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75%の国が経済拡大 回復期「危機に備えよ」、IMFが構造改革訴え

10/13(金) 7:55配信

産経新聞

 【ワシントン=塩原永久】世界的な景気回復の足取りが強まってきた。国際通貨基金(IMF)によると、2017年は約75%の国が経済を拡大させ、世界全体の成長率は3・6%に達する見通し。低迷が続いた貿易や投資に明るい兆しがみられ、成長の勢いは18年も続くとみられている。12日開幕の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議などの舞台となる米ワシントンには楽観論も広がるが、一方では「次の危機に備えよ」と警戒する声もある。

 「経済成長がおぼつかなかった昨年初めの状況から、風景が一変した」

 IMFのオブストフェルド首席エコノミストは10日のワシントンでの記者会見で、世界経済の好調さをアピールした。

 昨年初めは中国や欧州経済への不安が経済活動の足を引っ張っていた。しかし足元では主要国すべてがプラス成長となる「この10年で最も裾野の広い景気回復」が実現している。

 貿易・投資に明るさ

 世界経済の強さは伸び悩んできた貿易活動の強まりにも表れている。世界貿易機関(WTO)は17年の世界貿易量の見通しを、4月時点の2・4%増から3・6%増に上方修正。アゼベド事務局長は「各地域での貿易回復が相乗効果を発揮する」と期待する。

 米国では民間部門などの好指標を踏み台に米ダウ工業株30種平均が最高値圏に到達。日本でも機械受注統計で民間設備投資の先行指標が前月比3・4%増加し、東京株式市場が約21年ぶりの高値を更新した。先進国の堅調さを背景に成長は18年も続くとみられている。

 ただし各国の成長率は金融危機前の水準には達していない。景気拡大期に4%超の成長を記録した米国も、18年のIMFによる成長率の予想は2・3%にとどまる。ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン氏は11日のワシントンでのイベントで、中国サイズの成長がない限り、過去に経験したような貿易量の高い伸びは今後は考えにくいと指摘した。「長期停滞論」を唱えたハーバード大学のローレンス・サマーズ教授も世界経済の不確実性に警鐘を鳴らす。保護主義的なトランプ政権の誕生やドイツでの右派政党の伸長、英国の欧州連合(EU)離脱などに触れ、「世界各地でこうした事態が同時発生していることが問題だ」と懸念を示している。

 このほか北朝鮮の核・ミサイル開発などの地政学的要因や、スペイン・カタルーニャ地方の独立問題といった不安要素もくすぶる。IMFのラガルド専務理事は「回復期の今こそ次の危機に備えるべきだ」と述べ、明るい景気見通しにわくなかでも、各国は構造改革などに取り組むべきだと訴えている。

最終更新:10/13(金) 7:55
産経新聞

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