ここから本文です

失速した「プレ金」に曜日変更案浮上 早くも曲がり角、このまま継続できるのか?

10/13(金) 15:41配信

産経新聞

 月末の金曜日に会社の早帰りを促し、消費喚起につなげる官民連携の「プレミアムフライデー(プレ金)」は今年2月24日にスタートし、9月29日で8回。初回こそ大きな盛り上がりをみせ認知度も9割を突破したが、回を重ねるごとに新聞やテレビで取り上げられることは少なくなり、逆にインターネットでは「誰も参加できない取り組み」と悪評ぷんぷんだ。プレ金を主催する経団連の榊原定征会長も「見直し」に言及するなど、鳴り物入りで始まった取り組みは早くも大きな“曲がり角”を迎えている。

 そもそもプレ金は経団連と経済産業省が共同で導入。安倍晋三政権の成長戦略「日本再興戦略2016」に基づく官民共同の消費喚起策として昨夏に決まり、官民で「プレミアムフライデー推進協議会」を立ちあげた。しかし、当初は消費喚起が狙いだったはずのプレ金に、政府が推し進める「働き方改革」も加わり、早帰りがクローズアップされてしまった。その結果、仕事が立て込む月末の夕方早くには退社しにくいという認識が広まり、プレ金人気の失速をもたらした。

 月末金曜日の「午後3時」に退社できたのは、最も盛り上がった初回の2月でさえ、3%程度にとどまった。さらに3月は31日だったため、多くの企業は年度末当日の「最繁忙期」。4月28日はゴールデンウイーク(GW)突入前日という日程で、多くのサラリーマンはGW分の仕事を前倒しし遅くまで退社できなかったとみられ、プレ金は急速に尻すぼみとなった。7月は、パラリンピック正式種目の障害者スポーツ「ボッチャ」の企業対抗戦を実施し盛り上がったものの、8、9月の関連イベントはほとんど注目されなかった。

 こうした実情にまず苦言を呈したのが、日本商工会議所の三村明夫会頭だ。地方の商工会議所から見直しを求める意見が相次いだことを受け、9月20日の記者会見で「一律に退社時間や日時を決めるより、柔軟な運用を求めたい。祭りとの連携など地域地域で対応した方がよい」と発言した。

 榊原氏も同月11日の会見では反省の弁。「全国レベルではほとんど浸透していないし、首都圏でも一時の盛り上がりがみられない。月末は決算や営業の追い込みといった繁忙期に重なるという声はある。見直すとすれば、そのあたりだ」と語り、月初への変更も示唆した。政府と経団連は、多くの企業が毎月25日を給料日にしているため、その後の方が消費の拡大につながるとみて、月末金曜日をプレ金に設定した。

 9月25日のプレ金イベントで、経団連の石塚邦雄副会長(三越伊勢丹ホールディングス特別顧問)は「運用の見直し案を近く公表する」と明らかにした。月末開催は原則変更しないものの、「状況に応じて開催曜日を変更したり、地域や企業ごとに取り組みを変えたりするなど、一律ではなく柔軟に取り組めるようにする」という。ただ、曜日を変更すれば、「プレ金ではなくなる」との指摘も出そうだ。

 一方で、関係者からは「見直すべきはプレ金推進協議会の事務局だ」との声も上がる。毎月、さまざまなイベントを開いているにもかかわらず、あまりマスコミに取り上げられないのは事務局の努力不足というのだ。実際、9月29日の金曜日は「肉の日」に引っかけたイベントだったのだが、報道陣向けの案内状を見ると、会場は、川崎市の「イトーヨーカドー グランツリー武蔵小杉」のクッキングサポートコーナーと書かれているだけだった。これでは、地元の人でなければどんな場所かさっぱり分からない。

 そこで記者は現地へ飛んだ。なんと、イベント会場ではなく、スーパー1階食品売り場の通路に設けられた試食コーナーだった。これでは、たくさんの人を集められる訳がなく、買い物客20人ほどが足を止めるだけだった。「何を目的に、何を伝えたいのか」全く分からなかった。

 実は、脚光を浴びた7月のボッチャ企業対抗戦を実際に取り仕切ったのは、これまでのプレ金の事務局とは違う企業だった。パラリンピックを盛り上げる一環としてプレ金と連携したところ、思惑通り多くのマスコミに取り上げられた。事前から入念な準備に臨んだことも奏功し、2月以来の盛り上がりとなった。経団連関係者は「今の事務局はプレ金の認知を上げることを目的にしているようだが、既に認知度は高いので、多くの人を巻き込むイベントの方がよい」と漏らす。

 事務局もようやく発想を転換し始めた。10月はプレ金と欧州発祥の祭り「ハロウィーン」を連携させるイベントを各地で開催。11月のプレ金は「スポーツの秋」をテーマに、フィギュアスケートの2010年バンクーバー五輪銀メダリストで、4月に現役を引退した浅田真央さんと姉の舞さんが皇居をランニングするイベントを予定する。事務局は300人の参加を予定しているが、期待以上に盛り上がるかもしれない。

 また、これまでのプレ金イベントの告知は約2週間前だったが、11月のイベントは既に告知されており、「皇居ランナー」だけでなく、浅田さんのファンも集まるとみられる。見直し論が高まるプレ金をこのまま継続できるのか。11月の皇居ランイベントの成否が大きなカギとなりそうだ。(経済本部 平尾孝)

最終更新:10/13(金) 16:39
産経新聞

Yahoo!ニュースからのお知らせ