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<VXの女たち・法廷編>正男暗殺 病理学者、死因を断定

10/13(金) 21:39配信

毎日新聞

 北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)殺害事件で、高等裁判所に提出された遺体解剖報告書には、猛毒の神経剤VXは目の粘膜や顔から検出されたとの記述がある。VXが分解されてできる物質が目、顔、血液や尿などに見られ、さらにVXを精製する前段階の物質が着用していたTシャツやブレザーから検出されたという。

 VXなどの有機リン剤の毒物は、生体中のコリンエステラーゼという酵素を阻害する。接触すると、体の神経が刺激を受けたままの状態になって発汗や呼吸困難、全身のけいれんやまひなど、さまざまな中毒症状を引き起こす。血中のコリンエステラーゼの通常値は低くても5320だが、正男の遺体の値は344と大幅に低下していた。

 これらの状況を踏まえ、報告書は「解剖や研究室での調査結果に基づけば、急性のVX中毒である」と断定する。報告書を作成した病理学者は、4日の第3回公判に証人として出廷。各臓器も調べたが、まったく別の要因、例えば心臓発作のようなことは考えられないとも明らかにした。

 これに対し弁護側は報告書の内容を「偏見に満ちている」と激しく批判。「VXが検出されたからといって、死因とは断定できない」と主張した。VXは素人が簡単に入手できるものではない。実行役の計画性や殺意の認定に影響する可能性があり、慎重な審理を求めたものだ。

 アイシャを担当するグーイ弁護士は報道陣にこう語った。「最終的に死因を判断するのは裁判官だ」【クアラルンプールで平野光芳】(敬称・呼称略)

最終更新:10/13(金) 21:47
毎日新聞

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