述べた。
 新区割りによって、旧3区は新たな2、3区に分割され、事実上消滅した。奥野は当初、「小選挙区から出たい」と公言し、3区での出馬に意欲を示していた。
 これに対し、「無傷」で済んだ旧4区選出の田野瀬は、奥野の動きを警戒。田野瀬に対し、後援会幹部は「もし党本部が『奥野を出す』と言ってきたら、無所属で戦え」とハッパを掛けていた。
 県連内では「コスタリカにしたら、次の選挙がややこしくなる」といった声が上がり、判断を党本部に委ねた。結論は、奥野の比例転出だった。
 奥野後援会がすんなり容認した背景には、奥野の父誠亮の死去がある。法相や文相を歴任し、県連幹部から「神さん」とあがめられた誠亮が昨年、103歳でこの世を去り、「誠亮先生のいるうちは応援するしかない」と思い定めていた後援会は求心力を失いつつある。
 元参院議員の前川清成は2区での出馬を準備していたが、希望の党公認を得るに当たり、3区への国替えを余儀なくされた。陣営は広大な選挙区への浸透に苦慮している。
 【奈良3区】
田野瀬太道43 元政務官 自 前
           推(公)
所   進38 党市部長 共 新
前川 清成54 元副大臣 希 新
(注)候補者名簿は敬称略。届け出順。年齢は投票日現在。党派名は自=自民、公=公明、共=共産、希=希望。丸かっこは推薦政党。

最終更新:10/17(火) 10:13
時事通信