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衆院選 新区割りで困惑 「自分に投票できない」

10/13(金) 7:55配信

産経新聞

 ■「応援演説かな」…有権者誤解も

 本格論戦に突入した衆院選で、過去最大規模となる「区割り変更」が各候補者や有権者らを悩ませている。「うちの選挙区とは知らなかった」「新人と同じ気持ちで臨まなければ」。急な解散で周知が行き届いていない面もあり、区割りの影響を受ける選挙区の混乱は、今後も続きそうだ。

 季節外れの夏日となった12日、東京都目黒区の住宅街で、汗を流しながら自転車で走り回る候補者の姿があった。主要駅に着くと自転車を降り、慌ただしくマイクを握る。「目黒区の皆さま、初めまして。よろしくお願いいたします」

 大臣経験もあり、知名度は高い。しかし、足をとめて演説を聞く有権者には戸惑いも見られた。自営業の高橋陽一さん(42)は「うちの選挙区の候補になったとは知らなかった」。主婦の氷川文世さん(39)は「誰かの応援に来たのかと思った」と首をかしげる。

 今回の衆院選では「一票の格差」是正のため、19都道府県の計97選挙区で区割りが変更された。中でも東京は全25選挙区のうち21選挙区が変更。目黒区の一部が編入された東京7区は、これまで中野、渋谷両区の全域で構成されていたが、一部が隣の選挙区に移る半面、目黒のほか杉並区と品川区の一部も編入され、5つの特別区にまたがることになった。

 有権者16万人が流出し、14万人が加わる計算だ。東京7区に編入された目黒区の一部を回る陣営関係者は「新人と同じ気持ちで臨まなければ、確実な票にはつながらない」とこぼす。

 一方、対立候補の前職は、40年以上暮らしてきた自宅がある中野区北部が東京10区に移った。「自分に投票できないのは痛手だ。住民票だけ7区に移すことも可能だが、それでは地域の声を国政に反映できない」と訴える。

 各区の選挙管理委員会では、区割りの周知徹底に懸命になっている。

 一部が東京6区から5区に移った世田谷区。約4万人の有権者が移動することになり、区選管では今年7月以降、ホームページや広報誌などを通じて変更を知らせてきた。

 「新区割りがわからずに混乱し、投票率の低下につながるようなことがあってはならない」と担当者。投開票日ぎりぎりまで周知に取り組む方針だ。

 こうした中、区割りを逆手にとって支持拡大を目指す陣営もある。

 東京25区(青梅市、福生市など)から立候補した前職は、同区に編入された昭島市を中心に遊説を繰り返す。東京以外から国替えした“落下傘”のため、対立候補が支持を固めていない地域こそ、割り込むチャンスがあるとみた。

 陣営関係者は「組織力が未熟な中での短期決戦は苦しいが、勢いに乗って戦いきるしかない」と表情を引き締めた。

 区割り変更による候補者や有権者らの戸惑いは、離島が多い長崎県でも顕著になっている。長崎では2区の西海市が4区に、五島列島北部の小値賀(おぢか)町が4区から3区に編入された。

 西海市選管によると、8月号の広報誌で記事を掲載したほか、市の公式サイトや懸垂幕、街宣車などあらゆる手段を使って区割り変更をアピール。同市選管は「市が2つに分かれてしまわなかっただけでもよかった」と話す。

 小値賀町が新たに加わった3区を回る候補者の事務所関係者は「離島を回るには費用も時間もかかる」と不満を口にする。同町選管は「4区の前議員がなじみの地元なので、投票の際に同じ名前を書いて、無効票になってしまわないか心配だ」と懸念している。

最終更新:10/13(金) 10:20
産経新聞

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